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「おれもあんたの所に行くから」
「うん」
「早先生のとこにも行こうよ」
「それはな」樹生は苦笑した。
「行かないと。一人を漫喫してるみたいだけど、やっぱり、親だから。年も年だし」
「あの家の手入れ、あんたもやれよ」
「――そうだな、」
そう言って、樹生は暁登の腕を掴み、その肩に額を乗せた。目頭が熱っぽい。不意に膝の力が抜け、かくん、と樹生は暁登を引っつかんだまま床に崩れた。
引きずられた暁登が声を立てる。
「――どうしたんだよ、」
「いやなんか、……力抜けた」
緊張していたのかもしれない、と言うと暁登に笑われた。その笑みがいい。
立つ? と聞かれて、樹生は首を横に振った。立たないのか? と言われて、うん、と頷く。
「眠くなってきた」
「あー、ベッドに布団敷くか。あんたは寝ろ」
「暁登も寝ようよ」
「片付けがまだ終わらない」
「寝ようよ」
そう言うと、暁登はふん、と鼻から息を漏らして立ち上がった。部屋の壁際に降ろして寄せておいた布団をベッドに運び始める。
「ほら、寝るならこっちで寝ろ」
「あきも」
「んん、」
「寝よう」
しつこく寝よう寝ようと言うと、暁登は面倒臭そうな顔をしたが「まあ、いいか」と樹生の腕を引っ張る。敷いたばかりの布団に二人で寝転んだ。狭かったが、久しぶりに触れる体温と重さに安心した。
「少しだけ」
「ん、……」
体を動かすと顎と顎がぶつかった。至近距離で瞳が合わせられる。樹生は暁登の眼鏡を外した。
「おれの顔、見える?」
「見えるよ、これだけ近ければ」
そのまま抱き合って束の間眠りについた。
→ 85
← 83
「うん」
「早先生のとこにも行こうよ」
「それはな」樹生は苦笑した。
「行かないと。一人を漫喫してるみたいだけど、やっぱり、親だから。年も年だし」
「あの家の手入れ、あんたもやれよ」
「――そうだな、」
そう言って、樹生は暁登の腕を掴み、その肩に額を乗せた。目頭が熱っぽい。不意に膝の力が抜け、かくん、と樹生は暁登を引っつかんだまま床に崩れた。
引きずられた暁登が声を立てる。
「――どうしたんだよ、」
「いやなんか、……力抜けた」
緊張していたのかもしれない、と言うと暁登に笑われた。その笑みがいい。
立つ? と聞かれて、樹生は首を横に振った。立たないのか? と言われて、うん、と頷く。
「眠くなってきた」
「あー、ベッドに布団敷くか。あんたは寝ろ」
「暁登も寝ようよ」
「片付けがまだ終わらない」
「寝ようよ」
そう言うと、暁登はふん、と鼻から息を漏らして立ち上がった。部屋の壁際に降ろして寄せておいた布団をベッドに運び始める。
「ほら、寝るならこっちで寝ろ」
「あきも」
「んん、」
「寝よう」
しつこく寝よう寝ようと言うと、暁登は面倒臭そうな顔をしたが「まあ、いいか」と樹生の腕を引っ張る。敷いたばかりの布団に二人で寝転んだ。狭かったが、久しぶりに触れる体温と重さに安心した。
「少しだけ」
「ん、……」
体を動かすと顎と顎がぶつかった。至近距離で瞳が合わせられる。樹生は暁登の眼鏡を外した。
「おれの顔、見える?」
「見えるよ、これだけ近ければ」
そのまま抱き合って束の間眠りについた。
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「そこのラック、組み立てて」と暁登が言った。
「組み立てたらどこに置くの、」
「机の横かな。そこには本を入れるから」
「こっちの衣類は?」
「押し入れに衣装ケース置いたから、そこに仕舞う」
樹生はラックを、暁登は衣類を仕舞いこみ始める。収納予定の本が納められた段ボール箱の中にミヒャエル・エンデの本があるのを見て、樹生はついに覚悟して口を開いた。
「早先生の家に引き取られたのは、八歳の時」
「……小学二年生?」
「かな。父親がいなくて、母親も交通事故で死んだ。茉莉は」
「まつり?」
「ああ、姉貴の名前、……そっか、そんなことも言ってなかったんだっけ、おれは」
自分の情けなさに呆れて笑う。暁登は背を向けて衣類を畳みながら「そうだよ」と冷たく言った。
「うん、茉莉、っていうんだ。おれの姉ちゃん。十歳離れててさ。母親が死んだとき、茉莉は高校三年生で、進路が決まってた。それは変更しないって決めて、だけどおれを養うことは出来ないってなって、早先生のところに引き取られた。十八歳で家を出るまであの家にいたから、まる十年いたんだな」
