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成人女性を対象とした自作小説を置いています。
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「ん……」
 慣れている、と思った。誰かに触れることに慣れている。それは当たり前の話で、三倉には妻がいたのだし、過去何人かの女性との交際経験があることも聞いている。触れ慣れている人なのに、この人の触れ方を自分はあまり知らなかったといまさらになって思い知った。ついに三倉の唇が遠海の胸の先を啄んだとき、技巧の豊かさに、吐息を漏らさずにはいられなかった。
 この器官で男も感じる。三倉にするときは性器や三倉が許してくれる最奥ばかり刺激があればいいのだと思い込んでいた。下手だな、と自分を顧みずにはいられない愛撫を示される。どこだって触れられれば気持ちがよく、ざわざわするなら、そこは性感帯だ。もっと三倉のあちこちを触りたくなり、けれど腕にシャツが絡んでいるので、大人しく三倉の講習を受ける。
 張り詰めた胸の先を弄られたまま、三倉の舌は下へ落ちる。臍の窪みを穿つように舐められ声が出た。腹筋が硬くなる。
「……鴇田さん、ここ感じるね」
 腹の上で熱っぽい吐息が落ちた。
「変な感じがします」
「それを感じるって言うんだよ」
 嬉しそうに笑い、三倉は臍に唾液がたっぷりと溜まるまで舐めた。臍から下への刺激は辛すぎて背をたわめるほどだった。三倉はそれを許さない。わざと下腹を撫で、舐めまわす。下着の中に潜り込んだ指で自分でも驚くほど情けなく息が漏れた。
「すごい、鴇田さんのぐしゃぐしゃ」
「……あんま言わないでください」
「なんで? 恥ずかしいことじゃないよ。かわいい」
 ハーフパンツをずらし、露出させた性器を手で包んで、三倉は舐めた。口淫はもう何度もしているしされているからいまさら恥ずかしがることもないけれど、自分だけが一方的に追い詰められる快楽には慣れなかった。脈打つ幹を舌が伝い、硬い丸みまで口に含まれて、また口腔全体に飲み込まれる。あんまりにも喉奥まで届くので、そこまでさせているのがちょっと怖い。快感に悶えて瞑っていた目を開けると、三倉は遠海の性器をすっぽりとしゃぶりつつ、自身の背後に指を這わせ、そこで自慰でもするかのように指を動かしていた。
 あんまりの光景にぐらぐらする。くらくらか。むらむら。なんでもいい、とにかく欲情している。あのびっちりと遠海を包み込んでくれる熱い中に入りたい。口の中も気持ちがいいけれど、三倉が自分で慰めているあの場所への恋しさが募る。
「っ、三倉さん……入りたい……」
「まだ待って……」
 鴇田のものを口に咥えながら、ひたすら自身を広げて受け入れる準備をしている。たまらなくなり、遠海は腹筋を最大限に使って上体を起こした。三倉が顔を上げる。
「腕、もういい?」
「……だめ」
「じゃあそこ舐めるからこっちに見せて」
「……」
「濡らして広げるから」
 可能な限りで三倉の耳に顔を寄せると、三倉はようやく頷く。性器から口を離し、ハーフパンツを脱ぎ、こちらへ向けて足を広げた。指を添えてもそこはまだ狭く、でも欲するようにひくついている。
 腕なしでそこへ顔を近づけるのは難しかった。バランスを崩して肩から崩れる。じりじりとにじり寄って三倉の指を舐める。それから指で広げている入り口を舌で辿ると、三倉が息を詰めるのが分かった。
 出来るだけ唾液を含ませるように、唇と舌を使ってじゅ、じゅ、と広げる。舌を進ませ、ときにこじ入れる。不自由で力加減が出来ないのがもどかしい。舌先で突くと「あっ」と三倉が声をあげた。膝がびくりと震え、遠海の身体を反射的に挟む。
「指、もっと増やして」
 求めると、おずおずと指が追加された。それでも自身の指には限度があり、浅い場所を含むぐらいが精一杯だった。三倉の指を舐めまわし、こじ入れて、広げさせる。ふと上を見ると三倉は片方の手で自身の胸を弄っており、そんなものを見てしまったらもう興奮しない方が無理だった。
