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南波家の風呂を使っているあいだに八束が灯油の買い出しに行ってくれた。ガソリンスタンドの営業時間がどうのこうの、という話だ。大家権限で合鍵を使って配達までしてくれたのだから本当にありがたかった。「きみはあれだな」と戻って来て八束は言った。「手先は器用なのに生活能力は備わっていないんだな」
「いや、そんなことない」
「説得力がない」
「集中力との両立ができないだけで、集中する用事がなければまともに暮らせるよ」
タオルでわしわしと髪や髭を拭っていると、「ドライヤー使えよ」と示される。
「すぐ乾くよ」
「セノさんの髭の量だとちゃんと乾かさないと凍る」
「初詣、四季ちゃんはどこ行ったの?」
「N社。この辺りで一番大きいから」
「おれたちもそこ行く?」
「いや、すぐ裏の天神さんに行こう」
「お、いいね。菅原道真なんて本の虫の八束さんらしいな」
タオルを外して乾き具合を確かめていると、「きみだろ」と言われた。
「道真公は芸事にも通じてるんだ」
「……おれのこと考えてくれたの、」
訊ねると、八束はそっぽを向いた。
「……あんまり自分の職業をいい風に捉えてないようだったから」
「……暮れの話のことなんか、気にしてない」
「……あんなものを彫れるのだから、自信を持っていい。羨ましいよ。僕は不器用だから」
照れ臭く褒められて、素直な言葉に私はコメント出来なかった。嬉しかった。嬉しくて情けなかった。それでも私は私に満足していないのだ。してはいけないという呪を自分に授けている。満ちたら私は止まる。
それを言いたかった。けれど八束には言えない。
「行こう。髪は乾いたから」パンパン、と八束の肩をはたく。「乾けばおれの冬は最大にあったかいんだ」と髭を撫でた。
「……確かにあんな部屋で作業してられるんだからな。冬眠を忘れた熊みたいだ」
「白髪の方が寒そうに見える。見た目かな」
「寒くはないよ。……親父の家系。姉貴は白髪知らずだった。おふくろに似たんだ」
近い距離で、八束がこちらを見た。眼鏡越しの瞳の深さを見てしまって、瞬時にうろたえた。
「……早死になところまで似たな」
八束はニットを拾った。私もコートを着込む。
「病気、だったんだっけ。それも遺伝?」
「いや、……おふくろと姉貴の死因は違う。おふくろの方が長生きしてるし」
「じゃあ大丈夫だよ。うまく言えないけど、四季ちゃんは大丈夫」
八束を追い越して玄関へ向かった。八束が後ろからちいさく「ああ」と頷いた。
南波家の裏手にまわる。小さな天満宮でも人出はあるらしい。神社の入り口で手と口を清め、八束と揃って参拝した。おみくじはスルー、でもなんとなく授与所で鈴を買った。甘酒が振る舞われていたのでもらって焚き火の近くで飲んだ。近所の人か店子がいたらしく、八束は挨拶を交わしていた。
参道をくだり、そのまま近所の商店街で買い物をした。野菜の類はあるというから、生鮮と酒。剥き身ではあったが牡蠣を買った。さっさと用を済ませて南波の家に戻る。
鍋の準備は、私がした。具材を切って鍋に放り込むだけだ。居間のこたつで飲むことにして、八束は座卓の準備を担当した。
とっておきの酒器、というものを八束は出して来た。本当は親父のものだがいいんだ、と笑う。酒はまだ入れていないのに気分が綻んでいた。支度を整えてあっという間にはじまった。
「すず」とだいぶ酒が進んだ頃に八束が言った。「なんで買ったの」
「梅の花の柄のピンクの鈴なんか、自分用じゃないだろ」
「ジェンダーレスの時代、そんなのわかんないよ」
「連れ込む予定もないとか言って」
八束はビールを煽り、空だと気づいて新しい缶を開けた。
「ないってば」
「セノ先生は隠し事が多い」
「八束先生もなかなかですよ。恋人とはどうするんですかー」
「あいつは、……僕に未練はないんだけど、」
八束は言い詰まった。
「――あんまり人の趣味にとやかく言いたくないけど、生活に支障の出るような遊びはやめた方がいい。縛るような遊びはね」
「遊び、」
「いや、遊びでいてください、っていうおれの願望が含まれてるな。本気だとしたら」
「――なぜ縛られたと分かった?」
八束の硬い声が入った。ぎくりとする。
「喧嘩だと言ったじゃないか……」
八束はうなだれる。唇を噛みしめるかのような響きに、私は観念した。
「……見れば分かる、殴打の痕じゃないよ」
「見たのか」
「見えた」
八束は黙った。
「言ったろ、観察結果だって。観察は得意なんだ」
「……」