ラックは簡単に組み上がった。それを机の横に動かして、段ボール箱から本を取り出す。
「それが不登校の理由?」と聞かれたので、「半分マルで半分バツ」答えた。
「あの家で暮らし始めて一年ぐらい経った頃、アトピーが酷くなった。それをクラスメイトに笑われて。こんなくだんない奴らと一緒にいるなら嫌だな、と思ったから行かなくなった。クラス内の空気のどっかに、岩永は親を亡くしたかわいそうな子、っていうのもあって、それで気を遣うのも嫌だった。授業参観とかさ、懇談会とか、運動会に音楽会、遠足の時の弁当作りとか、親の出番ってたくさんあるだろ。その度に、だったからさ」
仲の良い友人がいないわけではなかったが、それだけでは学校へ行く理由にはならなかった。
「勉強は基本ひとりでテキスト進めて、わかんないところは早先生と惣先生に教えてもらえた。教師と教授の家の子になれたんだから、すげえラッキーだったよな。
高校へ行かない選択は、自分でした。惣先生は進学を勧めたけど、おれは早くあの家を出た方がいい、って思ってたから。ただ、中卒で働けるところってほんと少なくてさ。いまの会社に決まって、収入も安定してきて、家を出られたのが十八歳の時。せいせいしたけど、淋しかった。
早く自分の家族が欲しいって思って、二十歳過ぎぐらいで水尾と知り合った。知り合ったっていうか、元から知ってたのが恋愛に発展した、って言うのかな。水尾とは、母親が起こした交通事故の時に出会ってた。おれの母親の運転してた車と、水尾の母親が運転してた車がぶつかって起きた事故だったから。うちの母親は死んだけど、水尾の母親は生きてる。でも障害が残ってさ。半身まひ」
「樹生、」と暁登が僅かに咎めるような口調で呼んだが、樹生は苦笑して首を横に振った。
「自分の嫁さん半身まひにさせられて、恨みをぶつけたくても加害者は死んじまった。そんな女の子どもと自分の娘が結婚するなんてさ、そんなの許せる訳がないよな。水尾の父親――緒方さん、に猛反対喰らった。おれも相当辛かったけど水尾の方が追い詰められてた。それでこの婚約はなかったことにしようっておれから言った。あの時の水尾の、悔しくて悲しいって顔は忘れらんないな。強烈に覚えてるけど、おれはどっかで安心もした。これで苦しいのが終わると思ったから。逃げたんだ」
「樹生、」
「行方知れずの父親のことを、茉莉はずっと許せなくてね。そもそも母親を死なせたのはあいつのせいだって思い込んで、妄執に駆られて、彼女は二十何年もそれに囚われることになった。復讐する人の執念ってほんとに凄いのな。生活の隙をついて父親探して、探して、探して。ようやく見つけたと思ったらもうとっくに死んでたってオチでさ。しかも遺体の大部分は見つかってないんだって。山の遭難死で、ただ、腕が見つかったって」
「樹生」
「そういう恨みとか、怨念、執着心、色んな感情の渦巻いている人が周りにたくさんいる環境だったのに、おれは早先生と惣先生に守られてぬくぬく育って。――だからもう、本当に過去なんだよ。全部が過去。おれにとっては大したことじゃなくて、気に病むことでもないし、話すことでもなかった」
いつの間にか暁登は静かに泣いていた。瞳から零した涙は光に透過している。なにか酷く美しく眩しいものでも見たかのように、樹生は目を細める。
「大事な人にも、話すことじゃなかったんだ。例え相手が知りたがってたとしても、おれにはどうでもいいことになってたから。秘密だとか、そんな大層なものじゃなかった」
「樹生」
「黙ってて、ごめん。でも、そう……たいしたことじゃないんだ」
暁登の体が自然に近付いたので、樹生はその頬に今度こそ手を伸ばす。涙を親指の腹で拭ったのが合図で、暁登の体温が衣類の上から寄せられた。細い体をきつく抱きしめる。
「……――あんたのことでぜってー泣くもんか、って思ってた」
とくぐもった声が肩口に浸みた。樹生はようやく触れた体温にますます力を込める。
「早先生の家で暮らしたら、楽しいだろうな」
「……楽しかったよ」
「だからあんたはこんなにさっぱりしてるんだな」
「そうかもしれない。マイナス面の感情を早先生たちは育てなかったから」
そう、樹生の中には茉莉のような怨念も、緒方のような憎しみも、水尾のような悲しみも、晩のような執着もなにもない。こんな生い立ちでいて、身体にも精神に曇りがないことがある。それが幸いだったのか不幸だったのかはわからない。ただいまは、それでいいと思っている。
