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「それ以上すると、でる」
「……だしていいですよ」
「だっておまえこのままじゃ、……」
「……抵抗、ありますか」
透馬の声は興奮よりも不安の方が勝っているように感じた。慌てて「違う」と否定した。
なんと説明したらいいものか。行為は嫌じゃなくてむしろ良くて、でも透馬の口の中に出すのが問題で、というかしょっぱなからこれで申し訳なくて。言えずに迷っていると、透馬は眩しそうに目を細め、「一緒にしてもいい?」と訊いてきた。
「……いい、」
「……じゃあ、おれのも」
透馬自身も穿いていたスエットを下げ下着の中から性器を取り出す。瑛佑のスエットと下着は一気に抜き取られた。昂ぶりの裏側にぴったり合わせ、一緒に握りこまれる。
「――っ」
目を開けていると天井のライトがやたらと眩しく感じて、目を閉じた。明かりを絞っておくべきだった。片腕で顔を覆う。自分の荒い呼吸と、透馬の呼吸と、先走りをなすりつけるように動く手指からぬめる音。性感がぐぐっと駆けあがり、擦り合っているだけなのにたまらなかった。
足を抱えあげられ、太腿の下に透馬の太腿が差し込まれる。挿入と同じ動きで透馬は腰を振り、瑛佑も透馬の腰を足で抱え込んだ。射精まであっという間だった。二度・三度と勢いよく噴き出た濃い体液が瑛佑の顎の先まで飛んだ。
「うわっ、……やば、ごめん……服、」
余韻に浸る間もなく透馬が身体を伸ばし、ティッシュで瑛佑の身体や衣類に飛んだ白濁を拭った。とっとっと、と走る心臓がやけに響く。ぼうっとしたまま透馬を見上げると、透馬は「そんな顔」と言って顔を寄せてきた。
「瑛佑さん、いま凶悪にセクシーですよ」
キスをされた。ちゅ、ちゅ、と音を立ててあちこちを吸われる。色めいた顔をしているのは透馬の方だと言いたいが言えない、言えたとしても多分言わない。口の中にもポイントがあって、そこに舌を伸ばされるとまた背筋がぞわりとした。
透馬の手がシャツの下に這い、太腿はいったばかりの性器を押してくる。キスをやめた透馬に、首筋の匂いを嗅がれた。
「透馬、待って」
「無理、すいません」
「電気絞って欲しい」眩しいのがやたらと気になってしょうがなかった。全部余すところなく見せている、という状況が。
「……消したら見えないじゃないですか」
「そりゃおれも同じだって……眩しいんだよ」
「……スタンドつけてていい?」
「いい。透馬も脱げよ」
瑛佑の上からようやく退いて、部屋の明かりを消しに行った。一瞬の真っ暗闇、すぐに枕元のスタンドをつける。
結局、瑛佑が脱ぐ前に透馬が覆いかぶさって来た。べたべたとキスをしながら、わざわざの苦労をしてシャツを脱ぐ。透馬の服は、瑛佑が脱がせた。案の定真っ白い肌をしていて、その分ほくろが目立ち、瑛佑よりもやや細身だった。手足と首がすらりと長い。
男の身体なんだと強く意識した。確かな骨格を確かな肉と皮膚とでくるんで出来ている、直線的な造形。いやだとは思わなかった。むしろ普段は服の下に押し隠している身体がこうだったという事実と、瑛佑の身体に興奮している事実にそそられた。
こうばしい香りを立ちのぼらせている身体を寄せ合って、深く長くキスをした。いつまでも出来そうだった。
透馬の身体はじっとりと汗を浮かせていて、そのことが瑛佑には安心だった。走る心臓の音が聞こえるのもいい。確かな重みも、硬く骨の当たる身体も、息遣いも、生身の人間に触れていることが心地いいと思った。
透馬が腰を揺すりだし、今度は瑛佑もそこに触れた。
その夜はそれまでで、しかしとても長かった。手と口をつかってお互いに施しただけ。大人になったからこそできる速度と熱量で進むセックスは、心まで満ちた。うとうとと眠りに落ちる寸前に透馬の言った「すき」に、心の底から「ありがとう」と言った。
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暑いですね。番外編短編、ちょこっと更新しています。
2021*12*04-2022*03*17
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短編「さきごろのはる」
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2021*08*16-08*19
甘いお菓子のある短編「最善最愛チョコレート」更新。
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