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成人女性を対象とした自作小説を置いています。
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「そんなんだから浅野とセックスレスに陥ったんじゃねえのか?」
「コメントは控えるよ」
「もっと雑に扱っていい。やわな作りじゃねえんだし」
「でもここの本来の用途は違うからな。おれが怖い」
「穴があれば突っ込んでみたくなるのは男の生理なんじゃねえの? おれ、ガキの頃に粘土細工に興奮して突っ込んでみたことがある。筒状に作ってな。石粉粘土だったから滑らかで冷たくてオナニーには刺激的だった」
「例が特殊すぎる」
「早くほぐして入れろよ。Please see the heaven…」
 おねだりとは程遠い不遜さでも、夜鷹の頼みなら断るつもりはどこにもない。青はローションをさらに足し、指を増やしてそこを擦る。
「あ」と夜鷹のあげた嬌声と身体のこわばりで、快楽のありかを知る。そこを攻め立てると夜鷹の性器はみるみる漲り、先端から透明な体液が滲んだ。それをべろりと舐め、舐めながら背後に指を突き立てる。夜鷹は我を忘れた風で、髪を振り乱して快楽に没頭する。自身の胸の尖りまでいじるので、そこに青も指を伸ばして摘み、捏ねて勃起を促す。
「入れろよ……」と夜鷹が溶けた眼差しで懇願した。自身の性器に手を伸ばし、緩く擦って青を待っている。
「待って、ゴム」
「スキンは嫌いだから用意してない」
「好き嫌いで判断する代物じゃないだろ、あれは」
「入れろよ、青。なんにも纏うな……」
 懇願されて胸よりは腰に痺れが走った。青だって早く入りたい。腰を掴み、閉じかかった夜鷹の最奥に性器を当てがった。加減せず一気に突き入れる。夜鷹の嬌声は尾を引き、身体を大きくのけぞらせた。生ぬるく腹のあいだが濡れた。入れられて射精したのだ。
 夜鷹は荒く息を吐く。やわらかくなった性器を絞るように扱くと、先端からまだ蜜が溢れて、夜鷹は悶えた。
 緊張から弛緩した身体を抱え、膝の上に乗せた。貫くような体勢に夜鷹は声をあげたが、それでも馴染むと、微笑んで青を見下ろした。
「……好きだな、上に乗せるのが」頬をなぞられる。
「重さが安心するんだ」
「おれが突っ込んで奥歯がちがち言わせてやろうか」
「おれが勃たなくなったらそうしてくれ。……性欲っていつまで続くんだろう」
「いつまで?」
 唇を遊ぶようになぞる指が止まった。
「いつまでおまえとセックスできるのか、本気で危惧してるんだ。もういい歳だから」
「勃たなくても愛してるから心配すんな」
「こうなるならもっと早くこうしてればよかったって後悔してるよ」
「普通でいたかったんだからしょうがない。悩む時間って無駄じゃねえんだよ。ぐだぐだ考えるなら行動しろ、っていう場合もあるけどな」
 夜鷹の唇が押しつけられ、応じてキスをする。夜鷹のこういうところが好きだと思う。青が悩んだ時間を無駄だと言わないところ。あのときこうしていればよかった、と言わないところ。
 過去行ったことの結果でいまがある。過去は常に「いま」の積み重ねであり、「いま」を夜鷹は最善に、いちばん大事にしている。過去を悔いなければ、未来を夢見ない。本当は青よりはるかに真面目で堅実な性格だ。
 夜鷹がこういう性質でなかったら、好きになっただろうか。判断は難しく、青は悩み考える。けれどその迷いや思考さえも肯定されているから、青はずっと参っている。夜鷹に惹かれない選択肢は、過去どこをどう遡って修正しても、きっとあり得ない。
「……またごちゃごちゃと余計なことを考えているだろう」
 指摘されて、青は自然に微笑んだ。
「実感がないんだ。おまえみたいには現実を直視できなくて」
「それがおまえの処世術だったからな。試しに噛んでやろうか」
「どこを噛むんだ。小指?」
「世代じゃねえだろうが。……なあ、青、」
「分かってる。大丈夫だよ、夜鷹」
 曖昧な台詞を口にして、夜鷹の頬に触れる。そのままキスを交わしながら反対側へ押し倒した。背中をシーツに縫いとめて腰を動かすと、くぐもった声が漏れた。張り詰めた性器が押し迫る内壁に絞られて下半身が溶けそうになり、もっと、もっとと求めて腰を動かす。
 そのうち苦しくてキスも出来なくなり、ただ放出の快楽を求めて夜鷹を穿つ。夜鷹は鳴く。鼓膜から脳髄が溶け出そうな声を注ぎ込まれ、青も沸点が近い。
 横抱えにすると、夜鷹の肩の傷が晒された。青はそこに舌を這わせる。怖くて噛みつけないけれど、歯を当てると夜鷹の内部はますます蠢く。肉棒をしゃぶる内壁が青を快楽で離さないから、青は傷を知らずのうちに噛んでいる。
「あっ、ああっ……――青っ」
 青が二度目の放出をするより先に、夜鷹が大きく痙攣した。精液が吐き出され、内部が熱くとろける。構う余裕もなく青は一際大きく腰を引き、大きく穿った。これ以上奥まで行けない奥の奥で、なにも遮られずに思いきり射精する。
 汗でぬめる身体で手が滑り、夜鷹の上に倒れ込んだ。濡れた性器が抜け、吐き出した精液が白く溢れる。
 夜鷹を下に潰したまま息を整えていると、夜鷹は青の髪を梳き、耳に直接「I have some idea」と囁いた。


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プロフィール
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粟津原栗子
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非公開
自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。

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