×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
叔父に後のことを託し、Nから東京へ向かう新幹線に乗る。
車中、夜鷹はずっと眠っていた。青の肩に頬を置いて、目を開けることはなかった。
車窓を向くと、暗闇に光る車内で自分の顔が鏡のように映った。その顔を見て、青は妻が亡くなった十二年前のことを思い出す。あのとき、夜鷹は博士課程の途中での帰国だった。たった四年足らずで終焉を迎えた夫婦生活のこと聞いて、夜鷹は「自分の顔見てみろよ」と言ったのだ。
「いまの顔、覚えておけよ。辛い気持ちを忘れるな、あとで生きると言ったのは、おれの親父だ」
あのとき、夜鷹が心底うらやましかった。いい親の元、いい家庭に育ったのだと思った。
青の母親は、本来の体質から言えば身体の強い人ではなかった。それでも大学まで進み、教員養成課程を修了して教員免許を取り、公立学校の国語科教員として勤めた。教材販売の営業に来ていた父親と知り合い、結婚する。父親の勤め先に合わせて引っ越したため、青の出生地はいまの実家がある土地ではなかった。
母親は身体の弱さが影響して、青ひとりしか産むことが出来なかった。父親は子だくさんの家庭を望んでいたというから、夫婦の方向性はずれていた。結局父親は浮気をして、それを許せなかった母親に離縁を申し込まれて別れた。父親は青を引き取りたがったそうだが、母親が「子は母といるべきものだ」という考えを捨てられず、青は母親の元、祖父母のいたいまの家にやって来た。小学校に進学する年の冬の終わりだった。
「子は母といるべきもの」。母の人生はこれに執着した、と言っていい。青が智美らと仲良くなって帰宅が遅くなると、必ず注意された。サマースクールに行ってみたいと申し出ても、「まだ早い」と理詰めで諭される。ようやく許されたのは地元の少年自然の家で行われるサマースクールで、そこで夜鷹と出会えたのは奇跡のようだった。
勉学の楽しみを知る人ではあったので、青がそれを望めば、与えてくれはした。けれど離婚した父親に会うのは許されなかった。一度、夜鷹と交わした手紙を読んでいる母を目撃したことがある。青より先に封を開けることはしなかったが、青が封を切った後で保管しておいた菓子の缶から手紙を抜き、母は無表情で読んでいた。青に見られているとは気づかず、また青も、言い出せなかった。
県外のサマースクールは、渋い顔をされた。それでも祖父母が生きていたころだったので、彼らがなんとか説得してくれた。夜鷹が短期留学をしたと聞いて青も市の交換留学生の制度に申し込みたいと言ったのだが、これは却下された。子どもだけで海外などとんでもない、という話だった。
「でも、夜鷹は同い年でもう何度か海外へ行っている」と言うと、母親は「東京の子ね」と言った。
「彼は両親健在で非常にアカデミックな環境に育っているから、構わないのよ。そんな子と同じだと思ってはいけない。青、あなたにはお母さんしかいないのよ。あなたにもお母さんしかいないの。その中で身の丈に合った暮らしをしなければならない。海外なんてとんでもない。普通に暮らせるだけ私たちは幸せなのよ」
ことごとく「普通」を望まれた。奢らず、卑下せず、一般的な、よくある家庭。望みすぎてはならず、かと言って非行に走ってはいけない。それは紛れもない抑圧であり、反発するように陸上部で走った。「健康な身体になる」と許された部活動。けれど上位に食い込む結果は、やはり母の期待を裏切るものだった。欲を出してはいけない。一番になれるなどとんでもないから、高みを目指してはいけない。
東京の私大への進学を後押ししてくれたのは、母ではなく、祖父だった。
母は地元の国立大学に進学し、市役所職員などの公務員に就くことを望んでいた。そう示された。夜鷹に誘われたのだけが理由ではなかったが、それには抗った。とにかく家を出て東京に行きたかった。夜鷹の傍で暮らしてみたかった。私大の対策講座の費用を出してくれたのは祖父で、自営業で細々と貯めた金を孫の青のために惜しまなかった。こっそり会っていた実父も、「家には幼い子がいてあまり出せないけど」と言いながら進学費用を支援してくれた。青が東京へ向かう日、母は「すぐに帰ってくるのよ」と言ったが、守るつもりはなかった。実際、帰りはしなかった。
夜鷹への気持ちを恋だと意識したのは、思春期の割と早い時期だった。「普通」を望む母に言える事柄ではなかった。胸に仕舞い込んだまま夜鷹の傍にいられる喜びの一心で上京し、それでも就職活動のころになると胸は塞いだ。連日のように寮あてに母親から電話があった。こっちへ戻ってくるのなら就職先はここ、公務員試験の対策講座が、という内容で、青が東京での進路を考えていることは、全く考慮の外だった。
