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秀実と瑛佑
お目当てのアクセサリーを無事に手に入れて、秀実は満面の笑みで隣を歩いている。ピンクゴールドのピアスで、チョウをかたどったものだ。石のはまらないシンプルなピアスだがこれぐらいが日常使いにいいのだと言う。秀実から彼女の「梢ちゃん」へ渡す大事なプレゼントだ。
今週末、結婚式を迎える。皆の前で婚姻届を書き、その日のうちに提出をし、ハネムーンへと旅立つ予定だ。行先はハワイ。今日買ったプレゼントはそこで渡してやるのだ。結婚してくれてありがとう、という気持ちと、「梢ちゃん」の大学卒業祝いと、四月に迎えていても「お式でお金がかかるから」とごく質素に済ませた誕生日祝いを――諸々を兼ねた、要するに秀実があげたいから渡すプレゼントだ。
独身最後の休日は瑛佑と遊びたい、と言うから合わせて休みを取った。単に買い物につきあっただけで、揃って女性物ばかりを扱うジュエリー店へ入るのはかなり気恥ずかしかったが、秀実は気にしない。店員を巻き込み、あれやこれやと散々悩んだ末に選び出したピアスに、瑛佑の感想は正直「ほっとした」だった。このままもう一時間粘られた上に次の店へ、などと言われていたらおそらく先に帰っていた。
店を出れば二時をまわっていたから、ランチタイム営業の関係ないファミリーレストランへ入った。本当は焼肉屋へ入って飲もうという話だったが、「焼き肉ってプレゼントににおいうつりそうだからやっぱナシ」と言う。いやまあ、だったらどこかのコインロッカーに預けるか家に一度戻って置いてくるかした方がいいと思うけどな、と思ったが言わなかった。心の中では秀実が選び出した「ボリュームビーフステーキ 三種のソース添え」に関して大いに突っ込みを入れている。――バターと脂とソースのにおいがすごそうだ。
「買えてよかったー」と食事が来るのを待つ間に秀実がしみじみとこぼした。
「えーすけいて良かったよ。おれひとりじゃ決まらんかった」
「そうか」黙って見ていただけだけれど。
煮え切らない秀実の背中を押したのは、店員だ。良心的な彼女のおかげでなんとか決まった。
「いやー、昔からえーすけといると決断できるんだ。今日のところは奢るから、たくさん食え、な」
「そんなに大盤振る舞いでもつのか?」
「いやー、まあ、金はかかるな、うん」
結婚を具体的に考えたことがないから、秀実の費用は正直想像がつかなかった。瑛佑の考えている額の倍も何十倍もかかったりするのだろうか。透馬との引っ越しだってあれこれかかったもんな、と春先の出来事を思い返してみる。ふたりで暮らせる部屋を探すだけでけっこう大変で、家具もある程度を揃えたから余計に。
だがその甲斐あって、いまは毎日が楽しい。
透馬が歌いながら料理している背中なんか見ていると、微笑ましくなる。これを手にしたんだ、という実感がこみあげて、後ろからいたずらしたいような、見守っていたいような、複雑なもどかしさが生まれ、心の中が透馬でいっぱいになる。やはり引っ越して正解だった。毎日家に帰るのが楽しみだ。こんな嬉しいことはない。
店員が「鶏南蛮定食のお客様」と品を差し出して来て、我に返った。ちいさく手を挙げるのと、秀実が「あっちね」と瑛佑を指すのとが同時だった。店員は笑顔で応対し、また戻ってゆく。
「先食うよ」
「おう」
三種のソース添えステーキの方が焼けるのが遅いらしい。食べ始めた瑛佑を、だが秀実はじっと見ている。食べにくくなり、瑛佑は顔を上げた。
「なに?」
「うん、」
「なんだってば」
「いやーさ、トーマ元気かなって」
「え?」
「え?」
どきりとして、言葉に詰まった。微妙にすれ違った会話に秀実もかたまっている。
引っ越したことは、秀実も知っている。引っ越す、とは話した。ただ透馬と暮らし始めたことは伝えていない。それよりも秀実は自分の結婚披露宴のことで手一杯で、たまに話す機会があっても、自分のことばかり喋っていた。いつものことだな、と思いつつ、いつ話そうかタイミングを見出せていない状況が続いている。
