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成人女性を対象とした自作小説を置いています。
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1.篠宮


 七嶋は右目が悪いらしい。眼鏡の度が片方だけ強いんだ、と誰かが言っていた。レンズ越しに見える輪郭の歪みで分かるものらしいが、それを確かめようと思うほど七嶋に興味がない。
 俺たち二年Bクラスの副担任で、生物の担当だ。神経質で真面目でなんの面白みもない。にこりとも笑わないし、気配が薄い。授業は単調、つまらない。
 きちんとプレスしたシャツに紺色のベスト、ネクタイは常にきっちり締める。たまに白衣。髪は後ろへ撫でるように整えてあり、まだ三十代だという話だが、ふけて見えた。黒縁の眼鏡がまた笑えた。なにを考えているか全く分からない宇宙人。向こうも俺たちのことはそう思っていただろう。
 後ろの席の女子が「七嶋って死体にしか興奮しないんだってよ」と笑っていた。七嶋には色んな噂がある。駅前で出た変質者は七嶋だったとか、夜な夜な生物室で標本を作っているとか。右目は自分でくりぬいて解剖に使ってしまったとか、ホルマリン漬けにして自宅に飾ってあるのだとか。
 そういう危険な噂の似合う教師だ。どれも根も葉もないデマだと分かっていて、俺たちは噂をした。楽しいからだ。
 その七嶋に俺はいま呼び出されている。生物準備室の椅子に腰かけ、成績簿をめくる七嶋の神経質そうな横顔を、何の喜びもないのに眺めている。
「篠宮」七嶋が俺を呼んだ。こんな噂の立つ男でも一応は教師だ。声が通る。名前を呼ばれると背筋が緊張して、伸びる。
「こういうことをされると、さすがに屈辱だ」
「……」
「生物に限って点数が悪いとはね。いつも寝ているな。ぼくの授業はつまらないか」
 七嶋が先日のテストの答案を僕に差し出した。かろうじて名前だけ書いて提出した、努力のかけらもない答案用紙だ。今回のテストはすべての教科で復習範囲が広く、生物までは手をつけなかった。七嶋のことだから、赤点でも一回の補習を受ければ落第にはしないだろうと見当をつけていた。
 他教科の成績はそれなりに良かった。特に今回は英語の出来がよく、あと3点で学年トップと並んだ。勉強が嫌いなわけではない。生物の成績が悪いのは、七嶋がつまらないからだ。
 はあ、と俺は気のない返事をした。「つまらないです。興味がありません」
「興味のあるなしに関わらず、やっていかなければならない」
「七嶋先生と同じです。先生が学校とか生徒に興味がないのと同じように、俺も生物には興味ないんです」
 七嶋がファイルから顔を上げた。眼鏡のレンズが反射して、ますます表情が分かりにくくなる。
「――なかなか見ているじゃないか。寝てると思ったのに」
「……分かるしそんくらい。ねえ、先生。学校とか仕事とか、人生とか生活とか社会とか、つまんなくない?」
「つまらなくはないな」
「つまんなさそうに見える。から、俺もつまんない」
 喧嘩を売っているつもりはなくとも、言葉が口から飛び出た瞬間に思わぬ棘が現れた。七嶋はこんなことで逆切れするような教師でもないはずだが、それでも一応、「すいませんでした」と謝っておく。
 面倒事は嫌いだ。こういうことは大人しくしおらしい態度でさっさと済ませるのがいい。次は頑張ります、と頭を下げて帰ろうとしたら、七嶋は「まだ終わっていない」と俺を呼び止めた。
 ファイルを閉じ、眼鏡を外し、ふーっと長く息を吐いた。眉間を揉む。
「つまらなく見える態度で接したことは、ぼくが悪かった。確かに面倒臭い。勉強のやる気のない生徒の指導なんて特に」
 仕返しのように七嶋は喋り出した。「でも、つまらなくはないよ」七嶋は顔を上げる。
 眼鏡を外した顔は、普段よりもずっと若かった。目がすきとおって見えた。
「ぼくは毎日楽しいよ。思いがけないことが起きたり、些細なことに喜びを感じられる。きみらの年齢よりもずっと許されることが多くなったから、楽しみが増えた」
「はあ、」
「大人になって良かったと思う。きみらの世代は窮屈だからな。でもその世代の楽しみは分かる。だから早く大人になれなんてことは言わないが」
 初めて七嶋と目が合った。瞳は鋭く、迫力がある。思わず身体が引いた。
「そんな若いうちから要領よくやって社会とか生活とか考えていると、ぼくの歳になる頃きみはもう人生に退屈し切っている」
 そう言って、七嶋は口端をわずかに上げた。言い切られたことに俺はたじろいだ。こんな強い発言が出来る教師だったろうか。こんなに根気強く俺たちコドモに向き合おうとする人間だったろうか。俺たちと同じく、厄介ごとは嫌いだったんじゃないのか。
 補習の日程を告げ、七嶋は帰宅を許した。準備室から去る間際、もう一度七嶋の顔を見ると目が合った。
「ぼくは美術部だった」と七嶋が言った。
「高校の頃。毎日夢中で過ごしたな。楽しかった」
「……」
「暗くなる前に帰りなさい。さようなら」
「さようなら、」
 有無を言わさず準備室から追い出された。廊下を歩いていると、落ち着かなくなった。七嶋はアレ、笑ったんだ。喋った。眼鏡を外した。
 同時にとても悔しくなった。なに一人で熱くなってんだよ、だせぇ。そう悪態をつきながらも、七嶋の台詞や表情を繰り返し思い出した。