夜鷹と一緒にいたかった。傍で生きてみたかった。けれど「普通」の足かせが常に青の両足に嵌まっていた。そんなころに浅野千勢と出会えて、話が出来たのは、神様の指針なのだと思った。これに乗らないと強制的に地元に連れ戻され、母の傍で母の望む女性と暮らす選択肢しかない。そう思い、母への言い訳じみて千勢との婚約を決めた。そのうち子どもでも出来たらそっちで暮らすのもいいと思うから。いまは彼女とこっちで暮らすから。
淋しさが常に心臓に膜を張って覆い込んでいた。満たされない思いを淋しいと口にし、他人からの抑圧を淋しいと表現した。酔って夜鷹とキスをしたとき、歓喜と、自制が、交差して渦を巻いた。こうやって夜鷹と共にいたい。母を裏切れない。普通でいなさい、と脳内で母が通る声で道を示す。叫び声にも聞こえた。
普通を。普通でいなさい。普通で一番よ。
淋しい。淋しくて寒くて、震えが止まらない。
大学生活を終えて夜鷹も遠くへ行った。千勢との生活が始まる。青の就職先は医療機器の開発とメンテナンスを請け負う会社の技術開発部門だった。天文とはもうなにも関わらない。星空を見上げない。
千勢は優しく、青に寄り添ってくれたが、青を満たす存在ではなく、彼女にとってもそれは同じことだった。
彼女は愛されたかったのだな、と思う。いまならよく分かる。お互いに優しすぎて、踏み込めなかった。他人行儀のまま進行した夫婦生活を、誰もが責めることが出来うると思う。千勢が事故に遭ったと聞いたときは心臓が冷えたが、一緒に亡くなった男がいたと聞いてどこか安堵もしてしまった。
帰国していた夜鷹を呼び出して、駅近くの居酒屋で飲んだ。妻の訃報を聞いた夜鷹は、いつも通りの乱暴さで「痛い自分の顔をよく見とけ」と言った。それがいいなと思った。目をそらしてかわいそうと、夜鷹は言わない。
だから青も淋しいと口にしたい気持ちを何度もこらえた。淋しくない。淋しくはない。これぐらいの痛みには、耐えられるはずだ。
事故の後、かろうじて出席した葬儀から帰る途中の母の台詞の方が、よっぽど青を痛みで裂いた。
『でも、浮気されるなんてよくある話程度に、おまえが普通でよかったわ』
義理でも娘となった女性の死を悼む言葉ではなかった。
「次は東京、東京です」
車内にアナウンスが流れる。窓の外に建物からの明かりが増えて来た。肩にもたれて眠っている夜鷹を起こそうとして、首を傾ける。髪を切ったばかりの夜鷹の、独特の整髪剤のにおいが鼻先をかすめた。
母親がくも膜下出血で死ぬぐらいの普通でよかったじゃないか、と夜鷹なら言うだろうか。
いや、かわいそうだなと夜鷹は同情もせず嘲笑するだろう。青は夜鷹の髪に顔を埋めた。
← 26
→ 28
PR
商店街の一角に入る理髪店で、夜鷹と揃って散髪をした。顔剃りも済ませて夜鷹は無精髭だった帰国当初に比べればずいぶんと若い見た目になった。お互いにさっぱりしてから寺の最寄りまで行けるバスに乗る。山門からは徒歩だ。普段ランニングを趣味とする青と違って夜鷹は身体付きこそ細いが、それは決して体力のなさを表すものではない。大した息切れも見せず、山門から続く石段を上り切って見せた。
寺に顔を出し、くだんの忘れ物とやらを見せてもらった。黒いバッグ一式で、ハンカチと数珠と手帳が入っていた。手帳に挟まれた名刺で確かに母親の葬儀の弔問客だとわかったので、預かり、あとは叔父に任せることにした。墓地へと進む。墓と墓のあいだをすり抜けながら、「そういえば浅野の墓もここか?」と夜鷹に訊かれた。
「いや、……おれたち夫婦に墓はないから。千勢の実家の墓に収めた。T県」
「だって、没交流だったとしても吾田家の嫁だろ? なんで実家に戻すんだよ」
「事情があるんだ」
墓の前まで来て、墓掃除を簡単に済ませ手を合わせる。夜鷹は手を合わせすらしなかったが、「事情ってなんだ」と追及を諦めたりはしなかった。
青は墓地の端に寄った。
「浅野は事故死だろ? 交通事故」
「そう。職場で研修旅行があるからと言って出かけた先で事故に遭った。でも、本当は研修旅行なんかじゃなかった。社内でいい関係になってた不倫相手がいて、そいつとの旅行だったんだよ」
「そりゃ、また」