この場で透馬の話題がのぼったのだから、話すべきだろうか。付き合っている、ということを? いまさらながらにどっと汗が出てきた。鶏肉に手を付けられぬまま箸が止まる。
また店員がやって来て、秀実の注文を置いて行った。「肉、きたー」と喜ぶ秀実に、正直ほっとした。いやでも、いま言わないでいつ言うんだろう。
迷っている瑛佑を怪訝に思ったのか、秀実は「どうしたー」と笑顔を瑛佑に向けた。
「――あ、いや」
「鶏、まずい? それともおれのほしい?」
「違う。鶏は、多分うまい」
「おれに半分ちょうだいよ」
「いやだね」
慌てて食事をかきこむ。染み出た油は少々しつこかったが、それなりの味だった。食べている間に、秀実は器用に喋った。今日のプレゼントをどう渡すか、その作戦について。結婚式当日の不安について。楽しみについて。
結局、店を出ても瑛佑は迷っていた。満腹で思考がうすれる。もうどうでもいいか、と思っていたところで通りがかった花屋を見て、秀実がぽろっと「トーマに買って行ってやれば?」とこぼした。
この時ほど俊敏に人の顔を振り向いたことはなかったと思う。「え?」と言う秀実に、瑛佑も「え?」で返した。秀実の表情には、なんのうらおもてもなかった。
「――だって一緒に暮らしてるんだろ?」
「……」
「え、違ったっけ?」
「……あってる」
「だよなー、えーすけ言わねえんだもん。言えってんだなー」
そこまで言われたらもう、隠すのもおかしいだろう。瑛佑は腹を決めた。「悪かった。透馬と、暮らしてるよ」
「そっかー、楽しそうでいいなー」
「うん、まあ」――恥ずかしい。
「トーマ、どう?」
どう? と聞いてくる真意がうまくつかめないのだが、つきあっている感想を聞いているのだろうと思った。こみあげる照れを隠しながら、「かわいいよ」と答える。そう、かわいい。暮らし始めての率直な感想だ。機嫌がいいとうたい出すところも、遊び好きなところも、思いつめて甘えたくなっても言えないところも。少し幼い感じが透馬はいい。
「え?」と秀実がかたまった。
「ん?」
「かわいい?」
「かわいいっていうか…まあ、綺麗な男だな、と思う時も、あるけど」
「え?」
「え?」噛みあっていない気がしてきた。
「――まさかえーすけ、トーマが、好き?」
「――――」
瞬間、全部理解した。理解するのと「好き?」の響きに顔が火照るのが同時で、それは秀実にも確実に知られてしまった。つまり秀実は、言葉通り「一緒に暮らしている」のだと思い込んでいて、恋人として付き合っている、とは思っていなかったのだ。日本語って微妙だ。主語を省略できるからいつの間にか暗黙の了解でものごとがすすむ。
沈黙と、瑛佑の照れとで、秀実もまた悟ったらしい。口をぽかんと大きくあけて、「えええーー」と道のど真ん中で叫んだ。
「ちょ、秀、うるさい」
「え、嘘っ! えーすけってそうだったの? っつかそれ、片想い? じゃねえか、一緒に暮らしてるってことは、両想い? トーマとつきあってんの?」
「秀、ボリューム、」
「えーおれまったく知らんかったし! 言えよ! トーマも隠してんなよな!!」
騒ぎ立てて、最終的には怒りへ持って行って、秀実は終息した。ばしんばしんと背を叩かれ、痛いったらありゃしない。うるさい秀実を置いて帰ろうと本気で思ったから、歩みを早めた。秀実も追いかけてきて、二人してほぼ全速力で駅へと駆ける。
「逃げんなよ、えーすけ!」
「おまえがうるさいからだろ……」
「あーびっくりした。あーびっくりした、びっくりしたあ」
駅の改札、人の出入りが激しければもう、二人の会話に注目する人間はいなさそうだった。コインロッカーの前でようやく一息つく。秀実がでも「あはは」と楽しそうに笑うから、ああ言っても大丈夫だと、思った。
「透馬とつきあってるよ」
「ほおー」
