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成人女性を対象とした自作小説を置いています。
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 ベッドルームに隣合うゲストルームで夕食を取った。給仕をつけることもできるがいかがなさいますかと訊ねられ、青は断った。「こちらで好きにやりますので」と言うと、女将は「では順にお料理お運びいたします」と言って、品書きと追加オーダー用のメニューだけ置いて下がった。
「いいのか? お触り自由だったかもしんねえのに」と向かいで夜鷹が笑う。
「必要ない」
「ノーパンしゃぶしゃぶって世代じゃねえんだよな。あれ一回行ってみたかった」
「夜鷹のいた国ってさ、もっとえげつないのあるだろ」
「ブタ箱の飯は食いたかねえんだよ」
「パソコンに違法AVダウンロードしといてよく言うよ」
 品のない会話に反して料理は贅を尽くしていた。旬の食材が一流の板前の手で、こだわり抜かれた器に盛られて出てくる。「カニの時期じゃねえところが惜しい」と夜鷹は漏らしたが、普段食べられないような新鮮な海産物は酒をすすませた。地酒も別に頼んで手酌でやりながら料理を楽しむ。シメの茶漬けまで抜かりなく、量も適量で、もてなしの精神に溢れたコース料理だった。
 食器が下げられ、青は再び露天風呂に浸かった。雲が途切れ、ちらちらと星が見えた。流す程度で風呂を出て、ベッドに倒れ込む。
 隣のベッドで夜鷹は持参した文庫本をめくっていたが、青が戻ってきたのを見て本を放る。ふーっと息を吐いた。荷物を漁り、小さめの紙袋を投げて寄越す。重量物が入っていて、青の背中に当たって顔をしかめた。
「もっとおれを大事にしてくれないか」
「こんなに大事にしてるのにな。今夜はちゃんと用意してきたんだぜ。夜はこれからだろ」
 大方の中身の想像がつきつつ、紙袋を改める。未開封のラブローションのボトルが無造作に入っていた。
 紙袋をベッドサイドのテーブルに置く。「風情がない」と軽く笑うと、ベッドに寝転んだ夜鷹は「これでも誘ってるんだけど」とガウンの裾をずり上げて肌を露出させた。
「肉欲だけはな。どうにもなんねえ。無理やりやったりやられたりはレイプだが、好きでもなんでもないやつと合意の上でのセックスなんざざらにある話だ」
「聞き捨てならないな。誰が誰を好きじゃないって?」
「おまえに触れられたら天国見てすぐいっちまうって言ってるんだよ……」
 夜鷹の声は艶を帯びていた。青はベッドに寝転がる夜鷹の元へ移動して、その身体の上に重なる。組み敷いた身体に纏う衣類を解く。露出した鎖骨に鼻先を寄せ、音を立てて吸い、顎を掴んで顔を見合わせた。眼鏡を外さないままの夜鷹の目。唇はもう条件反射で勝手にひらく。唇を合わせると夜鷹は笑い、自ら舌を差し入れてきた。
 体液を交換し、舌を絡ませるだけ絡ませて、顎の裏側まで舐める。手を伸ばして室内の明かりを絞った。ガウンの袖を腕から抜き、青も自らガウンを脱ぐ。
 夜鷹の身体に舌を這わそうとすると、やんわりと制された。
「夜鷹?」
 起き上がって、青を下にして、夜鷹は青の腰を抱いた。性器をねっとりと口腔に包まれ、熱く弾力のある舌の刺激に息が詰まる。
「……――っ、」
 青は夜鷹の髪を掴む。梳いてなぞるを繰り返す。夜鷹は頬をすぼめ、顔全体を上下に動かして青の性器を熱心にしゃぶった。先端のちいさな孔にまで舌先をこじ入れようとする動きに、腰が勝手に跳ねる。
 ますます硬さを増し、嵩を増し、分泌を促される。どこで覚えたのか、夜鷹は巧みだった。ずいぶんと奥にまで届いて、自身の快楽と夜鷹の身体の構造を一度に教え込まれる。
「夜鷹」髪を引っ張った。
「もういい。出るから、」
「あえは」
 しゃぶったまま喋られ、それはそれで息の当たりや舌の動きが異なり、息を詰めた。わざと音を立てて青の性器を離し、それでも唇は先端に触れたまま、夜鷹はにやりと笑って青を見上げた。
「出せよ。飲んでやるから」
 べろりと先端を舐め、また喉奥まで一息に飲み込まれる。青はどうしようもなく、夜鷹に追い詰められる。夜鷹の頭を掴むと、自ら腰を突き入れた。乱暴な動きに夜鷹はくぐもった声をあげたが、えづきはしなかった。むしろ吸引するように絞られ、限界を迎えて吐精する。
 口内に受け止めた白濁を、夜鷹は楽しそうに飲み込んだ。唇に白く垂れているものまで、指で掬って口に含む。まだ硬度を保つ性器はまた口に含まれ、しっかりと吸い上げられた。余さず飲み込んで満足したか、こちらは身がもたない。
「ご馳走様でした」
 と丁寧に食後の挨拶までする。嫌味なのに、夜鷹に言われると愛を囁かれたような気がするから青は面映い。起き上がり、夜鷹と目線を合わせると、遠慮なくくちづけた。自身で出したものだとはいえ、美味しいとは言えない味のする夜鷹の口内をしゃぶる。ぴちゃぴちゃと音を立て、そのまま夜鷹を押し倒した。
 夜鷹の性器に触れると、膨らんで硬さを保っていた。興奮の在りどころが分かって嬉しかった。首筋や胸板、胸の尖り、脇腹と撫でたり舐めたりしながら性器を刺激する。膝を割って最奥を晒し、ローションを封切って垂らし、指をゆっくりと差し込んだ。
「――足りねえ。おまえは優しすぎる」と夜鷹は不満を漏らした。



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プロフィール
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粟津原栗子
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非公開
自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。

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