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成人女性を対象とした自作小説を置いています。
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 駅前の交差点、ちょうど向こう側に、きみを見つけた。あれから十年も経って、きみは変わらず「きみ」だった。ひと目見て分かった。
 きみは幼子を抱いていた。強い春の日差しの下でもつやつやと黒い髪は風にそよいで、きみはその髪を愛おしそうに撫でた。瞬間、鋭い痛みが心臓を直撃したが、ぼくの表面は、そのままでいられた。ようやく解き放たれたと思った。深く悲しむと同時に、安堵した。これでぼくはやっときみのことを諦められるのだ。
 歩行者用信号機が青に変わる。ぼくは歩き出す。きみも歩き出す。


 ◇


 「晴」と書いて「はれる」と読む。ぼくの名前だ。難読といえば難読、明快といえば明快すぎて、ぼくは自分の名前のことが好きじゃなかった。
 生徒らからは「ハレちゃん」と呼ばれた。「野山先生」と呼ばれることは、最初のオリエンテーションぐらいのものだ。そもそも、苗字と合わせるとことさらひどい。出来るだけフルネームを名乗らないで生きてゆきたいものだと、小学校三年生のころにもうすでに決意していた。
 それをきみがひっくり返す。「いいなあ、先生の名前」と言うから、ぼくは思わず「どこが!」と生徒相手にむきになってしまった。
「え、良くない?」
「良くない。ぼくは嫌い」
「素敵だよ、晴天の晴の字。名前の中におひさまもおつきさんも詰め込んでる。この星、って感じしない?」
 そう言ってのけたきみは、当時天文部だったのだ。地学が得意で興味も持っていた。きみ自身が副教科に音楽を選択してくれたから接点がかろうじてあったけれど、そうでなければ音楽科教師、普通科理系クラスのきみとは縁遠かった。
 期末に行った実技テストをきみは風邪で受けられなかったので、後日再テストになった。放課後、音楽室へ呼び出した。そのとききみはいきなりこう言ったのだ。きみみたいに考えたことはなかったので、意見を意外に思った。
「おれは先生の名前、好きだな」そんなことまで屈託なく言う。
「そりゃ、どうもありがとう」
「気に入ってないんだ? どうして?」
「どうもしっくりこない。同じ字をつかうなら、『ハル』とか『セイ』と読ませてくれればいいのに」
「はれる」
 ときみはいきなりぼくの名を発音した。きみは決して歌の上手い生徒じゃなかったが、声はとてもきれいに響いた。
「いい名前だよ。呼んでると、気持ちまで晴ればれしてくる」
「ひばりでも鳴きそうで、悩んでいるのがあほらしくなる名前だと、我ながら思うよ」
「なに、先生ってネガティブなの?」
「こんな名前ならね」
「そんなに卑屈にならなくてもさあ」
 きみは笑う。喋っていないで実技テストをすべきだったのに、こんなになれなれしく喋ってしまったのは、きみは魅力的で、ぼくはきみのことをほのかに「いいな」と思っていたからだった。
 やせっぽちで、眼鏡がださいのは分かっているけれどコンタクトに替える勇気もなくて、ピアノが弾けるだけで音大に入って、けれど音楽家として成功するはずもなく、非常勤の音楽教師として高校に勤めているぼくに、きみは素敵だった。のびのびと生きている、と思った。他の生徒に、あるいはその年ごろの少年に見られるような鬱屈とした不満がないのは、きみが純粋に天文学が好きで、すべての情熱をそこへ注いでいるからだった。夢中になれるものがあるからこそ輝く若者を、ぼくだってその当時はまだ充分に「若者」と呼べる年齢だったにもかかわらず、眩しく思い、羨ましいと思っていた。
「上川くん」ときみのことをぼくは呼ぶ。きみはぴんと顔をあげて、ぼくを正面からとらえた。
「実技テスト、やってしまうよ。きみも早く部活に行きたいだろう」
「いやまあ、部活も好きだけど……。先生、ピアノ弾いて」
「弾かないよ。独唱の実技テストだよ」
「おれ先生のピアノ好きだから」
 かりかりと耳の後ろをきみは掻く。それから「いや、そういうことだけど、そうじゃなくて」と言い直した。
「先生の名前も、先生のピアノもおれは好き。先生自身のことも、好き」
「え?」
「多分、先生もおれのことが好き。授業中、よく目が合うよね。……違う?」
 違わなかったし、そんなに堂々ときみに思いが伝わってしまっていることに、驚いて恥ずかしくなった。ぼくは絶句し、顔を赤くしてうつむく。それをきみは笑って「ほらね」と言った。
「おれの名前、呼んで」ときみが優しく懇願する。
「……上川くん」
「下の名前」
「……青児(せいじ)くん」
「ね。知ってるでしょ、青だよ、青。おれの名前に陽が昇ったら、先生の名前になるんだよ」
 青色も好き、ときみは言った。きみには好きなものが溢れていて、そのまばゆい素直さに、ぼくは耐え切れない思いで目を閉じた。