にやにやと秀実は笑っている。その顔が見ていられず、目を閉じて、三回息を吸い吐きした。
「ていうかいつからだよ、」
「……去年の春先ぐらい」
「げえ、一年以上前じゃん! なんでゆわなかったんだよ!!」
「色々あったんだって……」
瑛佑の首に腕を伸ばし、おそらくはスリーパーホールドを決めようとする秀実をなんとか払いのけ、かわす。「楽しそうだな、おい」と言うから、そこは素直に「楽しいよ」と言ってやった。
かわしてもかわしても何度も腕を伸ばしてくる秀実に根負けして、ついには肩を組まれた。
「まー、よかったなー。トーマ一時期いなくなっちゃったし、辛そうだったから心配してたんだよなー」
「……」
「そっか、そーなんだな。おれ、ちっとも嫌じゃないからな、えーすけ。むしろ応援する。これからもよろしくな」
一方的にそう言って、秀実は腕を解いた。改札を指差し、「ボーリングでも行く?」と笑う。眩しいものを見たように、瑛佑は目を細くした。ああ、秀実だ。なんでも許容する、バカでハッピーで愛すべき、単細胞の義理の弟、親友。
下を向いて感動をごまかしながら、「そうだな」と瑛佑は頷いた。
「あ、新しく出来たジム行く? ボルダリング出来るってとこ」
「今日は準備がない」
「借りりゃいいだろ。見るだけでもさ、行ってみようぜ。ここから二駅ぐらいだし」
「まあ、いいよ」
ぱん、と肩を叩かれる。笑っている秀実の隣に並んで改札へと歩き出した。
End.
お目当てのアクセサリーを無事に手に入れて、秀実は満面の笑みで隣を歩いている。ピンクゴールドのピアスで、チョウをかたどったものだ。石のはまらないシンプルなピアスだがこれぐらいが日常使いにいいのだと言う。秀実から彼女の「梢ちゃん」へ渡す大事なプレゼントだ。
今週末、結婚式を迎える。皆の前で婚姻届を書き、その日のうちに提出をし、ハネムーンへと旅立つ予定だ。行先はハワイ。今日買ったプレゼントはそこで渡してやるのだ。結婚してくれてありがとう、という気持ちと、「梢ちゃん」の大学卒業祝いと、四月に迎えていても「お式でお金がかかるから」とごく質素に済ませた誕生日祝いを――諸々を兼ねた、要するに秀実があげたいから渡すプレゼントだ。
独身最後の休日は瑛佑と遊びたい、と言うから合わせて休みを取った。単に買い物につきあっただけで、揃って女性物ばかりを扱うジュエリー店へ入るのはかなり気恥ずかしかったが、秀実は気にしない。店員を巻き込み、あれやこれやと散々悩んだ末に選び出したピアスに、瑛佑の感想は正直「ほっとした」だった。このままもう一時間粘られた上に次の店へ、などと言われていたらおそらく先に帰っていた。
店を出れば二時をまわっていたから、ランチタイム営業の関係ないファミリーレストランへ入った。本当は焼肉屋へ入って飲もうという話だったが、「焼き肉ってプレゼントににおいうつりそうだからやっぱナシ」と言う。いやまあ、だったらどこかのコインロッカーに預けるか家に一度戻って置いてくるかした方がいいと思うけどな、と思ったが言わなかった。心の中では秀実が選び出した「ボリュームビーフステーキ 三種のソース添え」に関して大いに突っ込みを入れている。――バターと脂とソースのにおいがすごそうだ。
「買えてよかったー」と食事が来るのを待つ間に秀実がしみじみとこぼした。
「えーすけいて良かったよ。おれひとりじゃ決まらんかった」
「そうか」黙って見ていただけだけれど。
煮え切らない秀実の背中を押したのは、店員だ。良心的な彼女のおかげでなんとか決まった。
「いやー、昔からえーすけといると決断できるんだ。今日のところは奢るから、たくさん食え、な」
「そんなに大盤振る舞いでもつのか?」
「いやー、まあ、金はかかるな、うん」
結婚を具体的に考えたことがないから、秀実の費用は正直想像がつかなかった。瑛佑の考えている額の倍も何十倍もかかったりするのだろうか。透馬との引っ越しだってあれこれかかったもんな、と春先の出来事を思い返してみる。ふたりで暮らせる部屋を探すだけでけっこう大変で、家具もある程度を揃えたから余計に。