「もっと言えば、相手は女性じゃない。女性ならもっと簡単に力を込めずに束縛できる道具を使うだろ。手錠、結束バンドとか。……綺麗な痕じゃなかった。なら力づくだ。成人男性を力づくで縛り付けられる女性はそうはいないよ。……あんまり合意でもなさそうだけど、……」
そうだとしたら辛い、ということは黙った。なぜ八束が恋人に縛られていると辛いのか説明できない。黙っていると八束はゆっくりと顔をあげた。
「そうだよ。……乱暴者の男と遊んでる。……情はないけど性癖は一致するんだ。嫌になるよね」
そうしてまた顔を伏せた。
「……性欲なんて消えればいい。どうせ僕は子孫を残さない。姉貴が四季を残してくれた。南波家はこれでもう安泰だ」
「……あまり無理に話さなくていい」
くつくつと煮える鍋の、カセットコンロの火を止めた。
「話さなくていいけど、……あなたがそう感じているなら別れた方がいいとは思う。人の身体を自分のものみたいに扱うやつは自分の身体や人生も大切にしない。ろくでなしだ」
「実感がこもってるね」
「反省があるんだ」
「セノさんが言うなら別れる」
「いや、八束さんの意思だけど」
「セノさんはなんで奥さんと別れたの……」
語尾はふるえたが、ストレートに撃ち込まれて私は目を閉じた。
「おれは、」正直に話すべきか迷う。「不器用すぎて」
「セノさんは器用でしょ?」
「手先はね、そうだと思うよ。でも誇らしいとは思わない。……ひとりになるべきだ、と言われた。言われたし、思った」
「意味がわからない」
「彼女には彼女を支える人が出来たから、こっちはもういいよって」
「それは」
言いかけた八束を制するように、私もごちっと音を立ててこたつの天板に突っ伏した。
「うまく説明できない上に惨めになるから、勘弁して」
「……色々あるな、お互い」
「パーッと旅にでも出てしまいたい」
「温泉旅行でカニしゃぶ?」
「グルメはいいや。なんか、心臓に迫るような綺麗なものを見たいな……」
そう言うと、突っ伏していた八束は起きあがった。立ちあがり、ふらふらと居間を出ていく。しばらくして戻ってきた手には冊子があった。展覧会の図録だった。
「感動するものなら僕は断然これだ。ようやく手に入れたんだ。古書店で探して……高くはなかったけど苦労した。『鷹島静穏(たかしませいおん)』」
またこたつに潜り、八束は図録をめくった。K県の県立美術館で行われていた若手アーティストのコンペティションの図録だと言った。発行部数が少ないため、入手が困難だったと。
「旅行に行くならこの美術館でこの作品を見たい。いまも見られるのかわかんないけど、」
「……好きだねえ、タカシマセイオン」
「うん、好きだ。大ファンなんだ。はじめて美術館で見たときにもう心臓鷲掴みだったよ、ってもう何度も話したな」
「聞いた」
「……この図録、鷹島静穏の初期作品が載ってるんだ。珍しいんだよ。これの実物をまた見たい。『私を突き抜ける風』」
もはやひとりごとのように八束は語った。図録には一体の彫刻作品が掲載されていた。木彫作品で、青年の半身である。まるで生きているかのように精緻で、木材とは思えぬ彫刻である。そしてこの彫刻の最大の特徴として、青年の胸から背中を突き抜けるように様々なものが彫り込まれている。花、本、鳥、幾何学の立方体。それらは風を模したと思しき流動的な形状になっている。
図録には「K美術館アートコンペティショングランプリ『私を突き抜ける風』鷹島静穏」と記されていた。
「技術もすごいけど、作風もすごいんだ。ファンタジックで、でもすごくリアルで。……彼の作品をはじめて見たとき、目が離せなかった。美術品の鑑賞の快楽を知ったんだ。この作品は彼自身だとされていて、でもなんだかまるで、彼という人生の記された分厚い物語を読みこまされたような気になる。……同い年の人間がこんなにすごいものを作れるんだと、感動して。ここ数年は新作の発表はないけど、でも僕は、ずっと、ファンで……」
「八束さん、休むならここだと、……」
ずるずると八束は身体を沈ませ、やがて図録を抱えたまま寝入ってしまった。私はなんとも言えぬまま残った酒を煽る。
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いつの間にか年が明けていた。様々な樹種の木片に彫り物をしていたら迎えていた新年だった。正月なのでスーパーの営業は変則的だし、食堂もあいていない。コンビニで適当に弁当を買ったりコーヒーだけで済ませているうちに過ぎる三が日の最終日、表に車が止まった。「明けましておめでとうございまーす」と明るい声が倉庫に響いた。四季と八束だった。
倉庫に入って来た四季は「わ、寒い」と室温に文句を述べた。
「待ち切れなくて押しかけ。作業してる? あ、かわいいこれ」
