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成人女性を対象とした自作小説を置いています。
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 その夜は、一緒に風呂をつかった。
 瑛佑はすでにシャワーを済ませていたが、透馬が残念がったので二度目の風呂だ。他愛ない話をしながら湯に浸かっているだけでは済まず、熱いシャワーを上からざあざあ流しながらたっぷりとキスをした。キスの後はベッドに直行だ。ろくに身体も拭かないままだったのでシーツは水滴を吸ってしっとりと重たくなる。クーラーの冷気が当たれば殊更で、触れた先から透馬は肌を粟立たせていた。
 透馬のセックスは、次第に愛撫が長くなった。はじめこそ性器への直接的な刺激で済ませていたことが、いまは身体のあちこちを辿られる。腰を触り、乳首を口に含み、あばら骨や腹筋をちろちろと舐めてゆく。瑛佑が焦れて名前を呼ぶまで性器に触れてくれないこともある。
 尻の奥を探られるのは、まだ慣れない。ぬるみを纏った指が入口を撫で滑り、奥へと侵入してくると、どうしても違和感で身体が竦む。ただ、押されると痺れて射精したくなるポイントがあると教え込まれてからは透馬の指に合わせて腰が揺れるようになった。そういうみだりがましい自分を自覚するととんでもない羞恥でいたたまれず、「透馬、ちょっと待って」と情けない声で中断をかける。
 そのままもつらいが、抜かれるのも動かされるのもつらい。ベッド下に落とした夏掛けをなんとか引っ張り上げ、かぶるようにそれを抱え込んだ。
「……なんで隠しちゃうんすか」
 透馬は興奮でいつもよりさらに声を掠れさせ、答えの分かりきった質問をする。
「……いや、お構いなく、」
「構うでしょ。見えないと分かんないですから、顔、見せて?」
「やだ」
「……瑛佑さん、見たい」
 ひどく甘ったるい声で囁いた透馬は、たわむれに差し込んだ指を鉤の字に曲げた。びりっと尾てい骨から脳髄を一気にあまやかな痺れが駆け抜け、身体が勝手にしなる。
 ぐしゅぐしゅとわざと卑猥な音を立て、透馬は指を出し入れしながら「瑛佑さん」と呼び続ける。瑛佑はかたくなに夏掛けに顔を押し付けている。三本の指がまとめて瑛佑を暴き、ようやく布団から顔を離した。
「……透馬っ……」
「今日なら大丈夫そう……いれて、いいですか?」
 前回、透馬のものを受け入れようとしてどうしても違和感が勝り、抜いてもらった経緯がある。透馬はいつも以上に慎重だ。
「いい、けど」
「けど、怖い?」
「じゃなくて、……」
 キスがしたい、は結局言わなかった。言おうと思うとまた夏掛けが必要になる。するときっと顔を見せてと言って、瑛佑のたまらないポイントを上手く突かれるのだろう。
 瑛佑の逡巡を痛みへの恐怖ゆえと取った透馬は、「どうしても無理なら蹴飛ばして」と言いながら腰を進めてきた。よくならし広げた上に、新たに潤滑剤を足したからぬるりと大した抵抗なく入る。内壁をずり上がってくる透馬の性器の、圧迫感。気持ちいいのか気持ち悪いのか、自分じゃどうしていいのか感覚がどちらへも振り切らない。
「――ぜんぶ入った、」じっとりと動けぬまま、透馬が言った。「――どうですか」
「痛くない、ですか?」
「大丈夫……」
 やっぱり知らず知らずのうちに力が入っていた。夏掛けを掴んでいた指の一本一本を透馬は丁寧に外し、指と指を絡め合わせた。
「……透馬、動けよ」
「瑛佑さん、やっぱちょっと力入ってるから、」
「そんな悠長な事言える場合じゃないだろ」
 瑛佑の中で、透馬の性器は大きくかたく漲っている。
「……おれ、多分あとすこし」
 繋いでいない方の手で、透馬の頬をひたりと撫でた。
「あとすこし慣れたら、気持ちよくなれると思う」
「……はい、」
「動けよ、透馬」
 正面きって言うと恥ずかしかった。夏掛けをまた抱え込む。透馬は身体を起こし、しっかりと瑛佑の足を抱えると、ゆるやかに長く突き出した。
「――あっ、っ、……はっ、あっ」
「瑛佑さん、」
 律動に合わせてどうしても出てしまう声を、透馬がくちびるで塞いだ。その間だけ小刻みになった動きがとろとろとあまい。そしてまたほどいて、強く突き上げて、透馬はいった。



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粟津原栗子
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自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。

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