だがその甲斐あって、いまは毎日が楽しい。
透馬が歌いながら料理している背中なんか見ていると、微笑ましくなる。これを手にしたんだ、という実感がこみあげて、後ろからいたずらしたいような、見守っていたいような、複雑なもどかしさが生まれ、心の中が透馬でいっぱいになる。やはり引っ越して正解だった。毎日家に帰るのが楽しみだ。こんな嬉しいことはない。
店員が「鶏南蛮定食のお客様」と品を差し出して来て、我に返った。ちいさく手を挙げるのと、秀実が「あっちね」と瑛佑を指すのとが同時だった。店員は笑顔で応対し、また戻ってゆく。
「先食うよ」
「おう」
三種のソース添えステーキの方が焼けるのが遅いらしい。食べ始めた瑛佑を、だが秀実はじっと見ている。食べにくくなり、瑛佑は顔を上げた。
「なに?」
「うん、」
「なんだってば」
「いやーさ、トーマ元気かなって」
「え?」
「え?」
どきりとして、言葉に詰まった。微妙にすれ違った会話に秀実もかたまっている。
引っ越したことは、秀実も知っている。引っ越す、とは話した。ただ透馬と暮らし始めたことは伝えていない。それよりも秀実は自分の結婚披露宴のことで手一杯で、たまに話す機会があっても、自分のことばかり喋っていた。いつものことだな、と思いつつ、いつ話そうかタイミングを見出せていない状況が続いている。
この場で透馬の話題がのぼったのだから、話すべきだろうか。付き合っている、ということを? いまさらながらにどっと汗が出てきた。鶏肉に手を付けられぬまま箸が止まる。
また店員がやって来て、秀実の注文を置いて行った。「肉、きたー」と喜ぶ秀実に、正直ほっとした。いやでも、いま言わないでいつ言うんだろう。
迷っている瑛佑を怪訝に思ったのか、秀実は「どうしたー」と笑顔を瑛佑に向けた。
「――あ、いや」
「鶏、まずい? それともおれのほしい?」
「違う。鶏は、多分うまい」
「おれに半分ちょうだいよ」
「いやだね」
慌てて食事をかきこむ。染み出た油は少々しつこかったが、それなりの味だった。食べている間に、秀実は器用に喋った。今日のプレゼントをどう渡すか、その作戦について。結婚式当日の不安について。楽しみについて。
結局、店を出ても瑛佑は迷っていた。満腹で思考がうすれる。もうどうでもいいか、と思っていたところで通りがかった花屋を見て、秀実がぽろっと「トーマに買って行ってやれば?」とこぼした。
この時ほど俊敏に人の顔を振り向いたことはなかったと思う。「え?」と言う秀実に、瑛佑も「え?」で返した。秀実の表情には、なんのうらおもてもなかった。
「――だって一緒に暮らしてるんだろ?」
「……」
「え、違ったっけ?」
「……あってる」
「だよなー、えーすけ言わねえんだもん。言えってんだなー」
そこまで言われたらもう、隠すのもおかしいだろう。瑛佑は腹を決めた。「悪かった。透馬と、暮らしてるよ」
「そっかー、楽しそうでいいなー」
「うん、まあ」――恥ずかしい。
「トーマ、どう?」
どう? と聞いてくる真意がうまくつかめないのだが、つきあっている感想を聞いているのだろうと思った。こみあげる照れを隠しながら、「かわいいよ」と答える。そう、かわいい。暮らし始めての率直な感想だ。機嫌がいいとうたい出すところも、遊び好きなところも、思いつめて甘えたくなっても言えないところも。少し幼い感じが透馬はいい。
「え?」と秀実がかたまった。
「ん?」
「かわいい?」
「かわいいっていうか…まあ、綺麗な男だな、と思う時も、あるけど」
「え?」
「え?」噛みあっていない気がしてきた。
「――まさかえーすけ、トーマが、好き?」
「――――」
瞬間、全部理解した。理解するのと「好き?」の響きに顔が火照るのが同時で、それは秀実にも確実に知られてしまった。つまり秀実は、言葉通り「一緒に暮らしている」のだと思い込んでいて、恋人として付き合っている、とは思っていなかったのだ。日本語って微妙だ。主語を省略できるからいつの間にか暗黙の了解でものごとがすすむ。