 夏休みに入ってすぐ、たった一日で補習は終わった。
 くそ暑い中わざわざ学校へ出向いたのに、七嶋が用意した補習はプリント一枚だ。提出し終わった者から帰って良し、と黒板に書いてあり、内容はめちゃくちゃ難しかった。悪意を感じ、同時に笑えた。意地の悪い顔をしながらこれを作成したに違いない。なにがなんでも空欄はすべて埋めてやった。
 夏休みも折り返しの八月中旬、新幹線のホームで七嶋を見た。
 大きな肩掛けの鞄を背負い、いつもよりラフな格好で新幹線を待っていた。前髪は降りているし、ポロシャツのボタンは二つとも外れている。ネイビーのチノパンは爽やかで若々しく、似合う似合わないよりもそんな色の服を持っていたことが驚きだった。
袖から伸びる腕は白く、引き締まっていた。痩せ形のイメージがあったが意外とそうではなかったらしい。俺たちの世代とは違う、大人の筋肉のつき方だと思った。
 俺はと言えば新幹線でやって来る叔母を迎えに来ただけだったので、切符は持っていなかった。叔母が来るより先に七嶋を見つけてしまい、じっと見ていた。学校で会ったらこの件で話しかけられるかもしれない。先日の一件で七嶋に興味が沸いていた。ひょっとすれば応えてくれるかもしれない、期待があった。
 七嶋は立ったまま文庫本に目を落とし、俺には一向に気付かなかった。
 眼鏡をしていない横顔は、通った鼻筋がはっきりわかった。睫毛まで見える。ぱし、ぱしと瞬きをする、その右目の視力の真相が気になった。ひょっとして俺は七嶋の右側にいるから気付かれないのか、と思いつく。
 向こうへまわろうとした時、列車が到着して、人波が動いた。叔母が乗って来たはずの新幹線に、降車客の後、七嶋のいた列も動き出す。歩き出してから七嶋がふとこちらを向いた。
 目が合うと同時に、七嶋は笑った。目元にかかった前髪が風で揺れる。
 唇に人差し指を当て、しい、の仕草をした。笑うと目尻が下がり、きつい顔が和らいだ。瞬間、心臓が強く鋭く痛む。痛みを痛みと思わないうちに俺は走り出していた。
 だが急に腕を引かれ、すぐに止まった。叔母が俺を見つけて「良かった見つけたわ」と安堵の表情で立っている。振り返ると新幹線は動き出していた。もう追いかけられない。
 この新幹線の行き先は東京だ。七嶋はどこへ行くんだろう。あんな楽しそうな顔で、なにをしに行ったんだろう。
 夏休みが終わって学校で会えても、この件は問えない気がした。七嶋にすら告げず、内緒にしたかった。


End.


→ 2(松田)





関連:「+18」


拍手[48回]