私が彫っていた椿だった。精巧さを諦めてデフォルメしたまるい形は、女性の髪留め辺りに加工すれば多少は売れるかな、という魂胆があった。
「あげるよ、それ」
「えー、いいの?」
「それだけだとただの飾りだからヘアゴムでも付けようかと思って」
「え、それよりもバッジにして。鞄につける」
「ああ。いいよ。貸して」
ちょこちょこと細工していると、倉庫の入り口から動かなかった八束がようやく入室して来た。
「郵便受けパンパンだな」呆れる口調は、それでも責めるものではなかった。私は手を止めぬまま「そういえばクリスマスぐらいから見てないかも」と答える。
「出来た。好きな色かオイルを塗るといいよ」とバッジになった椿の彫り物を四季に渡す。
「普通の絵具でいい?」
「アクリル絵具がいい。授業で使ってなかった?」
「レタリングの授業で使ったかも。アクリルガッシュ?」
「お、いいね」
「でもこのままでもすごくかわいいなあー」
「このままだったらオリーブオイルを塗って乾かしてあげるといい」
四季の言葉につられるように、八束が四季の手元を覗き込んだ。四季は八束にそれをかざし、「ヤツカくんも作ってもらいなよ」と作業机に散らばるモチーフを指した。
「……年末年始中これをやってたのか」
「まあ、こればっかりではないけど」
「依頼?」
「いや、手慰めみたいな。依頼はね、松の内明けてからって言われてるから」
「そう」
八束と話しているうちに姿を消したと思っていた四季が、鍋を手に戻って来た。
「これ、お雑煮の汁。お餅と一緒にあっちに置いとくから、食べてね」
「どっか出かけるの?」
「えっちゃんと初詣に行く約束してるから」
じゃね、と少女はいなくなった。八束は息をつき、「邪魔なら帰るけど」と言った。
「邪魔でなければ、掛けても?」
「……邪魔じゃない。向こう行こうか。ここは寒い」
「昼だけどなにか食べた?」
「コーヒーだけ」
「雑煮、準備するよ。お邪魔します」
八束は私が寝起きしているスペースへと歩いて行った。ここに会社があった頃、給湯室兼事務所として使われていたスペースだ。言い口はぶっきらぼうだが機嫌が悪いわけじゃないことは分かる。
私は作業をやめ、ツナギの上だけ脱いで腰元で結び、八束の元へ向かった。フライパンの中で餅がぷっくらと膨れていた。
「やっぱりコンロの口がひとつだけだとやりづらい」と文句を言われて私は微笑む。
「ストーブつけなよ。餅ぐらい焼けるよ」
「つけたよ。灯油が切れてる」
「あれ?」
「買い置きは?」
「あ、ないかもしれない」
「なにが『ここは寒い』だよ。どこも寒いじゃないか」
焼けた餅を器に取って、雑煮の鍋を強火で温めた。そういうことしてると焦がしたりやけどすんだよ、と思ったが口にすると「きみが言うか」とでも責められそうなのでやめた。案の定「あちっ」と八束は漏らし、出て来た雑煮はちょっと煮詰まってこうばしかった。
「――ま、これはこれで」
「なんだよ」睨まれる。
「いや、正月らしいものをまともに食うから。とてもありがたいし嬉しいんだ」
四季の作る雑煮はすまし汁の中に焼いた餅を入れる、この辺では当たり前のものだ。餅は買って来たパックの切り餅。八束も無言で雑煮をすすっていたが、その顔を眺めると、視線に気づいて目を合わせて来た。
口角を少しあげて、うっすらと笑みを作る。八束は睨むようにこちらを見る。お互いにポーカーフェイス、カードの切り出しは八束の方からだった。ポケットから新しい軟膏のパッケージを取り出し、こちらに寄越す。
「なんでこんなの常備してるんだ」
「打ち身が案外多いから。鑿使っててハンマーの先を誤るとか。主にはおれじゃなくて学生用だけど」
「……四季から渡された分は使い切ってしまったから、これを。返すよ」
「治った?」
「綺麗に消えた。痛みもすぐ取れて。はじめて使ったけど効くんだな」
「ならよかった。あんまり無茶をすると四季ちゃんが困る。だから遊ぶのも、ほどほどに」
「なぜ遊びだと?」
「……観察結果」
八束は顔をそっと背けた。
「……なんか、悪かった」
「なにが?」
「一方的な感情を押し付けた。なんていうか、あんまりうまくいってなくて。だからセノさんに八つ当たりみたいなことを」
「恋人?」
「……ちょっと遊ぶ程度のつもりだったんだ。はじめは。先月あたりで向こうがエスカレートして来て、喧嘩っぽく」
八束は喋ったが、慎重だった。嘘も混ぜ込まれているな、と私は直感する。本物にすこしだけ嘘を混ぜ込めば、それらしく分かりにくい。八束は「ついお互いに手が出て」と言ったが、あれは殴られて出来る痣ではないことは分かりきっていた。
「――いまは連絡してない。このまま、終わるかも」
ず、と音を立てて私は雑煮の汁を飲み干した。
