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「おれたちってまだ続いてる?」
「この距離でそんなこというきみの神経が知れない」
「じゃあ、おれはちゃんと、八束を抱きたい。いま、抱きたい。うやむやにする、とかの意味じゃなくて」
「……分かるよ、」
八束は軽く、労うようにぽんぽんと背を叩いた。
「うん。八束とセックスしたい。……おれは口下手で、肝心なことを言葉にできない。もうあんまり喋らせるな」
「この距離でそんなこというきみの神経が知れない」
「じゃあ、おれはちゃんと、八束を抱きたい。いま、抱きたい。うやむやにする、とかの意味じゃなくて」
「……分かるよ、」
八束は軽く、労うようにぽんぽんと背を叩いた。
「うん。八束とセックスしたい。……おれは口下手で、肝心なことを言葉にできない。もうあんまり喋らせるな」
「ん……」
八束の口を塞ぐのは簡単だった。向こうも求めて口をひらいてきたからだ。私の頬から頭をまさぐる八束の手が気持ちいい。舌を目一杯伸ばし、八束の口腔を舐めまわした。そこに甘い蜜でも仕込んであるのを探るかのように。もっと舌が長ければいいのにと歯痒くなりながら。
下唇を吸い、首筋を舐め降りていく。襟元をくつろげて鎖骨をあらわにさせると、八束の夏の肌にはうっすらと傷跡が滲んでいた。
また変なところで遊んでいたのかと胃が煮える。だがよく見れば新しい傷でもなさそうだった。そこを吸うと八束は吐息を漏らし、笑った。
「昔遊んで作った傷だ。背中も残ってるのかな、……前にきみが丁寧に処置してくれたところ」
「見るよ」
「ん……信じろよ、もう誰とも遊んでない。新しい傷はない。処置してくれる人もいなかったからな」
「それは、怒ってる?」
「いや、……今日を待ってた」
「……」
「ずっと待ってたんだ。傷、どうなってるのか見てくれよ」
「見るよ」
「ん……信じろよ、もう誰とも遊んでない。新しい傷はない。処置してくれる人もいなかったからな」
「それは、怒ってる?」
「いや、……今日を待ってた」
「……」
「ずっと待ってたんだ。傷、どうなってるのか見てくれよ」
シャツをたくしあげ、背中をあらわにする。古い傷がうっすらとあったが、白い肌だからなんとなくわかるだけで、時間経過で消える傷だとわかる。唇をつけ、強く吸引する。傷跡をねぶりながら八束を下にした。畳の上になだれて、八束より先に私は自らのシャツを引っ張って脱いだ。八束のシャツのボタンをぷちぷちと外していると、八束の腹筋が震え出す。泣いているのか笑っているのか判断つかず、顔を覗き込んだ。
「やっぱり信じられない」と八束は言った。
「あの自己像の彫刻の通りだ。すごい身体をしてるんだな、きみは」
「すごかないよ。職業柄ちょっと腕がたくましいぐらいだ」
「本当に鷹島静穏とやろうとしてるんだと思ったら信じられなくて、でも現実きみはなんか僕の上にいるわけだし、……それだけで僕はいきそうだ」
「それはちょっと見たいな」
笑うと八束も笑い、「嘘、触って」と私の手を中途半端なシャツの下に潜り込ませる。触れた素肌は熱く汗ばみ、さらに速い鼓動が伝わった。
ようやく脱がせて薄い腹に唇をつける。臍をねぶると八束は声をあげて身悶えた。こんな感じ方をしてよくひとりで身体を治めてこられたものだと思う。ベルトを外し、チノパンのボタンと合わせをひらいて、下着に手を入れる。びくびくと跳ねる熱塊があり、八束の言うことは間違っていなかったのだと知る。
それを数回扱き、口に含んだ。「あっ」と八束のつま先が反る。
男のものを咥えた経験はなかったが、同じ性を持つと相手の感じるところも分かるもんだなと感心した。自分でするときに好んで擦る場所を舌先で包むと、それは硬度を増し、八束の身体も引き攣った。
「あ、んっ……くっ」
唾液を足してじゅぶじゅぶと水音を立てながら性器を長く咥え込む。八束の手が私の髪を引っ張った。少し痛かったので顔を上げ、濡れたそこを指で作った輪っかで数度扱いた。
「んっ……」
「おれのも一緒にしていい?」
「……いい、……僕もセノさんの触りたい」
起きあがり、八束は私の肌に軽く爪を立てる。私は後ろ手をついて畳にあぐらをかいた。ズボンのホックは八束が外した。
八束と同じように熱く反応している私の性器を取り出し、八束もまたためらいなく口に含んだ。
「――っ」
正直、八束は上手かった。そこは経験値の差なのかもしれない。焦らすように幹を辿り、先端をざりざりと舐める。猫が脚先を舐めている、あれを連想した。液を滲ませるささやかな窪みにまで舌こじ入れるようにされて、息がつまる。こんなことは過去誰からもされたことがなかった。
それが甘美な食べ物であるかのように、美味しそうに夢中でしゃぶる。幹の下のふくらみまで丁寧になぶられて、たまらず八束の髪を引っ張り返した。
「……なんだよ、」
「一緒にしたいから。そのままだと出る」
「出せばいい。僕は構わない」
「いや、まあ。……次な」
八束の腰を引き寄せ、足を絡めて座る。ふたり分をまとめて握り、一緒に擦った。
「……っ、懐かしい、前も、こう、だった」
「……最初のとき、」それきり、最後だったとき。
「次の日、の、朝っ、……付きあおうって、ひどい顔で、言われたんだ……もう、出る」
「……おれもいきそ」
八束の背を抱き、八束は私の肩に頭を埋めた。お互いに沸騰のことしか考えられなくなる。手指のスピードを早めると八束は呻いた。手の中で熱いものがはしけ、それは私もほぼ同時で、たっぷりと吐精した。
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粟津原栗子
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自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。
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暑いですね。番外編短編、ちょこっと更新しています。
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お久しぶりです。短編長編更新。
短編「さきごろのはる」
短編「月の椅子」
短編「みんな嬉しいお菓子の日」
長編「ファンタスティック・ブロウ」
短編「冬の日、林檎真っ赤に熟れて」
2021*08*16-08*19
甘いお菓子のある短編「最善最愛チョコレート」更新。
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