「お互いに伴侶がいた。内緒で旅行に出かけて、事故に遭って発覚した。向こうのご家族にも会ったけど、あっちも寝耳に水みたいな話で、お互いまともに話は出来なかったよ。話を聞いた千勢のご両親が駆けつけて、……ただひたすら謝罪された。けしからん娘で申し訳ない、と。遺体は千勢の実家で引き取って、おれは一度も墓参りには行っていない」
「それが十二年前か」
「そう。最後におまえに会ったとき」
「……あのときは淋しい、と言わなかったな。おまえ」
「こらえたんだ。おまえに言われていたから。それに、罰みたいなものだと思った。おれは千勢と結婚したけど、それは昼間の道をどうしても歩きたいという意地から来るものだったから、それを千勢はどこかで見破って、だから不倫でこういう結果になってしまったのかな、と。彼女をそうさせたのはおれの行動が原因で、死なせてしまったのは、報いなんだ」
「ばか言ってんじゃねえ。相変わらず思考にいちいちロマンスを挟む男だよな。浅野が死んだのはヘマやらかしたからだ。おまえへの罰や報いのために死んだんじゃねえ。浅野は浅野の人生がそれで終わりだったから死んだんだ」
「夜鷹は、寿命ってあると思うか? 未来ってのは決まっている?」
「未来は決まっちゃいない。ただ、りんごが空に向かっては落ちないように、決まった法則はある。物理だな。ここが詰まったら血が止まって死にます、とか」
「……夜鷹が銃で撃たれても生きているのは、物理?」
「運がよかった、としか言えねえ。ヘマしなかったって意味だな。まあ、危ないところに首突っ込んでったのはおれだし、これで下手こいて死んでもそれまでだな、とは思った。おまえと道が分かれてからは、ずっとあった感覚だ」
「……おふくろが死んだとおれが連絡をしなくても、夜鷹はここへ来たのか?」
「撃たれて、治療されて、退去命令を告げられたときに、身体があるうちに身体でしか出来ないことをしないとな、と思い直したんだ。それだけだよ。事故の教訓ってやつだ」
夜鷹は腕時計を確認して、「用が済んだら行こうぜ」と言った。
「戻るんだろ、今日中に」
「うん。東京に」
「おまえんとこ行っていい?」
「おれのマンション? 夜鷹の実家じゃなくて?」
「野暮なことは言うなよ。しばらく泊めろ」
ああ、と頷くと、夜鷹は先を歩き出した。
← 25
→ 27
古い畳敷の居間で夜鷹と弁当をかき込み、食べ終えた夜鷹はその場に横になった。行儀の悪さよりは、疲労を感じられた。喋ることは山ほどあるのに、それも出来ないほど疲労している。旅の疲れ、怪我での帰国。隣の和室に布団を敷き、夜鷹を引っ張って横にさせた。
「夜鷹、シャツ脱がすよ」
「……いい、構うな」
「そういうわけにいかないだろ」
薬か体液か、なにかが肩口に染みた夜鷹のシャツは洗う必要があった。「着替えはあるか?」と聞くと、「スーツケースん中」と妥当な答えが返って来た。
「鍵はどこだ」
「ポーチ……」
「ポーチはどこだよ。こら寝るな、」
だが腹が膨れて安心したらしい夜鷹は、ずぶずぶと眠りへの道をひた走る。答えがなかったので諦めて夜鷹のシャツのボタンを外していく。と、日焼け知らずの白い腹に平たいボディポーチが巻きついていた。ベルトにつながったそれを外す。中から知らない国の紙幣がいくらかと、夜鷹のパスポート、カード、スーツケースの鍵が出てくる。
スーツケースを探ったが、この季節に合うような衣類はかぶりのものしかなく、肩の怪我を考えて結局は青のシャツを着せた。夜鷹には少し大きい。ひと仕事終えて身体が汗ばんだので、青はシャワーを浴びて自身も着替える。戻っても夜鷹は眠っていた。髪に触れ、目元に触れ、頬に触れる。夜鷹がいるな、と思った。まだ信じられなくて、夢のように思える。
夜鷹の衣類と自分の衣類を抱えて、近くのコインランドリーで洗濯をする。乾燥まで済ませて家に戻り、自分の寝床は居間に作った。狭い造りの家ではなかったが、夜中に逃げられたら嫌だという気持ちがどうしてもあり、夜鷹が通らずにはいられない部屋に布団を敷いたのだ。
絞った明かりの下で、夜鷹のパスポートをひらいた。いくつものページに、いくつもの国を通過したスタンプが押されている。赤いスタンプ、青いスタンプ。知らない文字、知らない国。最初のページに戻り、夜鷹を夜鷹と証明する旅券を見た。サインは漢字で「前嶋夜鷹」と夜鷹特有の走り書きで印字されている。てっきりサインはローマ字表記を使っているかと思ったから、意外に思った。
写真の夜鷹も、黒い髪で、黒い目で、黒い眼鏡をかけていた。いま隣で眠っている夜鷹よりも若い。息をついて、パスポートを置いた。眉間を揉む。この家を出て東京に帰るつもりだった今日、まだNにいて、青は一体なにをしているのか分からなくなる。