「八束さん、今日の予定は?」と訊いた。
「あ、……僕はなにもない。これでお暇するよ」
「ああ、いいんだ。あのさ、おれらも行こうよ、初詣」
「……」
「それで酒でも買って、あ、灯油も買い足して、飲まないかな。その前に出かけるならおれは着替えて、待った、銭湯……やってんのかな。身体ぐらい拭きたいからお湯沸かして。……えーとちょっと準備に時間かかるな。待ってられる? 寒いけど」
あれこれ算段を口にしていると、八束は吹き出した。
「着替え持ってうち来なよ。うちの風呂使えばいい。おれが車出すから」
「……大家さんは?」
「旅行に行ってる。社交ダンスサークルの皆さんで温泉旅行カニしゃぶ付きだそうだ」
「いいなあ。カニか」
「ワタリガニならうちの冷蔵庫にあった。鍋でもしよう。決まりだな。支度して行こう」
八束は器を下げ、洗ってくれた。その間に私は着替えを選び出し、ツナギを脱いで作業靴を履き替えた。
「そういえばきみのスマホに電話したんだけどつながらなかった。バッテリー切れてるんだろう」
そう言われてその存在をようやく認識した。八束は呆れて息をつく。
「充電器も持って来い」
まるで一泊旅行かのような騒ぎになった。
「人はひとりにならない方がいいんだって。だからきっとあの人は、あまりひとりになりたくない人なんだと思う」
四季は「セノくんは違うの?」と訊いた。
「人の数だけ意見や主張がある。……おれの場合は、人は人といるからしんどい。だけど誰かといる必要性も分かる。ひとりはさ、せいせいして苦しい」
「……わかんない」
「……とにかく八束さんがどんなに本に熱中してても、夜中に飛び出してっても、ひとりにはしないで、おかえりって言ってあげて」
四季は「大人なのに」と言った。
「大人だからわがまま言えなくなってるんだ」
「セノくんもそう?」
「おれはすごくわがままだからね」
「わがままだから、お正月は帰らないの?」
「まあうちの実家も変わってるし、帰って顔見せろとは言われない」
「あの倉庫にひとりでいるの?」
「うん」
「ヤツカくんは」
「ん?」
「……自分がひとりなのが嫌なんじゃなくて、セノくんが倉庫にひとりでいるのが嫌なんじゃないかな……」
「……」
「だからえっとさ。ヤツカくんは私とおじいちゃんで大晦日も年越し蕎麦食べるし紅白見るし、初詣行って初日の出見るし、おせちもお雑煮も食べるけど、セノくんはそうじゃないから……? セノくんがそれでいいならいいんだけど、ヤツカくんはよくなくて、……よくわかんなくなってきた」
「いいよ」
私は前を見た。時間で大橋のライトアップが消灯された。
「三が日のどこかで南波家にお邪魔するから、またお雑煮でもご馳走してよ」
そういうと四季はすこし黙り、やがて「ふふ」と笑った。
「分かった。待ってるね」
「戻ろうか。さすがにこれ以上は捕まる」
「全国ニュースにセノくんのイケてる髭面が」
「髭生やした中年が未成年を夜間に連れまわしてるってだけでもう怖いよな」
車を発進させて来た道を戻る。南波家の前で四季を下ろす際、車の後部座席の下に突っ込んでいた道具箱を取り出した。中には救急キットも入れている。使いかけの塗り薬を取り出し、表示を確かめた。
「これ、八束さんに渡しといて」
「なに? 薬?」
「まあ、内出血とか打ち身とか、その辺に効くやつだから」
「どっか怪我してるの?」
怪訝な顔をしている四季の向こうに南波家の二階の明かりが見えた。人影が動き、窓へ近づいて車を見下ろした。
八束の冷えた視線に絡めとられた気がした。
「じゃあおやすみ。今日はごちそうさまでした」
四季を下ろし、車を走らせる。川の脇の道を下り、ミナミ倉庫のガレージへ戻った。
人を縛ったことがあるか。多くの人間はノーと答えるだろう。だが私はイエスと答える。
まだ若かった。いまより人の心を知らなくて、積極で、興味ある物事にはなんでも手を出した。塑像で表現できないと思ったから木彫へ向いたし、木目では足りないと思ったから金属を目指した。動物を観察し、植物を採取し、鉱物をスケッチして、水の流動力学を学んだ。そしてその興味の中には当然、人体への尽きない探究心があった。
自然な動作はなぜ生まれるのか知りたかった。骨格にどういう筋肉がついてどう動かせば生まれるフォルムかを突き詰めたかった。モデルは当時付きあっていた女性だった。彼女は根気強く、私に添い続けてくれた。
動きを知りたかった私は、不自然な動きというものも試すべきだと考えた。あり得ないフォルム、ぎこちなさを知りたかった。恋人に無茶を言って私は彼女に縄をかけた。塑像の芯棒に用いていた園芸用のシュロ縄だった。傷つけないよう布を当てて緩くかけたつもりだったが、観察とデッサンが長時間に渡ったためか、鬱血した痕が肌に現れてしまった。