大切なものをこうして抱けているのだから、いいのだと思う。
「――おれも引っ越さなきゃな」と言うと、腕の中で暁登が身じろいだ。
「あの部屋でひとりは広すぎるからな。どうせ暁登は、ここで暮らしてくんだろ、」
「うん」
「決めたんだよな」
「そう」
暁登は樹生の胸に手を置き、体と体の距離を置いた。
「あんたの夢が家庭を築くことだったら、おれの夢は自立することだった。夢というか、目標か」
「うん」
「だからいまはそれをしてみたい」
「その先は?」
「考えてない。まだ、いまは」
暁登は少しだけ笑った。その小さな微笑みを優しく感じた。柔らかな風が吹いたように感じたのだ。
実際、吹いたのかもしれない。
「ここに遊びに来てもいいよな」と言うと、暁登は頷いた。
→ 84
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「組み立てたらどこに置くの、」
「机の横かな。そこには本を入れるから」
「こっちの衣類は?」
「押し入れに衣装ケース置いたから、そこに仕舞う」
樹生はラックを、暁登は衣類を仕舞いこみ始める。収納予定の本が納められた段ボール箱の中にミヒャエル・エンデの本があるのを見て、樹生はついに覚悟して口を開いた。
「早先生の家に引き取られたのは、八歳の時」
「……小学二年生?」
「かな。父親がいなくて、母親も交通事故で死んだ。茉莉は」
「まつり?」
「ああ、姉貴の名前、……そっか、そんなことも言ってなかったんだっけ、おれは」
自分の情けなさに呆れて笑う。暁登は背を向けて衣類を畳みながら「そうだよ」と冷たく言った。
「うん、茉莉、っていうんだ。おれの姉ちゃん。十歳離れててさ。母親が死んだとき、茉莉は高校三年生で、進路が決まってた。それは変更しないって決めて、だけどおれを養うことは出来ないってなって、早先生のところに引き取られた。十八歳で家を出るまであの家にいたから、まる十年いたんだな」
ラックは簡単に組み上がった。それを机の横に動かして、段ボール箱から本を取り出す。
「それが不登校の理由?」と聞かれたので、「半分マルで半分バツ」答えた。
「あの家で暮らし始めて一年ぐらい経った頃、アトピーが酷くなった。それをクラスメイトに笑われて。こんなくだんない奴らと一緒にいるなら嫌だな、と思ったから行かなくなった。クラス内の空気のどっかに、岩永は親を亡くしたかわいそうな子、っていうのもあって、それで気を遣うのも嫌だった。授業参観とかさ、懇談会とか、運動会に音楽会、遠足の時の弁当作りとか、親の出番ってたくさんあるだろ。その度に、だったからさ」
仲の良い友人がいないわけではなかったが、それだけでは学校へ行く理由にはならなかった。
「勉強は基本ひとりでテキスト進めて、わかんないところは早先生と惣先生に教えてもらえた。教師と教授の家の子になれたんだから、すげえラッキーだったよな。
高校へ行かない選択は、自分でした。惣先生は進学を勧めたけど、おれは早くあの家を出た方がいい、って思ってたから。ただ、中卒で働けるところってほんと少なくてさ。いまの会社に決まって、収入も安定してきて、家を出られたのが十八歳の時。せいせいしたけど、淋しかった。
早く自分の家族が欲しいって思って、二十歳過ぎぐらいで水尾と知り合った。知り合ったっていうか、元から知ってたのが恋愛に発展した、って言うのかな。水尾とは、母親が起こした交通事故の時に出会ってた。おれの母親の運転してた車と、水尾の母親が運転してた車がぶつかって起きた事故だったから。うちの母親は死んだけど、水尾の母親は生きてる。でも障害が残ってさ。半身まひ」
「樹生、」と暁登が僅かに咎めるような口調で呼んだが、樹生は苦笑して首を横に振った。
「自分の嫁さん半身まひにさせられて、恨みをぶつけたくても加害者は死んじまった。そんな女の子どもと自分の娘が結婚するなんてさ、そんなの許せる訳がないよな。水尾の父親――緒方さん、に猛反対喰らった。おれも相当辛かったけど水尾の方が追い詰められてた。それでこの婚約はなかったことにしようっておれから言った。あの時の水尾の、悔しくて悲しいって顔は忘れらんないな。強烈に覚えてるけど、おれはどっかで安心もした。これで苦しいのが終わると思ったから。逃げたんだ」
「樹生、」