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 地元の大学でも、農学部、というところが肝心である。私の実家からH大本学へは通学圏内にあるが、農学部のみキャンパスが離れている。実習用の農林地を必要とするためだ。県内へ進学だなんて親孝行ねと言われつつ、親元から離れて暮らせた。清己と同じく、私もあの町を離れたかった。田舎でも都会でも、なんでも。
地価が安いので学生向けアパートでも比較的広い部屋で暮らせた。念願のひとり暮らしは楽しくて、非常に淋しかった。淋しい、という衝動はとてつもなく強大だ。清己がいれば他人を必要としなかったこの私が、ありとあらゆる性格の人間と交友した。恋人も作った。
 ただ、私には清己が最上であった。すべてのものは清己を超えない。よってどの恋にも男にも本気になれぬまま、当然ながら長続きはしていない。清己が手に入るか、入らねば私一人か。私にはこの二択だ。
 十八年はあっという間だった。
 いま私は生物学の教師として地元の公立高校に勤めながら、一人で暮らしている。結婚はもちろんしていない。ただ、周囲の環境は学生の頃よりも変化した。あの頃よりも年老いた両親は息子の性癖にどうやら気付き、放っておいてくれている。たまに顔を出しても、不義理に文句を言うだけで嫁がほしいという話はしなくなった。おまえは教師という職業で顔もそれなりなのだから嫁は必ず来る、と説き続けた祖母は一昨年亡くなった。
 あれだけ目立つ男でも、清己の噂は全く聞かなくなった。
 東京へ出た清己は、こちらへ戻ることはなかった。同窓会にも顔を出さない。結婚したのかしていないのか、仕事はなにをしているのか、生きているのか死んでいるのかも分からない。
生きていれば結婚でもして、家庭を持ち、いい生活を送っていそうな男だ。私と正反対を行ける人間だった。家族がいることがいいと言い切れないが、一人が唐突に辛い夜は、たまにやって来る。守るべき存在の温かみは、二択しか許せない私でも想像がつく。
 そんなことを考えるのは、梅雨で憂鬱になっているせいだと思った。青とも赤ともつかぬ異常な夕方に胸がざわめく。清己といた頃は、この色が好きだった。美術室の窓から見るこの色は、清己という男の美しさを悪質に際立たせたものだった。
 思い出した清己のせいでなんだか気が急いて、気晴らしに外へ出た。散歩をして、電器屋でプリンターのインクを買い、スーパーで買い物をした。雨は降るか降らないか微妙な際を行き、今日もきっとアカムラサキ色の夕方が来る。
 コーヒーでもどこかで飲んで来ればよかったと思いながらアパートまでの道を歩いていると、国道を渡る歩道橋で懐かしい後ろ姿を見た。痩身でピンと張った背筋。喪服姿で、傘は差していない。
 まさかと思いぼんやりと眺めていると、男が振り返った。清己である。
 歳を取った。相変わらず男前だった。見惚れて声が出なかった。
「――キヨ」
「おまえのアパートへ行くところだった」
 早く連れて行け、と清己は私の傘の中に入って来た。冷たい手が傘の柄を掴みとり、二人にちょうど良いよう傘を持ち上げる。濡れた喪服、清己の匂いが立ち上った。あの頃と変わらぬ匂いに眩暈がした。
「傘は」
「タクシーに忘れてきた」
「なんでぼくがここだって」
「おまえの家に電話して訊いた」
「……誰か亡くなったのか」
「父方の伯父が。実家はこっちなんだ」
 淡々とした言い口に、むなしさが滲んでいる。ものが言えない私をちらりと見て、清己は「七嶋が先生だなんてな」と息を吐きながら呟いた。
「似合わねぇ。生物学なんて本当に知っているか?」
「そっちこそいまなにやっているんだ」
「研究員。建築材の開発。独身だ」
「え」
「先に言っておかないと、七嶋は黙る気がしたんだ」
 ホラ、と言って清己は左手をかざして見せた。骨ばった長い指には何もはまっていない。うん、と私は曖昧に頷いた。清己は一体なにをしに来たのか考える前に、指だけで体が痺れる。
 部屋の鍵を開け、清己を中に通す。急な来客に困るような部屋の使い方はしていない。部屋干しの洗濯物も、清己相手では今更どうでも良かった。
「東京には来なかったな」
「……きみの方こそ、美大には行かなかった」
 清己の言葉に、私は少々乱暴に答えた。「おまえだって行かなかったじゃないか」と言われ、言い返せなくても、悪いのは百パーセント清己だと思う。
 もっとも、どちらが悪いとか良いとか、そんなことを問い詰めたいわけではない。清己も同じ思いで、「まあ、どうでもいいわ」と投げやりに呟いた。
 また沈黙に支配された。外からわずかに雨音がする。ふと私は眼鏡のことを訊ねた。いま清己は裸眼だ。あの鬱陶しい黒縁が顔にかかっていない。
「またそんな古い話題を」清己は自嘲気味に笑った。「東京行ってから、してない。自分を隠す必要がない」
「いまそんなのかけたら、一気に老けそうだな」
「かけなくても老けたよ、清己」
「おまえだって同じだ七嶋」
「もう三十六歳とか言うんだ、ぼくら。十八だったぼくときみがさ」
「でもまだ、人生はあと半分も残っているらしいぜ」
 そう言って清己は喪服の上着を脱いだ。「濡れた」
 あの頃、触れたくても触れられなかった身体が、私の目の前にある。どういう訳だか、私の暮らす部屋の畳の上に座っている。白いカッターシャツと黒いネクタイ。透ける肩甲骨の魅力は変わらず顕在した。
 視線に気付いた清己は、タイを緩めながら、「もっと中まで見せようか」と笑った。
「鍛えているから、オヤジとかジジイとか老けたとか、悪いが無縁だ。そこらの中年になんかならないよ、おれは」
「相変わらず自分が好きだな。すごい自信だ」
「おまえに散々そういう目で見られたからな。おまえにとっておれは他より美しく特別でなきゃ意味のないもんらしいから、努力している」
「え?」
「なあ、おまえのその美意識の高さに応えられる人間なんて、おれぐらいなもんだぞ」
 清己は指で私の眉間を突き、そのまま私の手を取った。私はふるえた。
 高校の頃に戻れるなら、清己をあけすけな眼差しで追っていた私にこそ、眼鏡を与えたかった。そんな目じゃ、バレバレだった。清己を見ることばかりに夢中で、自分が見られていることは思惑の外だった。
 同時に、ああ道理で、と私は思った。歳を経てもなお、私にとって清己が魅力的であるわけだ。
「東京でなくたって、あの町じゃなきゃどこだっていい。おれを欲しがれ、七嶋。おまえがおれに狂うところを、おれは見たい」
 とんでもないことを言っておいて、手は思春期のようにぎこちなく握り合っていたりするのだ。清己のてのひらも温度も力の込め具合も、気持ちが良かった。触れていると頭がぼうっとした。
 私もまたなにかおかしなことを口走ったはずだが、私の脳へは届かなかった。清己は笑いながら畳に背を落とした。