痕は直後よりも一日〜二日後の方が強く出た。秋口であったため肌はかろうじて隠せたが、痣の観察を私は続けてしまった。おかげで出現から消失まで一部始終に詳しくなった。
不自然さはやはりグロテスクを伴うものだと私が結論づけた頃、恋人は私に別れを告げた。私はあなたのミューズにはなれないと言う。いま思えば酷薄な行為だと思う。芸術の名の下に下種を連ねてよいわけがなかった。
彼女の痣はきちんと消えたかどうか。それはいまでも私の脳裏に罪悪としてよぎる。
だが、あの観察を反省とするから分かる。南波八束の腕にあった痣。あれは腕を縛られたからあったものだ。後ろ手に両肘の部分を重ねて束ね、細いもので二重に巻いて固定した。ビニール紐だと私は推察する。固結びにすれば自力では解けない。
四季の話から、八束が夜中に出かけた日あたりではないだろうかと思う。なぜ縛られたか。そこまでは私には分からない。だがひとつ思い当たることがある。
南波八束には恋人がいる。私のような興味本位で縛りつける恋人かどうかは分からない。だがあの若い日、恋人についた痣を見て同じだ、と直感したものだった。サディスティックな人間がマゾヒストに施す縄での緊縛。遊びであれ芸術への下心であれ犯罪であれ、ついた痣は同じだった。
八束が望んで縛られているなら、遊びの範疇に納めてくれればそれでよい、と私は思う。だがそうではなかった全ての場合。
私は猛烈に怒り、悲しみ、哀れみ、嘆く。
不自然なものは歪み、淀む。堆積すればどこかで切れる。切れたら終わる場合が多い。
それだけはあって欲しくない。カードを一枚切り、現れるのは一体なにか。
手札を静かにかき集め、相手のカードを誘う。
車を停めて南波家を訪ねる。「手を洗ってこっちー」と台所から四季の声がした。居間には大家がおり、マッサージチェアに座ってラジオを聴いていた。私を見て「先日は不在で申し訳なかった」とにこにこと謝る。
「いえ、こちらこそまた図々しく」
「八束と四季がセノくんにはどうしてだか懐くんだよね。迷惑だったら言ってください。ほら、台所で待ち構えているから」
大家はそちらを指さした。エプロンを身につけた四季とワイシャツ姿の八束が餃子の皮をちまちまと包んでいる。
「セノくんも手伝って」と四季に言われ、私もそちらへ向かった。四人掛けのダイニングテーブルに餃子の具材、皮、包みかけの餃子に調理器具が並ぶ。餃子の具にはソーセージやチーズ、納豆なども用意されていた。三人で餃子を包む。四季はそこそこの手際で、八束は不器用に手を動かしていた。
「わ、さすがだね。セノくんうまーい。器用」四季が手元を覗き込む。
「慣れだよ。大学時代に仲間とよく餃子やったし」
「ヤツカくんなんかへったくそ。破れてるし」
「ひだなんか作れないよ」八束が拗ねる。
「具はすくなめの方がいい。八束さん、それ具が多いんだよ」
「いいよ、僕はもう。餃子焼くよ」
「あー、ヤツカくんそれ私の役目なんだから。餃子うまく焼く方法教わったから試したいの」
さっさと包んで、と姪に軽くあしらわれ、八束は渋々餃子を包む。それがおかしくて私は笑った。
「八束さんて料理しないよな」
私の問いかけに、八束は「食べることにあまり興味がない」と答えた。
「でもあの通り、四季が世話を焼いてくれるから食べてる、そんな感じ。僕と親父だけだったら惣菜で済ませるよ」
「分かる。おれも大学生協でばっかり済ませちゃう。夕方行くとさ、売り切りみたいに残った惣菜を安く提供してくれるんだよね。栄養いいし量もいいし。そればっかり」
「三つあるどこの大学でもそう?」
「いや、受け持ち時間の関係で夕方までいない大学もある。そういう時はそういう時で、近所の学生向けの安い食堂を使う。楽だよ」
「確かにあの倉庫じゃコンロが古いからお湯沸かすぐらいしか出来ないしな」
「炊飯器あるから米は炊けるよ」
「コンロの入れ替え、考えようか? せめて二口あってグリルのついたもの、とか」
「ありがとう。そのうち考えさせて。いまは大丈夫」
喋りながら手を動かす。そのうち八束は皮に具をのせるだけの係になった。それを私が受け取ってひだを閉じる。
「これで最後」と言った八束は、私のてのひらに餃子の皮を乗せて手を払った。作業中にずり落ちたワイシャツの袖をめくる。その肘の辺り、水筆を載せて滲ませたような痣があるのを私は認めた。腕をぐるりと囲うように荒く二本。
色の程度からしてここ最近でついたものだろう。
この形。
私の視線に気づかぬまま、八束はシンクへ向かって手を洗った。丁寧に洗い落として手を拭い、シャツのボタンを袖まできっちり留める。私は最後の餃子を包み、バットに置いた。それをコンロの前に立つ四季の元へ運ぶ。
