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成人女性を対象とした自作小説を置いています。
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「力抜いてろ」
「え、――あ、……や、……」
 一気に身体をずらしてそこに唇をつけた。せんせいっ、と慈朗が口にする。嫌がるようで甘い響きが鼓膜にせつなく、理の下半身にも血をみなぎらせる。それでも大事に、大切に、と言い聞かせ、そこを熱心に舐めた。舌でつつき、こじ入れ、性器も指で刺激して、先端からあふれる体液を足してまた舐める。
 シーツにしがみついて慈朗は必死で羞恥に耐えている。次第に指を入れられるようになった。中指一本、なめらかに受け入れる。背中を舐めつつ抜き差しして、ひろげて、指を増やす。また唾液を足して指を動かす。この辺り、と目論見つけて内壁の一点を押してやると、慈朗の身体が素直に跳ねた。途端、萎えかけていた性器が力を戻して立ちあがる。
 そこを何度か集中してこすった。身体の反応に追いついていないのか、慈朗自身は声をこらえて目を固く瞑っている。だが身体は明らかに発熱しているし、理の指もスムーズに受け入れるようになった。理は慈朗の身体をまたひっくり返す。後ろからの方が負担がないというのは分かっていても、正面から抱きたかった。
 ごろりと仰向けになった慈朗は、は、は、とすでに呼吸が荒い。性器をぴんと立たせ、胸の先も尖らせて脱力しているさまは凶悪にそそるものだった。「せんせい」と涙目で訴える。理は慈朗の膝を立たせ、あいだに身体を割り入れた。
 慈朗の手を取る。スウェットと下着をずらして剥きだした性器を慈朗に触らせると、慈朗は熱いものでも触ったかのようにびくりと手を引っ込ませた。それでも手を引っ張って触らせる。
「……あっつい」と自分の身体のことか、理の身体のことか、とにかく慈朗はそう感想を述べた。
「これ、入れるの?」
「ああ」
 不安そうな顔を見せたとして、それでも「大丈夫だ」とかなんとか言い含めて、自身の欲を追求するんだろうなというのは考えなくても分かることだった。だったとしても、慈朗のことを大事に扱いたい。壊すのか、あやすのか。心中で揺れる理に、だが慈朗はへらりと笑った。嬉しそうに笑みを見せたのだ。理からもたらされるのはすべて快感で、怖いことも痛いこともない、と理を信じ切っている。
 その全幅の信頼に、理はほっと息を吐いた。自分は大丈夫だ。慈朗からの信頼を手に、絶対にこの男を裏切らず、大切にする。そうやって人を愛する。
 性器を触らせていた手は繋いで、慈朗の最奥に先端をぴたりとつけた。理の性器もすでにぬめっている。互いの体液でぬめるそこを何度か性器で舐めるように往復して、先端をそっと慈朗に潜り込ませる。
 ん、と慈朗から声が漏れた。それでも力がこもり、性器が押し戻される。つないだ手をまた握りしめて、理は上体を倒して慈朗にのしかかる。「慈朗」と耳元で囁くように名前を呼んだ。
「力抜いて、……入れさせてくれ。もうおれも、さすがに切羽詰まってる」
「……いま、名前」
「ん?」
「おれの名前、呼んだ」
「いつも呼んでるだろ」
「いつもは苗字だから、……下の名前知ってるのかな? って、思ってた」
「おまえだっていつも『先生』だろ。おれの名前知ってるのか?」
 情事の合間にぼそぼそと交わす会話だから、ふたりとも声は興奮で変に上擦ったり、低すぎたりしている。けれど大事な確認だった。
「あや」と慈朗が舌っ足らずに呼んだときは、さすがに背筋に危ういものが走った。
「理、だよ。ちゃんと知ってる」
「偉いな」
「ずっと呼んでみたかった」
「じゃあ呼んでくれ」
「理も呼んでね」
「ああ」
 目を合わせて、キスをした。何度でもするし、何度だってする。キスをしながら腰を揺すって、性器を入り口で遊ばせる。慈朗の足はようやく加減を覚えて、理の腰に巻き付いて来た。
 つながる態勢がちゃんと整えば、スムーズに入った。狭くて熱くて、ひどく心地がよかった。一瞬、目の前に星が飛ぶぐらいの快楽で、こうするのを待って自分の三十何年間はひとりだったのか、と納得した。
 慈朗を見れば、目を瞑って口で呼吸をしていた。痩せすぎの胸が上下している。たわむれに胸の先の粒を引っ掻くと中がますます締まった。食われそうだな、と思う。理が慈朗をむさぼっているようで、実は慈朗も理をちゃんと捕食しにかかっている。
 おれにも食わせられるとこがあるんだったら、いい。
 しばらくはむやみに掻きまわすのもやめて、あちこちを舐めたり触ったりした。時折腰を小刻みに動かした。慈朗がキスをせがむので、キスが好きか、といたずらめかして訊いてやる。慈朗は素直に頷いた。「だって先生のキス、気持ちいい」
「『先生』、な」
「……癖で、」
「仕方ない。ずっと『先生』と『雨森』だったから……」
 言いながらキスをする。キスをしながら腰をなまめかしく揺らす。自分が気持ちよくなるように動き、慈朗もそれに応えるように体位を探っている。次第に中が緩み、理は唇を離した。慈朗の頭の横に手を突き、本格的に注挿をはじめる。
「ふ、ん……んぁ」
 慈朗ももう、声を我慢することはしなかった。甘い声が漏れはじめる。性器に手をやると固く、熱くて、安心した。手でそこを刺激しながら理は腰を突き入れた。
「あ、あ……ん、」
 いったん性器を引き抜いて、理をしゃぶっていた口を舐める。唾液を足すように穴の中に舌を入れ、性器を扱く。そしてまた入れた。今度は容赦なく奥まで突き込んだ。
「ん、んん、……あっ、」
 慈朗が抱きしめろと腕を伸ばすので、応えて思いきり痩身を抱いた。キスをして喉を舐めて汗を浮かせて雫が流れる。体液という体液を交わらせて、真剣に快感だけを追い求めている。心地よく、腹の奥がずきずきといつまでも痛んだ。放出が近い。慈朗もいつの間にか自身の性器に理の手をかぶせ、擦っている。
 絶頂は、慈朗を片腕で思いきり抱きしめて迎えた。遠慮なく慈朗の中に放つ。信じがたい快楽だった。慈朗の性器にまわしていた手も盛んに擦って、慈朗を二度目の頂まで上げる。
 痙攣が収まっても、ぬかるんだそこから抜け出るのが嫌だった。呼吸が荒く、キスが出来ない。慈朗の上にすっかり脱力していると、慈朗の腕が伸び、理の髪に触れた。
 理の頭や背中を、ぽんぽん、とあやすように軽く叩く。
「ほんとうだ」と理の下で慈朗は呟いた。
「痛くなかった。気持ちよかった」
 髪を引っ張るように、くしゃりと握られる。そういえばこれはいつも眠る前に自分が慈朗にしている動作だと気付いた。



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粟津原栗子
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自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。

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