 私が読んだ通りに、あやうい色の夕方が来た。
 私は清己の肌に歯や爪を立てている。清己は「いい」と答えた。私の見たことのない顔で。


End.


← 前編






拍手[116回]


 六月に入ると同時に梅雨入りが発表された。厚く低い雲と、その向こうに無理やり押し込められた太陽とで、大気の色が変わる。アカムラサキ色の夕方が多くなった。その短い時間に、私は清己(きよみ)を思い出している。
 元気なのか。あれから十八年過ぎた。私もきみもそろそろ若くない。
 いまどうしている。



 清己は私にとってパーフェクトに美しかった。伸びやかな背、髪は黒く真っ直ぐで、端正な顔立ちをしている。口数は多い方ではなかったが、求められれば的確な発言をした。頭の回転が速い。声も佳い。低すぎず高すぎない。
私と同じく美術部に属してはいたが、運動も出来た。高校一年の頃は、校内でひらかれた強歩会で男子四位だったと記憶している。ちなみに私は、二百五十七位という記憶になにも残らない記録だった。
 当然のように誰からも好かれたが、本人はそれを嫌い黒フレームの眼鏡をかけていた。その下にどんな顔立ちがあろうと、第一印象では黒フレームしか覚えられないような強烈なアイテムだ。それでももてた。生徒会に属するような優等生タイプでもなく、笑顔の爽快なスポーツマンタイプでもなかったのに、いつの間に誰彼に告白されて、つきあっていた。
 誰も長続きはしなかった。女の方から寄って来て、女の方から去る。「孤独でいる姿がいい」とはじめは言うのに、「彼は理解できない」と言って終わる。私が思うに、清己は誰にも心をひらいていない。常に己が一番のとんだナルシストが清己だ。そしてそんな清己は、私の大の好物であった。
 ほしい、と思う彼女たちの気持ちが私には分かった。絶対的に美しいものは、手中に収めておきたい。しなやかな体、飽きず感動を呼び起こす存在感。特に六月あたま、冬服から夏服に変わる頃が良かった。カッターシャツの下、かたちよい肩甲骨が浮かび上がる。
 クラスが遠いせいで、体育も一緒にならないのが残念でならない、と思っていた。
 高校二年の頃、私は美大への進学を希望していた。校外で画塾に通っており、そこの講師がT美大の出身だったので、同じくT美大油彩科への進学を考えていた。T美大、と聞いて清己は「いいな」と言った。普段私の話をうすく笑って訊くのが清己という男なので、からかい半分でそう言ったのだと思った。
「いいじゃないか、T美大。美大なんておまえらしいよ。それに、Tは東京にある。家を出るんだな」
「ぼくに一人暮らしなんかできないって、ばかにしている顔だな、」
「そうだな、鈍感でぼんやりとしているから、一人暮らしはしない方がいい。おれも行こうか、T美大」
「……来るのか?」
「一緒に暮らしてやるよ」
「――それは、すごい毎日になりそうだ」
 清己の言葉を深く考えるよりも胸がざわめいた。美術部に所属してはいるが、清己は理系の男だと思っている。そちらの方がはるかに出来が良いし、正直、清己のデッサンは筆致が豪快なだけで上手くはない。この会話は冗談だと分かっていて、嬉しかった。
「清己と暮らしたらきみしか描けなくなるな」と私は笑った。冗談に包んでほとんど本心だ。清己は私を眺めてから、「ばぁか」と悪態をついた。
「――そうそう、そうやってさ。こんなせまっくるしくて噂ばっかり早い町なんか、早く出るんだ。東京がいい。人が多すぎて、他人に関心が向かない。好奇心なんて誰にでもあるものでいちいち騒いだりしない」
「そういうものかな」
「おまえだって同じだ。なにを想ってなにを言っても、七嶋(しちしま)の自由だぜ」
 清己はきっぱりと言った。いつもと変わらぬ声音だったが、清己の本心を聞いたように思った。狭く閉鎖的な環境にうんざりする清己の気持ちは、ちがう立場ながら私も同じことを感じていた。
 まるでいけないことのように囁かれるから、私は本心を押し隠している。清己が欲しくても言わないし、分からないよう十分注意して暮らしている。本当は清己に触れたい。もうずっと秘め込んだ思いは、煮詰まって心臓の底に焦げ付き、ずぶずぶと真っ黒い。
 間もなく高校三年に進級し、清己は転校した。父親の転勤について行ったのだ。どうせあと一年で卒業するのだからどこかに下宿でもすれば良かったのに、わざわざ転校を決めたのは、転勤先が東京だったからだ。清己はこの町を早く出たがっていた。私はとても淋しかったが、淋しいと言わなかった。ここは自由でないので、私が清己に抱く気持ちは言葉にしてはならない。
 引っ越す前日、美術室へ荷物の整理にやって来た清己は、買ったきり使わないでいた油絵具を「寄付」と言って私にくれた。この時点で清己はT美大へ進学しない気がした。「先に行っている。元気でやれよ。」
 私の予想通りに、清己はT美大には進まなかった。同じ年度の二月、有名私大の理工学部に合格したことを清己の元担任から聞いた。落胆しつつも、美大よりも清己らしい進路選択だと思った。
 実技講習で講師より酷評を受けていた私は、そこで美大進学に見切りをつけた。後期選抜で地元のH大農学部を受験し、ぎりぎりで合格通知を受け取った。東京には行かなかった。