「あーありがとう。あとは焼くだけだしせっかくだからそのままうちのお風呂入っていけば? おじいちゃん、いーい?」
「構わんよ」
火元から離れない四季の代わりに八束がタオルを出してくれた。南波家の風呂を使うのはこれがはじめてではないが、抵抗が全くないわけではない。倉庫暮らし風呂なし物件の私を気遣ってのことだとしたら尚更だ。
湯船に浸かって、爪のあいだの黒さをまじまじと見た。刃物の手入れもそうだし、日頃様々な資材に触れる。手は硬くごわついて指や爪先には汚れが染み付いている。こすってみたが落ちるわけがない。そのまま両腕を合わせて肘の辺りを見た。多分、こう。推察出来る体勢を湯船の中で取り、水面が揺れた。しばらくしてばかばかしくなり、風呂を出る。
服を着て居間に戻ると、食卓は整っていた。スウェットに着替えた八束が食器を出し、四季が餃子の皿を置く。焼き崩れているものもあったが、私に用意された皿の餃子は焼き目よく並んでいた。
白米、スープ、常備菜と家庭的に並べられた品々。子どもの頃の食卓がよぎった。妻と暮らした日々のテーブルではなく、親や兄弟と暮らした頃の食卓。私は目を伏せる。
台所のテーブルに四人で着いて、大家は機嫌よく梅酒を飲んだ。飲みながら「ハイツ・ミナミに空きが出るんだが」と先日の八束と同じ話をした。契約の更新はするがミナミ倉庫だけでいいと私は答える。
「年末年始は?」と訊かれ、私は不意をつかれたように顔をあげた。訊いたのは八束だった。
「帰省するのかなって。セノさんの実家ってSでしょ」
「あー、まだ決めてないんだ。混雑するし、大学が春休みに入ってからでもいいかと思ってて」
「なんかそれ、去年も同じ台詞を聞いたな。そう言って実家に帰らなかった」
「そうだっけ」
「今年だけじゃなくて去年も、その前もずっと」
「バツイチ独身男には肩身が狭くて」
「僕だって独身だ」
「あなたは定職に就いてる」
「いまこのご時世で正社員がいいわけじゃない。大学の非常勤を三つも掛け持ちしながら文化財修復の依頼をこなしているセノさんこそ立派な職業だ」
「あー、確かにお正月にうちのお雑煮お裾分けに行ったよね」四季がやんわりと八束を制した。八束は不機嫌な顔で「ごちそうさま」と言い、食器を下げて自身も部屋を出ていく。フリースを羽織る際に腕を引きつらせたのを私は見逃さなかった。滑らかなモーションの中の違和感。
大家も休むと言って支度をはじめた。私は今日の礼を述べ、四季と食器を片付ける。ふたりだけになった台所で、四季は「なんかごめんね」と言った。
「このあいだからヤツカくん、機嫌悪くて。急にああなったり、ずっと本読んでると思ったら夜中に出かけたり」
「ま、この時期大人は忙しい。おれみたいなはずれものもいるけど一般的な大人は忙しいよ。八束さんも職場で色々あるんじゃない?」
「セノくん、お正月は本当に帰らない?」
四季がこちらを見た。切れ長の瞳がしんしんと濃い。
「……作業したいと思ってる。できれば」
「そっか。大事だね」
「ここの契約更新も大事だけど、大学の方もね。迷うことが多くて……」
そのまま私は黙った。四季も黙って食器を戸棚に仕舞う。
手を拭って「四季ちゃん」と声をかけた。
「餃子のお礼。これからおじさんとデートしようか」
コートを着込む私を四季はパッと見て、すぐにはにかんだ。
「デートって、もう夜遅いんだよぉー」
「橋のライトアップが綺麗かなって。クリスマスのシーズンだし。甘いもの食べない?」
「悪いおじさんだー」
「おじいさんか叔父さんにひと言言っておいで。車取りに行ってる」
持ち物を確認して南波家を後にした。駐車場まで歩き、車に乗り込む。南波家の前まで戻ると四季は門扉の前にいた。「お願いします」と言って助手席に乗り込む。
住宅街を抜けて川辺へと出た。この辺でいちばんの大橋がライトアップされている。そこを渡り、川辺の親水公園に車を停めた。閉店間際の屋台でホットチョコレートを買い、車内に戻ってイルミネーションを眺めた。
「綺麗だね」と四季が言った。「冬休みになったらえっちゃんとも来ようかな」
「……こないだ八束さんが言ってたんだけど」と私は切り出す。
バチン、バチンと電灯のスイッチを入れていく。倉庫の明かりは古くて大きいため、力を入れないとスイッチを押せないし明かりが灯るのにも時間がかかる。テンテン、テン、と音をさせて倉庫の明かりがついた。夏のこの時間ならまだ明かりはいらないだろうが、冬至の近いこの時期、夕方五時では明かりが要る。