「行方知れずの父親のことを、茉莉はずっと許せなくてね。そもそも母親を死なせたのはあいつのせいだって思い込んで、妄執に駆られて、彼女は二十何年もそれに囚われることになった。復讐する人の執念ってほんとに凄いのな。生活の隙をついて父親探して、探して、探して。ようやく見つけたと思ったらもうとっくに死んでたってオチでさ。しかも遺体の大部分は見つかってないんだって。山の遭難死で、ただ、腕が見つかったって」
「樹生」
「そういう恨みとか、怨念、執着心、色んな感情の渦巻いている人が周りにたくさんいる環境だったのに、おれは早先生と惣先生に守られてぬくぬく育って。――だからもう、本当に過去なんだよ。全部が過去。おれにとっては大したことじゃなくて、気に病むことでもないし、話すことでもなかった」
いつの間にか暁登は静かに泣いていた。瞳から零した涙は光に透過している。なにか酷く美しく眩しいものでも見たかのように、樹生は目を細める。
「大事な人にも、話すことじゃなかったんだ。例え相手が知りたがってたとしても、おれにはどうでもいいことになってたから。秘密だとか、そんな大層なものじゃなかった」
「樹生」
「黙ってて、ごめん。でも、そう……たいしたことじゃないんだ」
暁登の体が自然に近付いたので、樹生はその頬に今度こそ手を伸ばす。涙を親指の腹で拭ったのが合図で、暁登の体温が衣類の上から寄せられた。細い体をきつく抱きしめる。
「……――あんたのことでぜってー泣くもんか、って思ってた」
とくぐもった声が肩口に浸みた。樹生はようやく触れた体温にますます力を込める。
「早先生の家で暮らしたら、楽しいだろうな」
「……楽しかったよ」
「だからあんたはこんなにさっぱりしてるんだな」
「そうかもしれない。マイナス面の感情を早先生たちは育てなかったから」
そう、樹生の中には茉莉のような怨念も、緒方のような憎しみも、水尾のような悲しみも、晩のような執着もなにもない。こんな生い立ちでいて、身体にも精神に曇りがないことがある。それが幸いだったのか不幸だったのかはわからない。ただいまは、それでいいと思っている。
大切なものをこうして抱けているのだから、いいのだと思う。
「――おれも引っ越さなきゃな」と言うと、腕の中で暁登が身じろいだ。
「あの部屋でひとりは広すぎるからな。どうせ暁登は、ここで暮らしてくんだろ、」
「うん」
「決めたんだよな」
「そう」
暁登は樹生の胸に手を置き、体と体の距離を置いた。
「あんたの夢が家庭を築くことだったら、おれの夢は自立することだった。夢というか、目標か」
「うん」
「だからいまはそれをしてみたい」
「その先は?」
「考えてない。まだ、いまは」
暁登は少しだけ笑った。その小さな微笑みを優しく感じた。柔らかな風が吹いたように感じたのだ。
実際、吹いたのかもしれない。
「ここに遊びに来てもいいよな」と言うと、暁登は頷いた。
→ 84
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車の定員の都合で、暁登の祖母だけは家に送り届けることになった。
暁登が祖母を家に降ろしている間、樹生は暁登の車の中でぼんやりと庭先を眺めていた。この家に畑はないが、花は植えてある。スミレやパンジーといったありふれた花で、樹生には大きな興味もなかったが、家に花があることはきっといいことなんだろうな、と思う。心の豊かさは家に表れる。
暁登が家の鍵を閉めて、再び車に乗り込んでくる。引っ越しの荷物も載せられるだけ荷台に載せた。アパートはどこにあるのかと聞けば、わりと郊外にある地名を告げられた。
「駅から遠いんじゃないの?」
「職場に近いから選んだ。スーパーも医者も近くにあるから、そんなに問題ないと思う。まだ暮らし始めてないからよく分かんないけど」
車は心地よく走り出した。途中、暁登はコンビニに寄った。眠気覚ましの栄養ドリンクと食料と飲料を買い込む。その間に樹生は煙草とライターを買った。あんまりにも急な来訪だったので、煙草を家に置いてきていた。
コンビニの外で煙草を吸ったが、あまりうまいとも思えずにすぐに消した。会計を済ませた暁登が店から出て来たので、一緒に車に乗り込む。
「――で、なんの話が聞けるんだ?」と暁登は運転しながら訊ねてきた。
「いまここで話す?」
「あんたに割いてる時間がない。作業しながら聞くよ」
そんなんでいいのかとも思ったが、その軽さはかえって気楽に感じた。肩の荷が下りたような。
「どうせ今日はいちんち中付き合ってくれるんだろ、」
「――そうだな」