後編






拍手[57回]


 深谷にじっと見つめられるだけの時間が、もうどれぐらい過ぎただろう。今日が六日目、よく集中力が続く。いや、深谷曰くこれは「愉しんでいる」時間なのだから、集中力がどうとかこうとか、そういう話ではないのか。ソファに深く座ったきり動かないから寝ているかと勘違いしそうだが、目はずっとこちらへ傾けられている。微笑んでさえいる。
 奇妙なバイトを引き受けたのは、報酬がやたらと高額であったからだ。一週間で十万。男に「鑑賞される」仕事だ。話を持ち込んだのは兄で、「世話になった人が若くて暇で口の堅い男を欲しがっているがおまえやらないか」という話に、詳細も聞かず食い付いた。一月に会社のリストラに遭い、職を探すもなかなか見つからず、実家で寝てばかりいる日々だった。断る理由なんかなかったし、一週間で十万は破格だ。
 兄が世話になった人は、名を深谷と言った。四十代を超えるか超えないかぐらいで、痩せ型の身体に、ブルーグレイのセーターが似合った。すっと伸びた背が好印象だ。挨拶を交わした際の、温和な声も良かった。
その深谷の家で、一日を深谷の傍で好きに過ごすのがこのバイトだ。本を読もうがゲームをしようが、飯を食おうが寝ようが構わない。ただその間、おれはずっと深谷に見つめられ続ける。鑑賞される仕事、はそのままの意味だった。
 黙って鑑賞を楽しんでいた深谷が、深く息を漏らして身じろいだ。「顎、少しあげて」
「……こうですか?」
 深谷の向かいにあるカウチに寝転んで本を読んでいたおれは、深谷の命じるとおりに顔を持ち上げた。深谷が「もうちょっと」と言って、手を伸ばし顎先に触れてくる。喉仏をぐっと突き出すような体勢になった。
「くるしい?」
 本を読むにしてはおかしな体勢を、深谷が訊いた。
「いや、平気」
「顎と喉の線が見たい」
 再びソファに沈みながら、「いいよ」と満足げにため息をついた。深谷のために、しばらくその体勢でいてやる。鑑賞用の魚にでもなった気分だ。残念ながら、おれはごく平凡な顔と身体で、目を惹くカラーも造形もない。どこが楽しいのか分からない。こうやって深谷に見つめられ続けていると、身体の頼りなさを意識せざるを得ない。
 兄の話では、深谷は独身で一人暮らしということだった。三十代で一度結婚をしているが、間もなく母親に介護が必要となり、薄情な妻とは数年の別居生活の末に別れたそうだ。その母親も今年のはじめに亡くなった。子どもはいない。古くこぢんまりとした住宅に今まで通り暮らし、会社に通っている。
 真面目な人だと言うが、そんな真面目な人間が、こんなおかしな嗜好を楽しんでいる。抑圧され続けた生活から解放された反動、と言うだろうか。おれをうっとりと眺めては、満足の深い息を漏らす。おれの中になにかを見つけてはひっそりと笑う。
 昼ごろから始めて、夕方には終わる仕事だ。たっぷり見つめられた後は夕飯を馳走になる。決まって宅配で、とびきり豪華なものをおれと自分のために用意した。うなぎだとか江戸前寿司だとかふぐだとか、食おうとも考えないような豪華なものばかりだ。
 初日は緊張と強い羞恥でなにも食えなかった。じっと深谷に見つめられることが、恥ずかしくてたまらなかった。なにをしてもどう動いても熱のある視線が常におれに貼りついている。服なんか脱いじゃいないのに……――緊張しすぎた結果、二日目は早退した。疲労と緊張で熱を出した。
 それでも三日目以降は順調で、深谷がいても自由にふるまえるようになった。大抵は深谷の家の本棚から一冊より抜き出して、それをめくっている。たまに深谷に命じられたり、或いは視線を意識したりして、顔を上げる。目が合っても、深谷はうすく笑うだけだ。はじめこそ恥ずかしくて目を逸らしてばかりいたが、逆に見返すようにしたら、おれも楽しくなった。そうやってほとんどなにも喋らず互いを見つめながら、時間を過ごしている。