白々と照明が落ち、作業机や道具、資材の類があらわになった。入り口で私はしばし呆然とそれらを眺める。重い木製の広い机には何枚も木片が載っている。まっさらなものも、チョークで図案が記してあるものも、それを彫り込んであるものも様々だ。道具の類は壁や棚に整然とかけて並べてある。部屋の隅には資材が置いてあり、運ぶためのクレーンも天井に張っていた。
注文がかかっているものは、現在はなにもない。先月の半ばまでに依頼された作業は終えていた。机に寄り、板きれを手に取る。よく乾いたパイン材は、近所のホームセンターの資材売り場に二束三文で量り売りされていた端材だった。
しみじみと眺め、ちいさく息をついて端材を置いた。綺麗に整えて机に並べ直す。そのまま道具をかけてある棚まで向かった。いくつか鑿を取り、刃先を確かめる。こぼれているものを数本取り、倉庫の外の水場へ向かった。ここでも明かりをつけ、水につけておいた砥石を取り出した。水の冷たさに肌がいっせいに粟立つ。すっと一目擦り、引く。角度を定める。また押して、引く。
シャ、シャ、と規則正しく音をさせながら鑿を砥いだ。この十五年ほどで私がもっともまともに身につけた技術かもしれない。どんなに美しいモチーフを彫ることの出来る腕前を持っていたとして、それはやはり道具に左右される。道具の良し悪しは作品のシビアな部分であらわれる。だから手入れは怠らない。
……と言い訳めいて、野球の百本ノックとか剣道の素振りみたいなものだと捉えている。これをしていればいまは許されるだろう、という甘え。これさえしていればいつかきっと、という期待。これさえやらなくなればなんでもなくなってしまう、という怯え。
刃先を砥石に当てながら、私は様々なことを考える。逃げる一方の自分を責める。それでも刃は尖る。鋭利に音も立てず肉を裂く。細胞を断つ。冷たい水で凍えた指先がいきなり沸騰して、熱がともりはじめた。動かした筋肉が熱い。額に汗が滲む。夢中になっていたから、背後に人が来ていたことに気づかなかった。
「セノくん」と呼ばれ、私は振り向いた。私服にダウンジャケットで防寒した南波四季が立っている。傍に自転車があった。
四季は「表に明かりがなかったからこっち来ちゃった」と言った。
「ごめんなさい、作業してた?」
「いや、道具の手入れをしていただけだよ。寒いのに自転車?」
「うん、買い物の帰り。今夜うちは餃子焼くんですけど来ませんか?」
四季は自転車の前かごに載せた買い物バッグをポンポンと叩いてはにかんだ。
「餃子、もしかして包むの?」
「包むの。これからだから手伝ってね。ヤツカくんに材料の買い出し頼んでたのに皮だけ買ってくるの忘れたんだよ。だから買いに行って、その帰り。別につくねにして焼くだけでもよかったんだけど、餃子って焼き加減が難しいからさ。どーしても餃子の皮のもっちりとパリパリを極めたかったの」
「きみのそのまっすぐな集中力はなんか、いいね」
私も笑った。笑いながら鑿と砥石を流水で流し、鑿は水気を拭う。
「一心不乱に餃子に向かっていく集中力がさ、叔父さんの古事記になんだか重なって面白い。きっと血筋だね。南波家からのお誘いのお礼に送って行こう」
「あるでしょ?」
「え?」
「セノくんにもまっすぐな集中力が、すごく、たくさん、あるんでしょ?」
少女は茶化す風でもなく、だが真面目でもなく、うっすらと微笑んでこちらを見ていた。挑発的といえばそうだし、信頼している、といえばそうだ。その目を見ていられず、私は曖昧に顔を背け「ないよ」と答えた。
「そんなものはない。あったらこんな生活してないよ、きっと。……そっち先にまわってて。戸締りしてくるから」
車を置いているガレージの方を顎で指す。四季はそれ以上はなにも言わずに自転車を押してそちらへ歩いて行った。私は倉庫に鑿を戻し、明かりを消してガレージへ向かう。荷物を乗せること、ただそれだけの目的で購入したワゴン車の前で四季は時間を持て余していた。
後ろに自転車と荷物を乗せ、助手席に四季を乗せて南波家への道のりを走り出す。今夜は大家である四季の祖父も在宅だという。八束はまだ職場から戻らないという話だ。
「でもさっき電話したらこれから帰るって言ってた。ちょうどいいころで戻ってくるよ。餃子の皮買ってくるって言ったら帰りにセノくんち寄って誘ってみてって言ったの、ヤツカくんだし」
「八束さんが?」
「この前はおでんだったんだね。おでんの日に、セノくんの仕事納めの日訊いたって。今年は今日だったんでしょ?」
「あー」私は頭の後ろを掻く。「そうだね。学生は冬休みに入ったからね」野暮用はいくつかあるが、通常の勤め人よりは幾分か早い仕事納めを迎えていた。
「だから誘ってあげてって。作業してたら邪魔しちゃだめだけど、まあヤツカくんはよく分かってないからねえ」