「入れたい。触りたい。触らせて、三倉さん」
「んん……」
 脳髄への快楽くだんの話を思い出した。だからシャツをようやく解いて、三倉がいま一番感じている場所へ指を這わせ、唾液であさましく濡れたそこを容赦なくかき混ぜた。
「あっ、あっ、んっ……まだ、だめだって、」
「ここに」
 三倉の肩を抱き、耳元に唇を押し付ける。
「入れたい。入れたらおれもあんたも絶対に気持ちがいい……」
 囁くように言う。脳髄を刺激しますようにと願いながら。三倉はぐずぐずで、でも頑なだった。かぶりを振り、「おれが触る」と聞かない。
「……でも、三倉さんが欲しい。どうしても」
「じゃあいいって言うまで鴇田さんは動かないで……」
 のろのろと三倉は起き上がり、再び遠海の身体を倒した。上に乗りかかる。遠海が触れなくても三倉の性器はピンと硬く漲っていて、下走りでぬらりと光っている。あまりの光景に喉が鳴る。
 鴇田の性器を奥に当てがい、ふちに潜り込ませ、ゆっくりと腰を下ろした。
「あっ、ああっ、」
「三倉さん、まだ半分だよ」
「分かってる、……突っ張って、」
 遠海の腹に手をついて、懸命に腰を落とそうとしている。あんまりのじれったさに遠海は堪えきれなくなって腰を掴み、一気に自身を突き入れた。
「ああああああ……――っ」
「――っ、」
 いつもより狭くて、いつもより熱かった。火に直接包まれているみたいで、でもその暑っ苦しい狭い中がひたすらに気持ちがいい。数度激しく突き上げると、三倉は大きく身体を震わせて盛大に射精した。堪えていたものが数度に渡って放出され、頭をのけぞらせて解放の愉悦に痙攣する。
 奥歯を噛んでやり過ごすも、過ぎた快楽だった。しぶくように三倉の中に放つ。しばらくの硬直ののちにぐったりと汗ばんだ身体をなんとか抱きとめ、横たわった。三倉は心配になるぐらいに忙しく息をしていた。
「大丈夫?」
「……動くなって、言ったのに、」
 汗をびっしりと浮かせて三倉は文句を告げる。こめかみに浮いた汗を舐め、ようやく触れられる喜びに貫かれながら「ごめん」と心にもなく謝罪した。
「だって無理だよ。あんたはこんなになっちゃってるし、僕もこんなになっちゃったし」
「……鴇田さん、気持ちいい? おれめちゃくちゃ触ったけど嫌じゃない?」
「嫌じゃない。……触っていい? 動きたい」
「うん……キスしてよ」
 微笑み、三倉の唇の横に吸い付いてから、ようやく唇同士を重ねる。じゅ、じゅ、と水音を響かせる。口の中を舌で思う存分に掻き回すと、三倉は喘ぎ、息をつぎ、また欲しがった。
「……いま、夏休みだから」
「ん……?」
 キスの合間に囁く。
「お隣のご夫婦は帰省したっぽい」
「……反対側のご家族は?」
「最近見かけない。旅行に出かけたのかも」
「両隣いないの、」
「うん。だからいっぱい声出していいよ……」
 そう言うなり三倉の中に納めていたものを思い切り奥まで突き入れた。三倉が「ああっ」と声を上げる。
「ようやく触れる」
「んっ、んんっ、ふ、」
「声出して。あんたの声を聞きたい」
「あっ、ああっ、やっ……鴇田さんっ……!」
 懇願めいた悲鳴も、遠海の欲をただ押し上げるに過ぎない。もっと気持ちよくなって、もっとおかしくなればいい。そう思いながら三倉の足を肩に担ぎ上げ、深く差し込む。太腿を折り畳まれて三倉は苦しそうだったが、やめてとは言わなかった。


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プロフィール
HN:
粟津原栗子
性別:
非公開
自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。

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