明かりを落とし、青も横になる。あまり深くは眠れず、何度も寝返りを打った。それでも明け方にはようやく深めの睡眠に落ち、気づいたときは、夜鷹の素足が青の胸に載っていた。
「……人を足で起こすな、」
「青、シャワー使わせろ」
「ご勝手に、……」と言いかけて、それが出来ないのだと理解して起きた。「傷は?」と訊く。
「昨日までに比べりゃ遥かにいい」
「それはよかった。傷濡らすとまずいんじゃないか?」
「ラップでも巻いときゃいいだろ」
「ラップなんかないよ。もう本当にそこらのもの処分しまくった家だから……洗ってやるからちょっと待ってろ」
「そりゃサービスがいいな」
青は顔を揉み、起き上がった。念のためにコンビニのビニール袋を割いて夜鷹の傷の上に巻き付け、浴室に招く。一切を脱いだ夜鷹が身体を晒す。
椅子もマットすらもなく、浴槽の縁に頭を置かせて夜鷹の髪を洗った。身体も洗ってやる。スポンジもないから、石鹸を懸命に手で泡立ててこする。浴槽の縁に頭を置いていた夜鷹は、鼻から息を漏らした。
「興奮する……」口調はそっけなく、欲望のありかは分からなかったのに、夜鷹の性器は青に触れられて兆していた。
視線を絡ませる。目の悪い夜鷹に合わせて顔を近づけた。夜鷹が昔の夜とそっくり同じに、口を開けた。青を待っている。腹の上に置いた手を石鹸のぬめりそのままに滑らせると、夜鷹は震える息を吐いた。
当たり前みたいに夜鷹の首筋に口づけ、当たり前みたいに夜鷹の性器を握り込む。ためらいなく口に含んで唇で扱く。頭上で夜鷹が呻いた。さまよっていた夜鷹の手が、青の髪をまさぐった。
「……おふくろが倒れてたの、ここなんだ」
唇を離して夜鷹に告げる。夜鷹は黒い目をさらに濃くし、「は」と嘲った。
「そりゃますます興奮する話だな」
「萎えただろ。……流すよ」
興奮を諦めた性器から手を離し、シャワーのコックをひねる。石鹸を流しながら「髪、よく見たらめちゃくちゃだな」とコメントした。
「ああ、自分でやったり人にやってもらったりだったから。髭だってテキトーだしな」
「散髪行けよ、夜鷹。顔剃りまでやってもらえばさっぱりする。そのあいだおれはちょっと用足ししてくるから。終わったらどこかで飯食って、今日のうちには東京に戻ろう」
「ずいぶんと急ぐな」
「傷の経過はここにいるより実家で見てた方がいいって話だよ。ここ、なんにもないから」
「あのばあさんはなんで死んだんだ」
「くも膜下出血。風呂場で倒れてそれっきりだった。元々あんまり身体に無茶のきく人じゃなかったから、学校も早期退職して隠居生活だった。まめに電話はしたけどひとり暮らしにさせたままおれはこっちに戻らなかったし、……叔父さんが気づいてくれなきゃ、手遅れももっと手遅れになってた」
「孤独死か」
「ああ……」
「おまえのせいじゃねえよ」
夜鷹に甘えたいのか、視界が淡くぼやけた。叔父から連絡をもらったときも、遺体を見たときも、葬式のときも、片付けさえも、全く泣けなかったというのに、いまさらこうして滲むものがある。
シャワーを止め、夜鷹の身体を丁寧に拭いて服を着せた。昨夜コンビニで買った食料を夜鷹とふたりでつまむ。「散髪はいい考えだが現金がない」というので、金をいくらか渡してやった。
「おまえの用事ってなに?」と訊かれた。
「ああ、昨夜お寺から連絡があって。葬儀の際の弔問客の忘れ物っぽいものがあるから確認して欲しいと言われたんだ。だから寺に。ついでに墓参りをね。とりあえずおれは行くからっていう出発の挨拶ぐらいしようと思って。次いつこっちに来るかはまだめどがついてないから」
「ふうん。面白そうだな。おれも行く」
「え?」
「墓参りというか、見物だな。線香あげる義理はねえし。おれの散髪が終わるまで待ってろ」
「あんまり面白がるな」
「おまえも散髪したら?」
夜鷹はにやりと笑った。青は髪を引っ張り、「そうだな」と答えて今日の予定が決まった。
← 24
→ 26
四.青と夜鷹(midnight to predawn)
するすると人混みを分けて進む背中を追いかける。魚みたいだと思った。水の流れを完全に熟知しているから、障害をものともしない。そんなわけないだろう、と青は腕を伸ばした。右手を強く掴んで引くと、その衝撃というよりはなにか別のものに起因するような反応で、夜鷹は声をあげた。
「――ってぇ」
「逃げるな、夜鷹」
「分かった、分かったからそんなに強く掴むな、てか引くな。傷引っ張られて痛えんだ」
「傷?」
言われてパッと手を離した。夜鷹は左手を荷物から剥がし、右肩をそっと押さえた。