ふふ、と四季は共犯めいて笑った。私も苦笑する。
「八束さん、まだ古事記に夢中なの?」
「んー? よくわかんない。でもずっと本読んでるのはデフォルトだから。デフォだけど、……夢中になりすぎててちょっと、怖い」
「怖い?」
「さっきのセノくんと一緒。紛らわせたかったり、ごまかしたかったりしている……感じ」
そう言い当てられ、私は心臓がずきっと痛んだ。だが話題の方向を八束へとすり替える。
「……八束さんはなにを紛らわせたかったり、ごまかしてるの?」
「わかんないけど。ヤツカくんそういうこと言わないし。絶対。……わかったら言うから話聞いてくれる?」
「おれに言えるんならいくらでも」
四季ははにかみ、窓の外を見た。大きな橋を渡り、川沿いを上り続け、車は住宅地に差し掛かっていた。外灯の下を見慣れた白髪が歩いている。白髪頭のわりには姿勢がよく着ている衣服も若い。四季は「あ」と声をあげて車のウインドウを下げる。
「ヤツカくーん」
声に八束は振り向いた。私はゆっくりとブレーキを踏んで傍に車を停止させる。八束は血の気の失せたような顔をしていたが、四季に「買えた?」と訊いた。
「いっぱい焼くからいっぱい買った。セノくんも誘えたよ」
「お相伴に預かることにしました。ええと、乗ってく?」と言いかけ、私はバックシートを確認した。「自転車の隙間に体育座りになるけど」
八束はふん、と笑った。鼻息が白く夜に紛れていく。
「あとすこしなんで大丈夫。四季をありがとうございます」
「あー分かった。私が降りればいいんだ」四季がこちらを見る。
「ヤツカくんと歩いて先に家に戻る。セノくん、この先の月極停めるでしょ、車」
この先の月極、とは南波の家が所有・管理している駐車場のことだ。アパートの住人用が基本だが、南波家の来客用にも二台のスペースが確保されており、ここに車を停めることになる。
「うん。じゃあ自転車も降ろそうか」
「あー、僕がやる。後ろあけるよ」
そう言って八束がハッチをあけ、自転車を引っ張り出した。四季も買い物袋を手に車を降りる。「早く来てねー」と手を振られ、私は車を発進させた。ミラーにふたりが映る。
仲の良い叔父と姪だと思う。見た目は反するが仕草や纏う雰囲気は似ている。四季は八束をよく見ているし、八束もあんな性格で実は四季を厭っていない。
四季の両親に関しては、詳しくは訊いていない。ただ、母親は鬼籍だと聞いている。八束の姉である。私がミナミ倉庫を借りる数年前に病死したと聞いた。
父親が生存しているのならば、四季はそちらへ引き取られるべきだろう。だが彼女の保護権は彼女の祖父へと譲られた。八束もそれを機に実家に戻った。だから南波家は大家をしている祖父とその息子の八束、その姪の四季で構成されている。
他の南波家が管理する物件の借主はどうなのか知らないが、私は南波家の人間と頻繁な交流がある方だと思う。それはやはり倉庫住まいという常識はずれな境遇からだろうし、八束と同学年だと知った親近感からでもあると思う。こうして南波家の食卓に呼ばれることもあれば、八束個人と飲みに行くこともしばしある。それはまるで昔馴染みの友人関係であるかのような親しさだ。
ただ、八束の本当のところを私は分かっていない。四季が「なにをごまかしているのか分からない」と言うように。
お互いが持っている情報を、ポーカーフェイスを装って出したり引っ込めたりしている。手の内は全てを明かさない。大人になってから知りあう常識みたいに思っている。
だから油断ならない。
プロフィール
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粟津原栗子
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自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。
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暑いですね。番外編短編、ちょこっと更新しています。
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お久しぶりです。短編長編更新。
短編「さきごろのはる」
短編「月の椅子」
短編「みんな嬉しいお菓子の日」
長編「ファンタスティック・ブロウ」
短編「冬の日、林檎真っ赤に熟れて」
2021*08*16-08*19
甘いお菓子のある短編「最善最愛チョコレート」更新。
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