樹生は扉に頬杖をついて、窓の外を見る。あちこちで緑が煌めいているので、早なら喜びそうだな、と思った。
「おれはきみとまたやり直したいと思うから話す」
流れる景色をぼんやり眺めながら樹生は言う。
「なにがなんでも。きみの心がまだおれにあるなら」
「……」
「面倒だよ、もう。なにから話したらいいんだか。……たくさんありすぎて、」
樹生は両の掌で顔を揉んだ。本当に面倒だ。過去のことなど思い返したくもないし、語って聞かせるなんてとんでもなかった。けれどそれをしなければならない。それくらいの努力を、大事な人には怠ってはならない。
面倒、で片付けては、失うばかりだ。
車は街中を抜けてのどかな田畑の広がる地域に進んでいく。家がぽつぽつと建つ。やがてまた湧いたように商店が並ぶ通りに出る。そこの路地をいくつか曲がり、暁登は小さなアパートの庭に車を停めた。
アパートは一階建てで、ふた部屋しかなかった。すぐそこに建っているのが大家の家なのだという。大家が空いた土地にアパートでも建てて家賃収入を得ようか、という物件だろうか。この辺りには私立の大学があり、どちらかと言えば学生向けのワンルームであるようだった。
左右どちらの部屋かと聞けば、左、と答えた。暁登が部屋の鍵を開けている間に樹生は荷台に載った荷物を軒先まで運ぶ。「どうぞ」と促され入った部屋は八畳間で、想像より広かった。骨組みとマットレスだけのベッドと、机と椅子が既に運ばれていた。
「いい部屋だな」
「そう。日がうまく当たるんだ」
と言って暁登は障子戸を開けた。大きな窓のすぐ下には小さな花壇があったが、何も植えられてはいなかった。
「荷物運んじゃおう」
「うん」
樹生が外に回り、扉の際に立った暁登にリズム良く荷物を渡していく。車の中のものを運び終えると、もう一往復して暁登の実家からアパートに荷を運んだ。それで済んだ。冷蔵庫と洗濯機は中古のものを購入予定で、そのうち店に行くという。
窓からは五月の陽光が差し込む。「早先生からなにか花でも野菜でも分けて貰って育てたら」と言ったら、暁登は頷くでもなく笑うでもなく、ただ真っ直ぐな瞳でこちらを見返してきた。どう反応したものか、シンプルに暁登は綺麗だな、と思った。樹生なんかよりずっと強い。
樹生はフッと息を吐いた。
→ 83
← 81
「そういやあんた、子ども好きだよな」と暁登が発言したのは意外だった。
「好きだけど、……知ってたの?」
「いや、公園で遊んでる子どもとか、登下校の子どもとか、嬉しそうに見てるから」
「ああ。だってかわいいじゃん」
「まあな」
暁登は頬杖をやめず、そっぽを向くのもやめなかった。それでも樹生の台詞に耳を傾けてくれている。
「婚約者だった人――水尾、って言うんだけど。水尾との間に子どもが出来たらめちゃめちゃかわいがるだろうなって想像した」
「そう、」
「家族が欲しいとずっと思ってた。きれいじゃなくてもあったかい嫁さんとかわいい子どもと、一軒家で犬か猫でも飼ってさ。そういうのずっと憧れてたんだ」
「過去形にするのは早いんじゃないの、」
相変わらず暁登はこちらを見ない。
「あんたまだそんなの諦める年齢でもないだろ。また恋でもしてさ。新しい人見つけて、結婚して、ガキ作ったら、」
「……」
「おれ、男だし。ガキ作るとかぜってー無理だし。あったかい嫁さんとかなれないし。そういう、……できないことばっかりだから。そもそももうおれとあんたは、終わってて、おれはあんたに愛想尽かしたりしてて……だから、」
暁登の声の語尾がどんどん震えて来る。樹生は鼻から息を吐いた。
「まあな。その通りなんだけど」
樹生は組んでいた足を崩して、膝に肘をついて暁登の方を見た。
「そういうの、いままでずっと夢見て来たこと諦めてでも、暁登といる方が、いいんだ」
暁登は相変わらずこちらを向かなかったので、樹生は暁登の名を呼んだ。それでも暁登はこちらを向かない。
そういうことが煩わしいと思うよりは、微笑ましいと思う。久しぶりに凪いだ気持ちでいるのは目の前の部屋に赤ん坊が並んでいるせいだろうか。生まれて数日の子らの前では、誠実でありたい。
「暁登」
返事はない。
「暁登、こっち向け」
「……」
「暁登、おれを見て」
「……」
「暁登」
四度目で暁登はようやくこちらを見た。怒っているような、苦しそうな、そういう険しい顔をしている。思わず頬に触れたくなったが、即座に振り払われそうな気がしたのでやめた。
「諦められんの、嫁さんとか、ガキとか」