 日が暮れかかった頃、玄関のチャイムが鳴った。深谷が「今日はおしまいだ」と言って立ち上がった。デリバリーが届いたのだ。六日目の夕飯は中華で、深谷が器のふたを取る前に匂いで腹が鳴った。とろとろに煮込まれた豚肉や餡でとじられた海老、粽など、いつもより品数が多いのが嬉しい。早速箸を受け取り、食べる。
 この仕事も、明日で終わる。一日早退してしまったが前金で渡された十万はそのままでいいと言われている。ほとんど喋らないから、深谷のことは兄から聞いた話の範囲でしか知らない。普段はどんな仕事をしているのか、こんな時期に一週間も休みを取れるような立場なのか。なんでこんな趣味なんか持ってしまったか、これは初めてなのかいつもこうして若い男を呼んでいるのか。おれが辞めたら、また新しいだれかを呼ぶのか。そこまで考えるとつまらくなり、おれは自分から口をひらいた。「次は、どんな人が来るんですか」
「――ないよ、ない。誰も来ないよ。こんなことするのは初めてだし、これから続けるつもりもないさ」
 最初で最後だから、と深谷は笑った。鑑賞の際の恍惚とした笑みとは違う、人に向けられた豊かで朗らかな笑みだ。胸がくるしくなった。
「……なんで男を鑑賞ですか? おれなんか見てて、一日中それだけで、楽しい?」
「楽しいよ。あなたに来てもらえて正解だったから、あなたのお兄さんにはとても感謝している。ずっと夢だった。夢というか、野望だな、もう」
 鑑賞の時間が終われば、深谷の目は驚くほど穏やかだ。あの目に見られすぎて、通常の深谷の方におれはうろたえた。
「大学の頃、教授にそういう噂が流れていた。自分の奥さんを夕食後に毎晩眺めているんだ、とか言って。そういうおかしな話が本当のことみたいに似合ってしまうような教授だったからな……ぼくだったら、っていうことをいつの間にか考えるようになった。ぼくだったら、若い男だ。好みに合う男を傍に置いて、一日中好きに眺められたらいいと、よく想像しては夢中になっていた」
 箸を置き、茶を一口飲んで深谷は息を吐く。
「思ったって心の中で思う範疇の話で実行は出来なかったさ。真面目に働いて、母親の面倒を見て、妻とは顔も合わせない、つまらなくて最悪な日々をずっと過ごしてきたんだけど、それが今年になって急に自由になった。解放されたと思った。今までしたくても実行できなかったことをしようと決めたが、どこにどう頼んだらいいのかさっぱり分からなかった。それで、あなたのお兄さんに相談したんだ」
「……おれで良かった? 若いっても、おれもう二十七歳とか…」
 もっと若いのとか、かわいいのとか、スタイルがいいとか見た目がキレーなやつとか、街に出ればその辺にたくさんいる。インターネットの掲示板でも使えば簡単に引っかかる。おれは本当に普通で、鑑賞に適しているようには思わない。
言いかけて、それ以上は口をつぐんだ。単に深谷がおれに満足している事実を確かめたいだけだ。「なんでもないです」と打ち消したが、深谷はほほ笑みながら首を横に振った。
「あなたは最高だ」
 望む言葉を望んだように口にされて、充実感が身体中を巡った。顔から火が出るぐらいに熱い。身体をぴりぴりと駆ける熱で興奮して、つらいのに心地が良くて、目がまわる。
 深谷の言葉に酔いながらおれは思う。このままこのバイトを続けていたら、いつか全部見せる日が来る。服を脱ぎ、全裸になる。深谷が望めば、自慰だってきっと見せる。

