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成人女性を対象とした自作小説を置いています。
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「いいもんあるから、使おうぜ」
 そう言って一度はベッドから離れた羽村は、ベッド下の引き出しから小さなプラスチックボトルを取り出した。「ローション。AVに付録でついてたお試し用だけど」
「これで中濡らして馴らして広げたら、透馬の入るから」
 濡らして馴らして広げる。受験の必須科目を覚えるかのように羽村の台詞を暗唱すると、羽村は「熱心」と笑った。
「ゴムもある」
 コンドームの小さなパッケージは、はい、と手のひらに渡された。保健体育の授業で見たことはあっても、使ったことはなかった。
「最初だからな、セーフティ覚えとこうな」
「羽村さん、先生みたいですね」
「ビギナー相手だからな。無理やり突っ走られて痛い思いして困るの、こっちだし」
 その慣れた物言いがなんとなく気に障り、「どうせ初めてですよ」とすねたまま透馬は羽村を押し倒した。先程羽村が自分で示した場所にそっと指で触れてみる。きゅうっと窄まって、弾力があった。
 ローション使って、と指示を出される。使って、と言われても使ったことがないから使い方が分からないのを、羽村は嬉しそうに微笑む。羽村の手で掌に絞り出されたそれを指にまとわせて、羽村の奥を押してみる。思いのほかスムーズに指は飲みこまれていった。
「ゆっくり、奥まで入れてみて」羽村の呼吸が少し荒い。「それで左右に揺すって」
「……羽村さん、痛く、ねえの?」
「――平気…。透馬、二本目いれてみ」
 ローションのおかげで内部はすべりよく、熱くねっとりしたものが指に絡みつく感触は透馬をさらに興奮させた。一度引き抜いた指をふたつまとめて再び羽村の奥へ進めた時、羽村はびくりと膝を引き攣らせた。なんだろう、と思ってもう一度同じ動きをしてみる。今まで余裕綽々に見えていた羽村の瞳が潤みだし、透馬の動きに合わせて「あっ」と余裕のない声をあげた。
「そこっ……」
「……感じる、ってこと?」内部に盛りあがった部分があることに、気付いていた。そこをこりこりと押す。
「あっ、ああっ……いいっ、透馬っ」
 羽村は長い髪をぱさぱさと振って透馬の指に悶えている。感じている様子にそそられ、さらに指を動かす。中が緩んでゆくのが分かった。羽村に言われずとも三本目も足して、ローションも足す。淫猥な音が室内に響き、窓の外まで聞こえそうだった。
「あっ……透馬、も、入れていい……っ……」
「ここに……?」
「入れて……突いて、……」
 潤んだ瞳で懇願されるとたまらなかった。コンドームで苦戦しながらも、羽村の密やかな奥へとゆっくりと腰を進める。いれていく先からねっとりと熱い粘膜に包み込まれ、ぎゅっと締め付けられる。たまらず、透馬は呻いた。
「あ、透馬っ……いいっ……」
 透馬の質量を羽村が喜んでいることが、台詞からも表情からも、内部の蠢きからも分かった。吸いついて透馬を離さない、羽村の潤んだ内部。もっと快感を追いかけたくて腰を動かす。ここから先は本能の領域だった。
「と、うまっ、透馬っ」
 夢中で出し入れしていると、羽村は切羽詰って透馬を呼んだ。「なに?」と組み敷いた男の顔を覗き込む。動きを止めるとじんと腰が痺れて、早く動かしたくてたまらないのに。
「あ、もっとゆっくり、して……」
 余裕のない透馬に散々突き上げられて、羽村はつらかったようだ。
「ゆっくりって、おれ、もたない……」
「やだ」ぎゅ、と透馬の腰を足で抱え込む。余計に締め付けられ、沸点がちらつく。
「羽村さん」
「……じゃあ何回いってもいいから、いっぱいして、な」
 困った表情を見せる透馬の眉間をやさしく撫でて、羽村はくちをあけた。そうするのだと分かったから、キスをした。くちびるをくっつけているだけで完結するのだと思っていた事柄は、実はもっと深くいやらしく、みだらで、透馬の性感を直接突く。
 ふと綾は、セックスでどんな顔になるのだろうと思った。いま組み敷いている身体が綾だったとしたら。白く細い身体がびくびくとのぼりつめる、これが綾だったら。
 どんな声で。
 透馬は羽村の中で何度もいった。途中、コンドームを取り替えるのが手間ではずしてしまったから、透馬が何度も注ぎ込んだ精液で羽村の内部はより一層すべり、透馬をずっとずっと夢中にさせた。


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粟津原栗子
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自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。

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