「だって仕方ないさ。おれがいま一番傍にいてほしいと思ってるのは、塩谷暁登っていう男だからな」
「気の迷いかもしんないじゃん。いまはそうでも、いずれ後悔する」
「かも、とか、もし、とか、そういうことは考えても仕方がないんだ。もし両親が生きていたら? とか、婚約が破棄されなかったら? とか、早先生と惣先生の元で暮らしていなかったら、とか。そうしたらおれは幸せだったのか? 可哀想ではなかったのか? 哀れまれたり、罵られたり、しなかったのか?」
「……」
「過去は過去、未来は未来なんだよ。で、いまはいま。おれはいまあることに正直に暮らしたい」
そこまで話すと、廊下の向こうから暁登の父親や母親、義兄が揃ってやって来た。暁登に「長くて面倒な話、聞くか?」と小声で咄嗟に訊ねる。暁登は僅かに逡巡した後、樹生を睨みつけるように目を見て頷いた。
「なら、行こう」
樹生は立ち上がる。やって来た暁登の家族に挨拶をして、「私はお暇しますので」と告げた。
家族は来訪をまたぜひ、と勧め、頭を下げる。暁登の義兄は握手を求めて来たので、照れながら「おめでとうございます」と握手をした。
「またぜひ我が家にいらしてください。賑やかしい家ですが」
「いえ、……そうですね、」
樹生はちらりと暁登を窺ったが、彼は知らん振りだった。
「また行きます。どうもありがとうございました」
深く頭を下げると家族はにこにこと笑った。
→ 82
← 80
「好きだけど、……知ってたの?」
「いや、公園で遊んでる子どもとか、登下校の子どもとか、嬉しそうに見てるから」
「ああ。だってかわいいじゃん」
「まあな」
暁登は頬杖をやめず、そっぽを向くのもやめなかった。それでも樹生の台詞に耳を傾けてくれている。
「婚約者だった人――水尾、って言うんだけど。水尾との間に子どもが出来たらめちゃめちゃかわいがるだろうなって想像した」
「そう、」
「家族が欲しいとずっと思ってた。きれいじゃなくてもあったかい嫁さんとかわいい子どもと、一軒家で犬か猫でも飼ってさ。そういうのずっと憧れてたんだ」
「過去形にするのは早いんじゃないの、」
相変わらず暁登はこちらを見ない。
「あんたまだそんなの諦める年齢でもないだろ。また恋でもしてさ。新しい人見つけて、結婚して、ガキ作ったら、」
「……」
「おれ、男だし。ガキ作るとかぜってー無理だし。あったかい嫁さんとかなれないし。そういう、……できないことばっかりだから。そもそももうおれとあんたは、終わってて、おれはあんたに愛想尽かしたりしてて……だから、」
暁登の声の語尾がどんどん震えて来る。樹生は鼻から息を吐いた。
「まあな。その通りなんだけど」
樹生は組んでいた足を崩して、膝に肘をついて暁登の方を見た。
「そういうの、いままでずっと夢見て来たこと諦めてでも、暁登といる方が、いいんだ」
暁登は相変わらずこちらを向かなかったので、樹生は暁登の名を呼んだ。それでも暁登はこちらを向かない。
そういうことが煩わしいと思うよりは、微笑ましいと思う。久しぶりに凪いだ気持ちでいるのは目の前の部屋に赤ん坊が並んでいるせいだろうか。生まれて数日の子らの前では、誠実でありたい。
「暁登」
返事はない。
「暁登、こっち向け」
「……」
「暁登、おれを見て」
「……」
「暁登」
四度目で暁登はようやくこちらを見た。怒っているような、苦しそうな、そういう険しい顔をしている。思わず頬に触れたくなったが、即座に振り払われそうな気がしたのでやめた。
「諦められんの、嫁さんとか、ガキとか」
「だって仕方ないさ。おれがいま一番傍にいてほしいと思ってるのは、塩谷暁登っていう男だからな」
「気の迷いかもしんないじゃん。いまはそうでも、いずれ後悔する」
「かも、とか、もし、とか、そういうことは考えても仕方がないんだ。もし両親が生きていたら? とか、婚約が破棄されなかったら? とか、早先生と惣先生の元で暮らしていなかったら、とか。そうしたらおれは幸せだったのか? 可哀想ではなかったのか? 哀れまれたり、罵られたり、しなかったのか?」
「……」
「過去は過去、未来は未来なんだよ。で、いまはいま。おれはいまあることに正直に暮らしたい」
そこまで話すと、廊下の向こうから暁登の父親や母親、義兄が揃ってやって来た。暁登に「長くて面倒な話、聞くか?」と小声で咄嗟に訊ねる。暁登は僅かに逡巡した後、樹生を睨みつけるように目を見て頷いた。
「なら、行こう」
樹生は立ち上がる。やって来た暁登の家族に挨拶をして、「私はお暇しますので」と告げた。