 七日目も変わりなく終え、バイトは終了した。最終日の食事は高級料亭の仕出し料理で、重箱に入っていた。普段じゃありえないほど豪華な飯を食いながら、まだこの家に通いたい、と思っていた。深谷に見られたい。最高だと言ってほしい。料理の味はよくわかんなかった。
 ボーナスだと言って三万円余計にもらって、帰宅した。深谷は明日からまた仕事に行くようだ。今回のことは他言しない約束である。虚しくて、淋しい。あの目を押し隠し、世間に合わせて顔を繕い、会社へ通う深谷の姿を想像する。残念でたまらない。
 むなしさを抱えた三月の終わりに、再就職先が決まった。やけくそで受けたのに、タイミングが良かった。新入社員として仕事が始まってしまえば、深谷のことは次第に薄れる。そういう日々でなければいけない。夢中で働いて、新しいことを無理やり身体に詰め込む。
 深谷はなかなかおれの頭から去ってくれなかった。夢に見る。どこかでおれを見ているじゃないかという妄想にも駆られて、本当に気が狂いそうだった。家に押しかけてしまいたくなる衝動を抱えため息をついていた五月、前触れなく深谷と再会した。
 駅へ向かう路地で偶然出くわしたのだ。目が合ったら、離せないのは当然だった。向こうの動揺は見て取れたが、深谷もおれの心情なんかお見通しだったと思う。
 街路樹のハナミズキが風を受けて終わりかけの花を散らしている。
「――びっくりした」
「それおれの台詞、」
 思いがけない場所で会えて、声を聞けば戸惑いよりも嬉しさの方が先に沸いた。深谷は出先から会社へ戻る途中だと言い、おれは会社から出先へ向かう途中だった。お互いに会社員らしくネクタイを締めていて、そういえばこの姿を見るのは初めてだと、気付いたのも同時だったと思う。
 就職が決まったことを深谷は喜んでくれた。シャツが薄いせいで深谷の肩の骨や肘が透けて見えた。きちんと上げた前髪がよくいる会社員のようで腹が立つ。憮然としたまま、ありがとうございます、と礼を言った。
「なんだかこういう格好だと雰囲気が違って、照れるもんだね」
「深谷さん、毎日同じセーター着てたな。おれもテキトーだったし、」
「うん、あの時はまだ寒くて」
 袖を無造作に捲った腕にちらっと視線を落とし、再びおれの顔を見て「にあうよ」と深谷は笑った。艶を含んだ、時間を忘れる目だ。アスファルトに膝をつきそうになるのを必死でこらえる。
傾きかけた身体に、さっと深谷の手が伸びる。添えただけのわずかな体温でだめになる。
「――その目は、ここでしないでくれ。……いまこんな場所で崩れるわけにはいかないんだ」
 絞るように言うと、深谷はぱっと手をあげておれから距離を置いた。面食らった顔をしている。「すまない」の言い方が本気で弱り切っていた。
 ほんの少し見たり触れようとしただけでお互いこれほどまでやわくなってしまうのだから、会ってはいけなかったのかもしれない。
「――深谷さん、お休みはいつですか」
「ぼくはカレンダー通りで……あなたは、」
「良かった。おれも一緒だ」
 土曜日、行きます。街の雑音に紛れながら、おれは深谷に伝える。深谷は答えなかったが、笑った。猫のように細くなった瞳に、ほの暗い官能が宿っている。
 ざあっと風が吹き、花が荒れる。駅のホームに電車が滑り込むのが見えた。

 これから季節は夏に向かう。薄着になってゆく。深谷はおれの身体をどう見るだろう。ごく平均的で、深谷の目に好ましいかどうか分からない。日焼けせず色が白いのが悩みだ。それから、鎖骨の下に目立つほくろがある。
 どう見せようか、そればかり考えている。
 肌を見た深谷が、目をさまよわせればいい。ため息をつけばいい。悩ましげに顔を歪めながらも、また目を輝かせて、おれを見ればいい。
 早く週末になればいい。
 おれに夢中になればいい。



End.