「そういえば電話口で療養だって言ってたな。肩か? どうした」
「銃で撃たれた」
その答えは予想のはるか上空を飛んでいく。夜鷹は肩口のシャツを確認し、「くそ、なんか滲んでる」と忌々しそうに言った。
「見せろ。銃で撃たれるようなことを、なんで、」
「ちょっと抗争に巻き込まれたんだよ。かすっただけで、傷は大したことない。ただヤブ医者だったもんだから、術後がどうもよくない気がすんだよな。帰国したらまず日本の医者にかかれとボスに言われたが、こっちで医者も面倒」
「いや、かかった方がいい。確かに滲んでる。血は止まってるのか?」
「縫われたはずなんだがね」
「こんなとこじゃ確認もできない。傷は右肩だけか?」
「この通り五体満足で帰国してる。まあ、多少の擦過傷や打撲はあるけどな」
「分かったもんじゃないな。――くそ、もう逃げるなよ」
念のために夜鷹の左手首を掴み、荷物をさらって歩き出す。夜鷹が変に逃げるから逆方向の口まで来てしまった。こちら側のロータリーは裏玄関なので、あまり人通りがない。ゆえにタクシーも停まってはいなかった。それに外科の病院に向かうならやはり方向が違うのだった。元来た道を戻る。
「なんで逃げた」
「おまえの彼氏なんか紹介された日には絞殺死体を山中に埋めることになるからさ」
「ばか、あれは地元の幼なじみだよ。わざわざ香典を持ってきてくれたんだ」
「その紙袋?」
「そう。あいつの嫁さんが用意してくれたって菓子もあるらしい。後でな。病院が先だ」
左手を引かれるままに、夜鷹は黙って大人しくついてきた。反対側のロータリーまで来て、ようやくタクシーを捕まえた。市民病院に向かうよう運転手に告げる。夜鷹の大きな荷物はトランクに収まった。
タクシーの中でも左手首をずっと掴んでいた。そうしないと不安だった。またどこかへふらっと行ってしまえる、と思う。そのあたりは長年の経験から、信用がない。
「本当は今日、東京へ帰るつもりだった」と青から沈黙を破った。
「幼なじみと昼飯だけ一緒にして、ここは去るつもりだったんだよ。葬儀も片付けも終わったから。でも、おまえが来るって言うから、」
「おれのせいかよ。電話寄越したのおまえからだぞ」
「会いたかったから、こんなに早く会えて、うろたえる……」
いまさらになって震える膝をさすった。夜鷹が右肩にもたれかかってくる。
「傷、熱持ってきた。ちょっと貸してろ」
「辛い? 横になるか?」
「いや、これでいい」
夜鷹は目を閉じる。肩に置かれた夜鷹の真っ黒な髪からは、知らないにおいがした。
「おかえり」
「――ってぇ」
「逃げるな、夜鷹」
「分かった、分かったからそんなに強く掴むな、てか引くな。傷引っ張られて痛えんだ」
「傷?」
言われてパッと手を離した。夜鷹は左手を荷物から剥がし、右肩をそっと押さえた。
「そういえば電話口で療養だって言ってたな。肩か? どうした」
「銃で撃たれた」
その答えは予想のはるか上空を飛んでいく。夜鷹は肩口のシャツを確認し、「くそ、なんか滲んでる」と忌々しそうに言った。
「見せろ。銃で撃たれるようなことを、なんで、」
「ちょっと抗争に巻き込まれたんだよ。かすっただけで、傷は大したことない。ただヤブ医者だったもんだから、術後がどうもよくない気がすんだよな。帰国したらまず日本の医者にかかれとボスに言われたが、こっちで医者も面倒」
「いや、かかった方がいい。確かに滲んでる。血は止まってるのか?」
「縫われたはずなんだがね」
「こんなとこじゃ確認もできない。傷は右肩だけか?」
「この通り五体満足で帰国してる。まあ、多少の擦過傷や打撲はあるけどな」
「分かったもんじゃないな。――くそ、もう逃げるなよ」
念のために夜鷹の左手首を掴み、荷物をさらって歩き出す。夜鷹が変に逃げるから逆方向の口まで来てしまった。こちら側のロータリーは裏玄関なので、あまり人通りがない。ゆえにタクシーも停まってはいなかった。それに外科の病院に向かうならやはり方向が違うのだった。元来た道を戻る。
「なんで逃げた」
「おまえの彼氏なんか紹介された日には絞殺死体を山中に埋めることになるからさ」
「ばか、あれは地元の幼なじみだよ。わざわざ香典を持ってきてくれたんだ」
「その紙袋?」
「そう。あいつの嫁さんが用意してくれたって菓子もあるらしい。後でな。病院が先だ」
左手を引かれるままに、夜鷹は黙って大人しくついてきた。反対側のロータリーまで来て、ようやくタクシーを捕まえた。市民病院に向かうよう運転手に告げる。夜鷹の大きな荷物はトランクに収まった。