家族は来訪をまたぜひ、と勧め、頭を下げる。暁登の義兄は握手を求めて来たので、照れながら「おめでとうございます」と握手をした。
「またぜひ我が家にいらしてください。賑やかしい家ですが」
「いえ、……そうですね、」
樹生はちらりと暁登を窺ったが、彼は知らん振りだった。
「また行きます。どうもありがとうございました」
深く頭を下げると家族はにこにこと笑った。
→ 82
← 80
産婦人科の病棟のある階でエレベーターを降りると、すぐそこにエレベーター待ちをしていた暁登がいて呼吸が一瞬詰まった。暁登の方も目を丸くしている。「なんで?」と暁登は尋ねたが、答えたのは樹生ではなく暁登の父親の方だった。
「岩永さんが赤ん坊を見たい、と言ったから連れて来たよ」
「え、だって今日仕事だろ?」
ちらりと暁登は樹生を窺う。樹生は苦笑してみせた。
「休んだ」
「いいの?」
「どうしても困るようならそう言われるけど、職場に電話したらあっさり有休くれたから、いいんだ」
暁登だって半年程度でも勤め先ではあったわけなので、内情は知っている。「そう」と頷いて、それから父親の方を向いた。
「おれ、いったん帰ろうと思ってたところ」
「なにかあるの?」
「今日は休みだけど、まだアパートの引っ越しが完全に終わってないからさ。とりあえず生まれたし、義兄さんとおふくろはまだ残るって言うから、後で迎えに来るよって話にして、病室出て来たんだ」
それでエレベーターを待っていたのだと納得がいく。
「せっかく岩永さん来てくれたんだから、もう少しいてやればいいのに。おまえが世話になった人なんだから」
「んー……」
暁登は腕組をして考える。
「引っ越しってのは?」と樹生は聞いた。
暁登は顔を上げ、かりかりと頭を掻く。
「えーとね、部屋はもう借りてあるんだけど荷物の運び入れがまだで。あんたも見ただろ、実家の客間の荷物をさ。あれを入れなきゃなんないんだ。距離がそんなに離れているわけじゃないから車で何往復かすれば済むかな、と思ってる。大きな家電は追々揃えるし。まあ、そういうのを休みの日のうちにやっておこうかなって」
「それ、手伝おうか」
「え?」
「おれも休み取ったし。ここには赤ちゃんの顔見に来ただけでおれもこの後の予定は特にないし。嫌でなければ、だけど」
そう言うと、暁登がまた真っすぐな目でこちらを見つめ返してきた。怖気るほど強い光を持った瞳だ。だが樹生はそれを見て、もう逸らしたりはしなかった。樹生も樹生のまなざしで、それを受け止める。
「――じゃあ、頼もうかな」と暁登は言った。
「予定が決まったならまずは孫の顔だな」と言ったのは暁登の父だ。
「病室、どっちだ?」
「あっち。でも新生児室はこっちだよ」
「はじめは虹子の顔見てからにしよう」
暁登父は母親の背に手を添えてゆっくりと歩き出す。その後ろを暁登と並んでついて行った。暁登の姉に挨拶をした後、一足先に病室を出て暁登と廊下を歩いた。
「岩永さんが赤ん坊を見たい、と言ったから連れて来たよ」
「え、だって今日仕事だろ?」
ちらりと暁登は樹生を窺う。樹生は苦笑してみせた。
「休んだ」
「いいの?」
「どうしても困るようならそう言われるけど、職場に電話したらあっさり有休くれたから、いいんだ」
暁登だって半年程度でも勤め先ではあったわけなので、内情は知っている。「そう」と頷いて、それから父親の方を向いた。
「おれ、いったん帰ろうと思ってたところ」
「なにかあるの?」
「今日は休みだけど、まだアパートの引っ越しが完全に終わってないからさ。とりあえず生まれたし、義兄さんとおふくろはまだ残るって言うから、後で迎えに来るよって話にして、病室出て来たんだ」
それでエレベーターを待っていたのだと納得がいく。
「せっかく岩永さん来てくれたんだから、もう少しいてやればいいのに。おまえが世話になった人なんだから」
「んー……」
暁登は腕組をして考える。
「引っ越しってのは?」と樹生は聞いた。
暁登は顔を上げ、かりかりと頭を掻く。
「えーとね、部屋はもう借りてあるんだけど荷物の運び入れがまだで。あんたも見ただろ、実家の客間の荷物をさ。あれを入れなきゃなんないんだ。距離がそんなに離れているわけじゃないから車で何往復かすれば済むかな、と思ってる。大きな家電は追々揃えるし。まあ、そういうのを休みの日のうちにやっておこうかなって」
「それ、手伝おうか」
「え?」