拍手[94回]


 済んでシャワーまで終えると、日が暮れかかっていた。日は徐々に長くなりはじめているが、日差しは弱く寒いことこの上ない。セックスを始めたらやっぱり長くて、疲れて出かけたくない。ぬくぬくとベッドで転がっていたい。
 声のあげすぎで少し喉がひりついた。飲み物取ってくる、と和は僕から離れたが、すぐに「なんにもなかった」と言って水道水をグラスに取って戻ってきた。
「――そうか、買い出し行かなきゃ。はらへった」
「ドーナツ齧る?」
「えー、いまドーナツって気分じゃねえなぁ。もっと軽いの…あの花食えたらなぁ」
 和が持ってきた花は、僕の中で完全に甘い設定になっている。さくさくと歯触りよく、舌の上でさっと溶ける。事後に食べるにはちょうどよさそうだ。和は困った風に笑った。
「ぼくもおなかがすいた。なにか買ってこようか?」
「んー……」
「出かける?」
「んー……」
 行くなら地中海料理屋で、酒。あと服屋。時計屋と、通りに新しく出来た店のチョコレートも食わせたかった。色々思うが、寒さと心地よい疲労とで考えるのが嫌になる。決まらないままぐだぐだと和にもたれ、時間が過ぎて、結局は近所のカレー屋になった。和は喜んだので、まあいいか、と僕も満足する。
 持ってきた日本酒を部屋で飲もうと言って、コンビニで買い物もして、来た道を戻る。そういえばいつまでいるの、と今更聞くと、和は「……明日、かも」と歯切れ悪く言った。
「――えっ!!」油断していた。言わないし、最低でも三日はいてくれると思っていた。
「吉野の出産が近いんだ。大丈夫だと思うんだけど」
「――はあっ!!!?」
 なんだ出産て。吉野は誰だ。妹の名前は違ったはず、もしや俺は振られる話か、と慌てていたら、こっちの焦りも知らずにのんびりと「ヒツジの出産は初めてで」と言う。
 なんだヒツジか。――ほっとして、悔しくもなって、背中をばんと大きく叩く。
「――いった」
「本当に明日帰る?」
「……吉野次第。今夜生まれるならもう間に合わないけど、まあ、明日の朝には」
 それではこちらの目論見が全部崩れる。時計すら渡せないのでは意味がない。明日朝って、今日はもう夜で、九時をまわっていて――付き合いはじめを思い出して切なくなった。付き合って三日で遠距離になった。無理をしないと会えない距離で、また電話とメールの日々に戻るのか。
 和の右手を取り、手をぎゅっと繋いだ。「飼い羊のお産ぐらいで帰るな」と不満を言ってやる。いや、農家に家畜の出産は重要事項かもしれないが、いやそもそもこいつ果樹園経営者だし、たまに会うおれとヒツジどっちが……いや、いや。考えつめないために首を横に振る。
 要するに、明日帰ると言われているのが嫌でたまらない。帰るな、ともう一度言う。甘えすがる声が出た。
「……うん、」手が強く握り返される。「帰るの、嫌だなぁ」
 そのまま黙考の姿勢でいるので、僕も黙っていた。
多少の人目があっても、部屋までは手を離さなかった。マンションの扉をあけると、途端に花が香った。マフラーを解きながら、和は「明日帰るのはやめる」と宣言した。
「倉島さんといる。倉島さん、明日は?」
「日曜日だよ。休み」
「明後日は?」
「出勤。……おまえ、明後日は?」
「帰りたくない」
「明々後日」
「帰りたくない。ずっとここにいたい」
 じゃあ住んじゃえば、と言いたくなる。ここで僕と暮らせばいい。だが、無理な話だ。片道四時間かけて農家は出来ないし、逆だったとしたら、僕が嫌だ。
 僕は今の仕事が大好きで、毎日とても充実している。和も同じだ。離れたから遠距離恋愛をしているが、たとえば大学卒業後に和が実家へ帰らなくても、僕らの付き合うペースは、こんなもんだったんじゃないだろうか。
 とにかく、和は明日帰らない。明日帰らないなら、今日はそれでいいか。コートまでハンガーにかけ、僕らはカウチに座り込む。酒を飲むためにグラスやつまみを広げる。
「――まあ、でも」
「ん?」
 鋏がほしい、と立ち上がりかけた和に、声をかけた。のんびりと奴が振り向く。
「今年はもうちょっとぐらいがんばってもいいか」
「なにを」
「会う回数。GWはおまえのとこ行こうかな」
 お、と驚いた顔の後で和は笑った。「待ってる」と言った顔が本当に嬉しそうで、僕も嬉しくなる。大したことは言っていないのに。
 キッチンから鋏を持ち、ついでにつまみの類をきちんと皿にあけ、和は僕の隣へ戻ってきた。
「明日は、帰らないんだな」
「うん」
「お産でも火事でも帰るなよ」
「いっそ雪でも降ったら帰れなくなるのにな、って思うぐらいだよ」
 恋人が笑ったのを見て、明日のデートの予定を語って聞かせた。
 雪なんかごめんだ。晴れるといい。


End.










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プロフィール
HN:
粟津原栗子
性別:
非公開
自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。

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暑いですね。番外編短編、ちょこっと更新しています。

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