タクシーの中でも左手首をずっと掴んでいた。そうしないと不安だった。またどこかへふらっと行ってしまえる、と思う。そのあたりは長年の経験から、信用がない。
「本当は今日、東京へ帰るつもりだった」と青から沈黙を破った。
「幼なじみと昼飯だけ一緒にして、ここは去るつもりだったんだよ。葬儀も片付けも終わったから。でも、おまえが来るって言うから、」
「おれのせいかよ。電話寄越したのおまえからだぞ」
「会いたかったから、こんなに早く会えて、うろたえる……」
いまさらになって震える膝をさすった。夜鷹が右肩にもたれかかってくる。
「傷、熱持ってきた。ちょっと貸してろ」
「辛い? 横になるか?」
「いや、これでいい」
夜鷹は目を閉じる。肩に置かれた夜鷹の真っ黒な髪からは、知らないにおいがした。
「おかえり」
夜鷹の傷の経緯と経過を診た医者は驚きを通り越して呆れていた。帰国の途中ではガーゼを取り替えられなかったこと、当てられていたガーゼが汚染されていたことで、夜鷹の銃創は化膿していたのだ。夜鷹には抗生剤が打たれ、傷も縫い直された。帰国して早々の外科治療に参っているのは夜鷹本人で、処置が済んでもベッドの上で目覚めなかった。深く眠っている。
鈍く頭痛がした。カーテンを開けて外の様子を窺うと、日暮れの空から雨がパラパラと落ちていた。そういえばそんな予報だったと思い出す。
「様子はどうですかねえ」と外来の看護師がカーテンをくぐってやって来た。
「帰れそうならお帰りいただいていいんですけど、だめそうなら無理せず入院で様子見ましょうか?」
「いや、帰ります」
答えたのは夜鷹だった。看護師の声で目が覚めたらしい。
「ああ、お加減どうですか、前嶋さん」
「熱引いたっぽいです。大丈夫」
「薬が効いてますからね。大丈夫なら会計進んでお帰りください。痛み止めと抗生剤と化膿止めの処方箋も出てますから、忘れずに。まめにガーゼは取り替えてください。まだ傷口診る必要がありますので、このままここにかかるなら次回の来院の予約取ってもらえばいいんですけど、前嶋さん東京なんでしたっけ? あちらの病院にかかられるなら紹介状用意しますが」
「紹介状でお願いします」
「分かりました。用意いたしますので受付で受け取ってお帰りください」
看護師は用件だけ伝えてベッドから離れた。夜鷹はシャツに袖を通し直して、身支度をはじめる。
「カード使えるよな。両替してないから現金がない。保険証ないし、請求がこえーな」
「保険でなんとかならないか? それに帰るって、どこに帰るんだよ。まさか東京か?」
「いや、今日これ以上の移動はさすがにしんどい。おまえのとこに泊めろ。それともおまえは今日中に東京に戻らないとまずいのか?」
「いや、それはなんとでもなるけど、……家の鍵を叔父に預けてたんだ。受け取り直さないと」
「じゃあ手配してこい。おれは会計して薬局に行く」
夜鷹は立ち上がり、染みのついたシャツで処置室を出た。夜鷹が手続きを済ませるあいだに青は叔父と連絡を取って家の鍵を受け取った。
「――雨か」病院を出て夜鷹は漏らした。
「タクシーで戻ろう。家、布団ぐらいしかもうないんだ。夕飯買って行こう」
「うなぎ食いてえなあ」
「無茶言うな」
タクシーで途中コンビニに寄ってもらい、朝出た家にまた戻る。
「おまえの実家、そういやはじめて」
夜鷹は嬉しそうというよりは、愉快でたまらないという顔をした。
← 23
→ 25
鈍く頭痛がした。カーテンを開けて外の様子を窺うと、日暮れの空から雨がパラパラと落ちていた。そういえばそんな予報だったと思い出す。
「様子はどうですかねえ」と外来の看護師がカーテンをくぐってやって来た。
「帰れそうならお帰りいただいていいんですけど、だめそうなら無理せず入院で様子見ましょうか?」
「いや、帰ります」
答えたのは夜鷹だった。看護師の声で目が覚めたらしい。
「ああ、お加減どうですか、前嶋さん」
「熱引いたっぽいです。大丈夫」
「薬が効いてますからね。大丈夫なら会計進んでお帰りください。痛み止めと抗生剤と化膿止めの処方箋も出てますから、忘れずに。まめにガーゼは取り替えてください。まだ傷口診る必要がありますので、このままここにかかるなら次回の来院の予約取ってもらえばいいんですけど、前嶋さん東京なんでしたっけ? あちらの病院にかかられるなら紹介状用意しますが」
「紹介状でお願いします」
「分かりました。用意いたしますので受付で受け取ってお帰りください」
看護師は用件だけ伝えてベッドから離れた。夜鷹はシャツに袖を通し直して、身支度をはじめる。