「おれも休み取ったし。ここには赤ちゃんの顔見に来ただけでおれもこの後の予定は特にないし。嫌でなければ、だけど」
そう言うと、暁登がまた真っすぐな目でこちらを見つめ返してきた。怖気るほど強い光を持った瞳だ。だが樹生はそれを見て、もう逸らしたりはしなかった。樹生も樹生のまなざしで、それを受け止める。
「――じゃあ、頼もうかな」と暁登は言った。
「予定が決まったならまずは孫の顔だな」と言ったのは暁登の父だ。
「病室、どっちだ?」
「あっち。でも新生児室はこっちだよ」
「はじめは虹子の顔見てからにしよう」
暁登父は母親の背に手を添えてゆっくりと歩き出す。その後ろを暁登と並んでついて行った。暁登の姉に挨拶をした後、一足先に病室を出て暁登と廊下を歩いた。
新生児はガラス越しにしか見ることが出来なかった。この病院で生まれた赤ん坊が小さなかごに入れられ並んでいる様はなかなか鮮烈だった。まだ赤ん坊でも大きさはまちまちで、よく見れば顔立ちも違う。だからと言ってどれが暁登の姉夫婦の子どもなのかは分からなかった。
「のんびり腹に入ってただけあってさ、わりとでかいんだ」と暁登がガラス越しの赤ん坊を見ながら言った。
「あの一番端っこの」
「へえ、女の子だっけ」
「そう。隣の子は男の子らしいんだけどさ、でかいだろ」
比べれば確かに姉夫婦の子どもの方がふくふくと丸く大きい。「名前決まってんの?」と聞くと、暁登は「ひかり」と答えた。
「ひかり?」
「うん。新緑に生まれるなら男でも女でもひかりがいい、って姉貴と義兄さんで決めた」
「字は?」
「女の子ならひらがな、男の子なら太陽のヨウの字。女の子だから、ひらがなだな」
「ひかりちゃんか」
「うん」
樹生は並ぶ赤ん坊の愛らしさが飽きなくてしばらくガラスに張り付いて眺めていたが、暁登は飽きてしまったらしい。傍にあった長椅子にどかりと座り込む。膝に頬杖をついて、そっぽを向いている。
樹生は一通り眺め終えて、暁登へ振り向く。暁登は目を閉じていたが眠っていないことは分かっていた。目蓋が僅かに震えていたからだ。
樹生もそちらへ歩き、暁登の隣へ座った。足を組む。
「おれも欲しかったんだよね、子ども」
そう言うと、暁登はゆっくりと目を開けた。
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「秘密」本編の更新は今週末で最終回の予定です。最後までお付き合いをどうぞお願いいたします。
「のんびり腹に入ってただけあってさ、わりとでかいんだ」と暁登がガラス越しの赤ん坊を見ながら言った。
「あの一番端っこの」
「へえ、女の子だっけ」
「そう。隣の子は男の子らしいんだけどさ、でかいだろ」
比べれば確かに姉夫婦の子どもの方がふくふくと丸く大きい。「名前決まってんの?」と聞くと、暁登は「ひかり」と答えた。
「ひかり?」
「うん。新緑に生まれるなら男でも女でもひかりがいい、って姉貴と義兄さんで決めた」
「字は?」
「女の子ならひらがな、男の子なら太陽のヨウの字。女の子だから、ひらがなだな」
「ひかりちゃんか」
「うん」
樹生は並ぶ赤ん坊の愛らしさが飽きなくてしばらくガラスに張り付いて眺めていたが、暁登は飽きてしまったらしい。傍にあった長椅子にどかりと座り込む。膝に頬杖をついて、そっぽを向いている。
樹生は一通り眺め終えて、暁登へ振り向く。暁登は目を閉じていたが眠っていないことは分かっていた。目蓋が僅かに震えていたからだ。
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プロフィール
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粟津原栗子
性別:
非公開
自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。
****
2022*08*11-21
暑いですね。番外編短編、ちょこっと更新しています。
2021*12*04-2022*03*17
お久しぶりです。短編長編更新。
短編「さきごろのはる」
短編「月の椅子」
短編「みんな嬉しいお菓子の日」
長編「ファンタスティック・ブロウ」
短編「冬の日、林檎真っ赤に熟れて」
2021*08*16-08*19
甘いお菓子のある短編「最善最愛チョコレート」更新。
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