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成人女性を対象とした自作小説を置いています。
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 目頭と鼻すじのあいだ、頬、耳、と唇を下ろしていく。もう止められないし、止まる気もなかった。それまで我慢していたわけでもないが、疲れて弱っているやつ相手にあからさまな発情を示すのも引けて、慈朗と共寝する夜でも気付かないふりをしていた。沸きあがる水をせき止めていればいつか決壊して流れる。それが今夜、理の身に起こっている。慈朗の考えや想いまで無視して突っ走ってしまいそうで怖くなるような、凶暴な欲がどんどんあふれる。
 唇と唇が触れあう直前、吐息まで混ざりあっているのに、理はかろうじて自分をとどめた。
「嫌なら離れろ」
「……」
「もうおれは、無理だ。止まる気もない。いま離れなかったらおまえがどんなにやめろと言っても、やめない。めちゃくちゃになるよ、おまえ」
「……先生って、その、……セックスしたことあるんですよね」
「あ? そうだな」
「おれは、ええと、……したことが、なくて」
「別に恥ずかしいことじゃない。それに、しないという選択をして生涯を終える人もいる」
「でもおれは、先生としてみたい」
「そうか」正直な言い分に微苦笑する。
「先生には触りたいし、……先生がどんなふうに触るのか、知りたい」
「うん」
「痛いかな」
「痛くはしない。趣味じゃないんだ」
「キス、したいです……前にしてくれたみたいなやつ」
「――うん」
 ようやく唇同士を合わせる。慈朗はかたく唇を結んでいたが、「くち、あけろ」と言うと素直に口を開けた。そこに齧りついて、舌を入れる。どうしていいのか分からないでいる慈朗の腕を自分の首の後ろへ巻き付けさせ、縮こまっている舌を舌で引きずり出して、絡める。やがて水音がするキスになると、慈朗は呼吸のリズムが分からずに、苦しそうに喘いだ。
 唇を離し、至近距離で見つめ合い、また目蓋に唇を押し付けて、今度は耳を舐める。身体が熱く、理は上体を起こして布団を剥いだ。着ていたTシャツも裾に指を引っ掻けて脱ぐ。再び慈朗の上に重なると、慈朗は下腹の辺りを押さえていた。
「痛いとこでもあるのか?」
「痛いってか、……おれなんかもう、変で、」
「ああ、」
 慈朗の手の先は膨らんで形を変えていた。そこを衣類の上から理も探る。形に沿って何度か手を往復させるとそこはあっさりと勃起した。慈朗のシャツの裾から手を入れると、慈朗の身体もしっかりと熱かった。
 顎に齧りつき、舐めて、首筋を辿りながら、手は慈朗の身体をまさぐった。慈朗の身体はどこもかしこも痩せて骨が浮いていて、そのことにとてつもなく胸をしぼられ、愛さずにはいられなかった。脳がそうしろと指令を出しているはずなのに、舌と手は独立した別々の生き物になったかのような貪欲さだった。慈朗のシャツをずり上げて胸を晒し、硬くなり始めた粒を口に含む。舌で弄ると慈朗は呼吸を荒くした。せんせい、と慈朗が呼ぶ。せんせい、せんせい、と掠れた声はどんどん上擦っていき、へその辺りまで舌を下ろすと、「あ」と吐息ひとつこぼして慈朗は身体を痙攣させた。
 荒い呼吸で様子がそれまでと違う。脱力した身体を探って分かった。慈朗は下着の中で吐精していた。
「……せんせい、……」
「下、脱がす。腰浮かせろ」
「あ、だめ、触るな、……汚い、」
「汚くないだろ」
「……恥ずかしい」
「――そういう、汚いってとこも恥ずかしいってとこも見せ合うのがセックスなんだよ。おれとしたいんなら観念しろ」
 構わずスウェットと下着を一緒に下ろす。自らの精液で濡れる性器はピンク色をしていて、再びかたく形を変えつつあった。直接触れるとびくりと脈打つ。下腹を舐めながら手で刺激していると、性器はすらりと立ちあがった。
 若いからか、興奮に対する回復が早い。でもそれは口にしなかった。言えば恥ずかしがって触らせてもらえなくなさそうで、それは理の意に反する。
 下へ下へと身体を辿り、性器の脇から太腿へ、内側を舐め下ろす。足をひらかせると最初は抵抗したが、閉じようとする足の間に身体を割り込ませると観念して、てのひらで顔を覆い、声を殺して耐えていた。漏らすまいとする声も、理が内腿を舐めれば震えて漏れる。切羽詰まった声がたまらなかった。
 手でぐちゃぐちゃと性器を弄りながら、慈朗の身体をひっくり返した。Tシャツをたくし上げ、肩甲骨のあいだに鼻を寄せる。ぽこぽこと浮いた脊椎をひとつずつ舐めては吸った。慈朗は身体を折り曲げ、顔を覆って小刻みに震えていた。
 尻まで下りてくると、さすがに身を捩ってこちらを見た。抵抗があるようだった。
「嫌か」
「……」
「大丈夫だから」
 それは大人によくある言い分で、なにを大丈夫だと言ってるんだろうな、と呆れつつ、それでも慈朗とこうしているいまをやめる気にはならない。安心させるように唇に顔を寄せると、慈朗の方からキスをしてきた。唇をついばみながら足をひらかせ、尻たぶを割る。窄まった入り口に指を這わせてそこをしばらく撫でた。時折押すと、きゅ、と力が入って理を拒む。指の第一関節まで入れば上等で、そこはなかなか理を受け入れなかった。


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プロフィール
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粟津原栗子
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非公開
自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。

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