「カード使えるよな。両替してないから現金がない。保険証ないし、請求がこえーな」
「保険でなんとかならないか? それに帰るって、どこに帰るんだよ。まさか東京か?」
「いや、今日これ以上の移動はさすがにしんどい。おまえのとこに泊めろ。それともおまえは今日中に東京に戻らないとまずいのか?」
「いや、それはなんとでもなるけど、……家の鍵を叔父に預けてたんだ。受け取り直さないと」
「じゃあ手配してこい。おれは会計して薬局に行く」
夜鷹は立ち上がり、染みのついたシャツで処置室を出た。夜鷹が手続きを済ませるあいだに青は叔父と連絡を取って家の鍵を受け取った。
「――雨か」病院を出て夜鷹は漏らした。
「タクシーで戻ろう。家、布団ぐらいしかもうないんだ。夕飯買って行こう」
「うなぎ食いてえなあ」
「無茶言うな」
タクシーで途中コンビニに寄ってもらい、朝出た家にまた戻る。
「おまえの実家、そういやはじめて」
夜鷹は嬉しそうというよりは、愉快でたまらないという顔をした。
← 23
→ 25
「おまえ、いつの間に携帯電話なんか買ったんだ」
『このあいだ。これはまだ誰にも言ってないんだ。夜鷹も携帯買えよ。海外に行くんだし』
「向こうで持つつもりだ」
『じゃあ持ったらここにかけて。いつでも出る。おれもかける』
「いいのかよ。婚約決まったんだろ」
『……ああ、聞いたか』
「浅野と?」
『うん。……両方の親への挨拶は、これからだけど』
「星も見ないのか」
『もう見る必要がなくなった。おれが見る星は夜鷹とあの山の上で見た星空が全部でいいから。……荷物になるけど、よかったら持ってってくれ。夜鷹はこれからいろんなところへ行きそうだから、おれが持つより活躍しそうだ』
「壊してやろうと思った」
『夜鷹がそうするなら、それでもいい』
沈黙ができた。夜鷹は絵葉書を手であそびながら、窓の外へ目を向ける。散りかけの梅の花がひらひらと花弁を落としていた。
「青、おまえもうさ、淋しいって言うの、やめな」
そう言うと、青はさらに黙った。
「言えば解消するってもんでもないって、とっくに分かってんだろ。だから飲み込め。淋しくても我慢しろ。浅野との生活で解消されればそれでいいし、されなくて溜まってっても、言うな。口にしない」
『……溜まって溜まって、どうにもならなくなったら?』
「おれに電話しろ。おれに言え。そのとき、おまえがあんまりにもひとりぼっちでがんじがらめで、淋しさで死にそうって言うなら、真っ昼間からやりまくろうぜ」
『……夜鷹、もう本当に、会えなくなる』
「電話があるんだろ。いつでも話せる。絵葉書だって送ってやるよ。日本に戻ることがあったら、会うこともあるだろう」
『夜鷹、好きだよ』
「ああ、愛してる。残念だったな、青。浅野とうまくやれよ」
電話を切った。子機を放り投げ、夜鷹はベッドに勢いよく沈む。
荷造りをしなければならなかった。だが身体が震える。青に愛されたかった。同化はないのに、夜鷹も同じものを求めていたと、気づいた。
『このあいだ。これはまだ誰にも言ってないんだ。夜鷹も携帯買えよ。海外に行くんだし』
「向こうで持つつもりだ」
『じゃあ持ったらここにかけて。いつでも出る。おれもかける』
「いいのかよ。婚約決まったんだろ」
『……ああ、聞いたか』
「浅野と?」
『うん。……両方の親への挨拶は、これからだけど』
「星も見ないのか」
『もう見る必要がなくなった。おれが見る星は夜鷹とあの山の上で見た星空が全部でいいから。……荷物になるけど、よかったら持ってってくれ。夜鷹はこれからいろんなところへ行きそうだから、おれが持つより活躍しそうだ』
「壊してやろうと思った」
『夜鷹がそうするなら、それでもいい』
沈黙ができた。夜鷹は絵葉書を手であそびながら、窓の外へ目を向ける。散りかけの梅の花がひらひらと花弁を落としていた。
「青、おまえもうさ、淋しいって言うの、やめな」
そう言うと、青はさらに黙った。
「言えば解消するってもんでもないって、とっくに分かってんだろ。だから飲み込め。淋しくても我慢しろ。浅野との生活で解消されればそれでいいし、されなくて溜まってっても、言うな。口にしない」
『……溜まって溜まって、どうにもならなくなったら?』
「おれに電話しろ。おれに言え。そのとき、おまえがあんまりにもひとりぼっちでがんじがらめで、淋しさで死にそうって言うなら、真っ昼間からやりまくろうぜ」
『……夜鷹、もう本当に、会えなくなる』
「電話があるんだろ。いつでも話せる。絵葉書だって送ってやるよ。日本に戻ることがあったら、会うこともあるだろう」
