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成人女性を対象とした自作小説を置いています。
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うろたえているでかいのを引っ張ってカウチに座らせる。背もたれに押し付けて膝の上に乗りかかり、見下ろした。
「――くらしまさ」
「昼間だからちょっとだけな」
 シャツのボタンを開け、露出した首筋にくちづける。浅黒いなめらかな肌の感触にうっとりする。
 和の膝から降りて、僕は床にそのまま座り込んだ。膝と膝をひらかせ、そこに身体を入れる。ベルトを外し、ボトムスの前をくつろげる。中に穿いていたオリーブグリーンと水色の縞ボクサーは、僕が以前買ってやったやつ。恋人の家に来る彼氏として、そこはちゃんと合格だ。
 勃ち上がりかけたものがパンツを押し上げている。布の上から唇を寄せた。
「……うあ……」
 生唾が飲めるような声が頭上でした。頬ずりをすると、硬くなるのが分かる。布ごと銜え込み、湿った息で包む。恥ずかしさから、和は自分の頭を抱え込んでしまった。
布地のあいだから手を入れ、直接触れてやる。身体が大きいと持っているサイズもそれなりで、恋人のペニスは僕が今まで見た誰よりも大きいし、長さがある。だからちょっと苦労する。口でしようとすると、まず収まりきらない。
 ゆっくり、焦らすように擦る。は、と荒い息が上から降る。感触を楽しみながら手を動かしていると、和のものが完全に勃起した。腰のゴムをずらして、取り出す。ここまで長いともう凶器で、でもそれが僕の中に収まった時の感覚を思うと―震える。
「なあ、和」
 先端に下唇を押し付けたまま喋った。
「恥ずかしがってないで、ちゃんと見てろよ」
 上目づかいに恋人を見遣る。和はそーっと腕を下ろして僕を見下ろしたが、目が合うと途端に困った顔をした。「見てろよ」と念を押し、恋人の顔を見ながら舌を這わせ指を添えた。
 宙をさまよっていた腕は腿のあたりに落ちて、ボトムスの生地をぎゅっと掴む。その右手に左手を重ねた。指を絡ませてつなぐ。
 僕が言ったことは、和には絶対だ。和は言うことを聞いて僕を見た。目尻が赤く染まって、めちゃくちゃ色っぽい。腰が疼き、自分のものに触れたくなったが、膝を擦り合わせるだけで今は我慢する。
「―あ、」思いついて、脇へ腕を伸ばした。「ローション買っといたんだ。使おうぜ」
 一年もあいだが空くと前に使っていたものは買い直しになる。コンドームと揃えて通販で買っておいたものを、箱に入れっぱなしで放置していた。僕の位置からでは手が届かなくて、和が取った。フィルムを剥いて僕に渡す時の顔は弱り切っていて、つい笑ってしまう。
「――い、意地悪だ、倉島さん」
「だあっておまえそんな顔するから」
「ベッドがいい。ぼくも触りたい」
「だめ。それは夜」
 ベッドになんか行ったら、ふかふかの起毛シーツと恋人の手で絶対に出たくなんかなくなる。それと和のサイズだと、どうしても手短に馴らして挿入、というわけにいかない。よく濡らして広げて受け入れないと、途中で痛くてやめる羽目になる。つまり、僕らのセックスは時間がかかるのだ。
 今日は他にもしたいことがある。せっかく来たんだから、前に電話で「行ってみたい」と言われた地中海料理屋で飯にするつもりだった。それから服屋に行って、和に似合うんじゃないかと思っていたシャツを試着させたい。時計屋にも行く。今年のプレゼントは奮発した、それを取りに行って、ベルトのサイズを和の手首に合わせてもらわなければ。
 言い聞かせるように先端に音を立ててキスをすると、和は息を詰めた。
 ローションを垂らし、ぐちゃぐちゃと擦る。浮き上がる筋に舌を添わせて辿る。拗れには蜜が滲み、苦みが舌を刺すようになってきた。潜りこませるように舌を押し込む。指と舌を器用に使い、和を追い詰めていく。
「――く、らしまさ」
 不意に両手が僕の頭を掴んだ。そのまま勝手に使われるのかと思ったが、そうじゃない。口の中に含んでいたものがぶるっと外へ飛び出てしまった。
「やっぱりベッド行こう」
「――あっちょっ――こら、かずっ」
 僕の腋へ手が入り、簡単に身体を持ち上げられる。手を取り、さっきまでの半べそ状態とは真逆の積極性でベッドへ連れ込まれた。僕を座らせてから、自分は中途半端に脱げたシャツを脱ぐ。広い肩幅や胸板を大胆に露わにしておきながら、ず、と洟をすする仕草が幼い。刺激が強すぎて泣いたから、洟まで垂れてきたらしい。
 靴下まで全部脱いだ。脱がせるのが楽しいから自分からは脱ぐなと普段は言ってある。反抗期だ。
「倉島さん、好きです」
 和がベッドへ乗り上げる。ぎし、とベッドが軋んだ。
「倉島さんは大人で余裕だから、……やっぱりぼくばっか切ない。ずるいよ」
「……ばっか、そんなわけないだろ」
 押し倒したいのかぐずりたいのか。和が微妙に重なったままうなだれた。
 でかいくせにな。どう見てもかわいくて、和の顎先に手をかけ、顔をあげさせた。
「俺のも脱がせろ、和。キスしろ」
「……うん」
「身体中ぜんぶ、……キスしろ」
 ぎこちなく唇を寄せる恋人のやり方が、僕はとても好きなのだ。
 大きな手がセーターの裾から侵入する。背中へ両腕をまわし、しがみついた。


  





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粟津原栗子
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自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。

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