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成人女性を対象とした自作小説を置いています。
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 取り去ると痩せた体が全て晒された。太腿から脛など心配なぐらいに骨の浮き上がりが分かったので、樹生は苦笑しながら「塩谷くん、痩せた?」と尋ねる。
「前はもっと肉があったんじゃないかって思うんだけど」
「家に引きこもってばかりなので。局辞めたら、多分筋肉が落ちて」
「まあ、なんだかんだで体力勝負だからね、配達って」
「岩永さんは、鍛えてるんですよね」
「鍛えてるっていうか、」樹生は笑う。
「たまにバレーボールやってるとか、そんぐらい。市民体育館借りてサークルみたいなやつ」
「……おれも岩永さんの体、全部見たいです」
「……いいよ、」
 樹生も着ていた衣類を脱いだ。布団の脇にまとめて放り、改めて暁登に向き合うと、暁登の視線が樹生の体に注がれているのが分かった。見ようとしているのか、目をきつく細めている。
「見えないんだろ」と言ってやった。
「さっき岩永さんに眼鏡を取られてしまったので」
「だいぶ言うようになってきたね」
「触っていい?」
「どうぞ」
 暁登の腕がまた伸びた。胸や背中、脇腹、腿に脛、足首とあらゆる個所を彼なりの速度で触れてくる。それはくすぐったくて、樹生は笑う代わりにちいさく息を漏らした。
 懸命に撫でて来る手を掴みなおし、そのまま暁登の体を後ろへ押し倒した。
 樹生の下で、暁登がきついまなざしで樹生を見上げる。その瞳は透き通っていて、樹生の心臓はテンポを乱して跳ねる。
 額に張り付いた髪を掻きあげて、その目蓋に口づけた。顔じゅうに唇を押し付けながら掌で暁登の体をまさぐると、暁登は鼻に抜けた声を漏らす。
 樹生の唇から逃れるように顔を背け、暁登が息を吐いた。
「……岩永さん、おれが触りたいって」
「触ればいいよ。おれも触ってるだけ、」
 そう言いながらも手は愛撫をやめない。暁登の足を開かせ尻の奥へと指を進めると、そこは乾いていて、樹生は思わず「あ」と声を出した。樹生に組み敷かれているけれど、暁登は女ではない。女でないので、当然ながら支障があった。
 暁登が不思議そうな顔で樹生を見上げた。
「……なに、」
「いや、……コンドーム買うときにジェルかなんか買っときゃよかった、と思って」
 暁登はまだぽかんとしていたが、「ここ」と指で暁登の奥を押してやると、びくっと体を竦めた。
「本来の用途が違うからさ。濡れるわきゃない」
「……湿ってないとまずいんですか、」
「痛いんじゃないかな、」
 塩谷くんが、と付け加えると、暁登はまた眉根を寄せた。
「なんもないんだよな、おれんち。ラブホだったら」
 話す傍から暁登は樹生の腕から逃れ、「もういいです」と布団にうつぶせてしまった。
「塩谷くん?」
「もう、いいです。やめましょう」
「なに怒ってんの、」
「別に怒ってないです」
「いや怒ってるって」
「ない」
「ある」
 暁登はしばらく黙ったが、ややあってくぐもった声が返された。
「腹が立ちました」
 やっぱり怒ってんじゃないかと思ったが、それを言えばきっともっと意固地になりそうだと想像がついたので、言うのはやめた。「なにに腹が立った?」
「岩永さんに」
「なんで」
「慣れてるから」
「なにに」
「セックス」
 暁登は布団に押し付けた顔を上げない。その後頭部に樹生は手を伸ばして触れる。
「そりゃまあ、そうだよ。おれはきみより八年先に生きてるからね」
「……そうだけど」
「八年ってすごい差だよ。おれが二十歳のころ、きみはまだ小学生とかだろ? もう少し早くこうなってたら、淫行で捕まってるよ、おれは」
「……」
 うつぶせた暁登の腰を樹生は掴む。暁登は特に抵抗しなかったが、だからと言って応じる気もないようだった。されるがままになっている体の、臀部の上部のわずかな窪みに樹生は自身の猛った雄を押し付けた。
 さすがに暁登はそれに驚いたのか、体に力が入った。
「――塩谷くん」
「……」
「おれは、したい」
 樹生は腰を揺らしてそれを暁登の肌の上で擦った。
「やめたくない」
 性器を少しずつ下へとずらす。暁登の腿と腿の隙間へそれを滑り込ませると、暁登の性器に当たった。そこもちゃんと硬かった。
 暁登の腰を持ちあげ、膝で立たせ尻だけ高くさせる。腿の間に差し込んだ性器をゆっくり前後させると、暁登も吐息を荒くさせた。


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プロフィール
HN:
粟津原栗子
性別:
非公開
自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。

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