『夜鷹、好きだよ』
「ああ、愛してる。残念だったな、青。浅野とうまくやれよ」
電話を切った。子機を放り投げ、夜鷹はベッドに勢いよく沈む。
荷造りをしなければならなかった。だが身体が震える。青に愛されたかった。同化はないのに、夜鷹も同じものを求めていたと、気づいた。
新幹線の車掌に軽く肩を叩かれ、それがちょうど傷の真上だったので、思わず大きく呻いてしまった。眠っていたところを起こされたのだ。車掌に文句でも言ってやろうかと思ったが、相手が傷のありかを知るわけがない。それに彼は夜鷹があまりにも身体をのけぞらせて起き上がったものだから、びっくりしてひたすら申し訳なさそうな顔をしていた。日本人のこういうところ。嫌気が差したが毒気は抜けた。
「大丈夫ですか? あの、終点ですけど」
「ああ、……ありがとう。降ります」
終点で降りる新幹線で良かったと思った。荷物を引っ張り、車両を降りる。駅のホームに立ち、思いのほか暑くて上着を脱いだ。ここから何線に乗り継ぎだっけか。駅名を忘れたので青に電話をする。
コール数回で青は電話に出た。
「N駅まで来た。ここからどうすんだっけ」
『S線だな。新幹線ホームから在来線に乗り換え。これからだとこっちに昼過ぎに着く電車がある。それで来てくれ』
「なあ、なんで電子マネー使えねえんだよ。いまどきこんなのあるか?」
『田舎だから、としか……おれだって久々にこっち来て戸惑ったよ』
電話の向こうで青は苦笑した。夜鷹は息を吸い、「淋しいか、青」と訊ねた。
『……淋しい。気が狂って死にそうだ』
「そうだな」
また後で、と言って電話を切る。新幹線ホームの外側に、淀んだ雲が見える。
だがちらちらと青空が覗いていた。春と夏のあわいにいるのだと思った。
← 22
→ 24
「大丈夫ですか? あの、終点ですけど」
「ああ、……ありがとう。降ります」
終点で降りる新幹線で良かったと思った。荷物を引っ張り、車両を降りる。駅のホームに立ち、思いのほか暑くて上着を脱いだ。ここから何線に乗り継ぎだっけか。駅名を忘れたので青に電話をする。
コール数回で青は電話に出た。
「N駅まで来た。ここからどうすんだっけ」
『S線だな。新幹線ホームから在来線に乗り換え。これからだとこっちに昼過ぎに着く電車がある。それで来てくれ』
「なあ、なんで電子マネー使えねえんだよ。いまどきこんなのあるか?」
『田舎だから、としか……おれだって久々にこっち来て戸惑ったよ』
電話の向こうで青は苦笑した。夜鷹は息を吸い、「淋しいか、青」と訊ねた。
『……淋しい。気が狂って死にそうだ』
「そうだな」
また後で、と言って電話を切る。新幹線ホームの外側に、淀んだ雲が見える。
だがちらちらと青空が覗いていた。春と夏のあわいにいるのだと思った。
← 22
→ 24
プロフィール
HN:
粟津原栗子
性別:
非公開
自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。
****
2022*08*11-21
暑いですね。番外編短編、ちょこっと更新しています。
2021*12*04-2022*03*17
お久しぶりです。短編長編更新。
短編「さきごろのはる」
短編「月の椅子」
短編「みんな嬉しいお菓子の日」
長編「ファンタスティック・ブロウ」
短編「冬の日、林檎真っ赤に熟れて」
2021*08*16-08*19
甘いお菓子のある短編「最善最愛チョコレート」更新。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。
****
2022*08*11-21
暑いですね。番外編短編、ちょこっと更新しています。
2021*12*04-2022*03*17
お久しぶりです。短編長編更新。
短編「さきごろのはる」
短編「月の椅子」
短編「みんな嬉しいお菓子の日」
長編「ファンタスティック・ブロウ」
短編「冬の日、林檎真っ赤に熟れて」
2021*08*16-08*19
甘いお菓子のある短編「最善最愛チョコレート」更新。
カウンター
カレンダー
03 | 2025/04 | 05 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 |
フリーエリア
最新コメント
[03/18 粟津原栗子]
[03/16 粟津原栗子]
[01/27 粟津原栗子]
[01/01 粟津原栗子]
[09/15 粟津原栗子]
フリーエリア
ブログ内検索