沈黙と、瑛佑の照れとで、秀実もまた悟ったらしい。口をぽかんと大きくあけて、「えええーー」と道のど真ん中で叫んだ。
「ちょ、秀、うるさい」
「え、嘘っ! えーすけってそうだったの? っつかそれ、片想い? じゃねえか、一緒に暮らしてるってことは、両想い? トーマとつきあってんの?」
「秀、ボリューム、」
「えーおれまったく知らんかったし! 言えよ! トーマも隠してんなよな!!」
騒ぎ立てて、最終的には怒りへ持って行って、秀実は終息した。ばしんばしんと背を叩かれ、痛いったらありゃしない。うるさい秀実を置いて帰ろうと本気で思ったから、歩みを早めた。秀実も追いかけてきて、二人してほぼ全速力で駅へと駆ける。
「逃げんなよ、えーすけ!」
「おまえがうるさいからだろ……」
「あーびっくりした。あーびっくりした、びっくりしたあ」
駅の改札、人の出入りが激しければもう、二人の会話に注目する人間はいなさそうだった。コインロッカーの前でようやく一息つく。秀実がでも「あはは」と楽しそうに笑うから、ああ言っても大丈夫だと、思った。
「透馬とつきあってるよ」
「ほおー」
にやにやと秀実は笑っている。その顔が見ていられず、目を閉じて、三回息を吸い吐きした。
「ていうかいつからだよ、」
「……去年の春先ぐらい」
「げえ、一年以上前じゃん! なんでゆわなかったんだよ!!」
「色々あったんだって……」
瑛佑の首に腕を伸ばし、おそらくはスリーパーホールドを決めようとする秀実をなんとか払いのけ、かわす。「楽しそうだな、おい」と言うから、そこは素直に「楽しいよ」と言ってやった。
かわしてもかわしても何度も腕を伸ばしてくる秀実に根負けして、ついには肩を組まれた。
「まー、よかったなー。トーマ一時期いなくなっちゃったし、辛そうだったから心配してたんだよなー」
「……」
「そっか、そーなんだな。おれ、ちっとも嫌じゃないからな、えーすけ。むしろ応援する。これからもよろしくな」
一方的にそう言って、秀実は腕を解いた。改札を指差し、「ボーリングでも行く?」と笑う。眩しいものを見たように、瑛佑は目を細くした。ああ、秀実だ。なんでも許容する、バカでハッピーで愛すべき、単細胞の義理の弟、親友。
下を向いて感動をごまかしながら、「そうだな」と瑛佑は頷いた。
「あ、新しく出来たジム行く? ボルダリング出来るってとこ」
「今日は準備がない」
「借りりゃいいだろ。見るだけでもさ、行ってみようぜ。ここから二駅ぐらいだし」
「まあ、いいよ」
ぱん、と肩を叩かれる。笑っている秀実の隣に並んで改札へと歩き出した。
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HN:
粟津原栗子
性別:
非公開
自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。
****
2022*08*11-21
暑いですね。番外編短編、ちょこっと更新しています。
2021*12*04-2022*03*17
お久しぶりです。短編長編更新。
短編「さきごろのはる」
短編「月の椅子」
短編「みんな嬉しいお菓子の日」
長編「ファンタスティック・ブロウ」
短編「冬の日、林檎真っ赤に熟れて」
2021*08*16-08*19
甘いお菓子のある短編「最善最愛チョコレート」更新。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。
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2022*08*11-21
暑いですね。番外編短編、ちょこっと更新しています。
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