 ぼくらの恋は、ぼくが思っている以上に急速に進んでしまった。学校ではなにごともないふうに、特に接点を持たずに過ごす。だがそれも放課後が過ぎるまでだった。夜になれば、きみはぼくのアパートへやって来た。パーカーのフードをかぶり、人目を忍んで。そしてぼくが出迎えればぼくを情熱的に抱きしめ、「一日って長いね」と、耳元で熱っぽく囁いた。
 部屋でぼくらは、手をつなぎ、ぼくの好む音楽(あのころはとある映画音楽が好きで、そのサウンドトラックばかりかけていた)を流しては、お互いのすべてを語りあった。ぼくが生きてきた二十五年間の話、きみが生きてきた十七年間の話。将来の夢、希望、目標。好きな食べものと嫌いな食べもの。血液型、誕生日、いちばん幼い記憶と、最近の感動。夜は短く、いくら時間があっても足りなかった。
 きみがぼくを抱いた日、ぼくは感動で泣いてしまったのだけれど、「大げさだよ」と言いながらきみの目にも涙が浮かんでいたのを、ぼくは覚えている。涙の膜が綺麗だと思った。奥手な性格のおかげでぼくは誰かと体温を共有するのがはじめてで、それはきみも同じで、覚束ないキスをしながら、手探りで、快楽を求めあった。摩擦する肌が熱を持つことを、当たり前でも、知らなかった。ぬめる体液も、はやる心臓も、汗を浮かせて恥ずかしいと思う気持ちもいっしょくたに、きみと経験した。きみは何度もぼくの名前を呼び、歓喜に、ぼくはふるえた。こんなに自分の名が心地よいものだとは思わなかった。ぼくもきみの名を懸命に呼んだ。ぼくの声はきちんときみの鼓膜をふるわせて、身体が喜ぶのが分かった。喜びが深まればふかまるほど、ぼくらの境界があいまいになるのが嬉しかった。
 交際は、半年続いた。惜しむらくは、きみとの季節を一年過ごせなかったことだ。夜になれば必ず不在になる息子を怪しんだ母親が、きみをきつく追及して、ぼくらの関係が表へ出た。きみは母子家庭で、お母さんのことをとても大切にしていたから、母には嘘をつけなかった気持ちも充分理解できた。
 それでもやはり、終わる気持ちにはなれなかった。
 きみの母親は、理解ある人だった。きみの気持ちを汲んで、そして世間体も気にして、このことは学校には黙っているといった。しかし別れを要求した。当然のことだと思う。学校にばらされるのが怖くなって、ぼくは学校を辞めた。きみはひどく落ち込んで、取り乱して、それでも母親に「あなたのためよ!」と強く言われるとなにも返せなくて、泣いた。かわいそうなくらいだった。
 ぼくは田舎に帰ることにした。引越しの日、きみはこっそりとぼくに会いに来た。「一年経って高校を卒業したら」ときみはひどい顔で言った。
「学校出たら、晴に会いに行く。それまで待ってて」
「だめだ」
「どうして」
「お母さんが悲しむよ。なんのためにぼくらは、別れるんだ」
「高校卒業したら、おれは家を出るつもり。構いやしないよ、じきに大人になるんだ」
 そう言ってきみはぼくを抱きしめてきた。荒っぽい抱擁は感情の表れで、ぼくは泣いた。きみを信じようと思った。「待ってる」とちいさく言うと、きみも頷きかえした。
 一年経った春、きみからはなんの連絡もなかった。姿さえ見せなかった。こちらから連絡する用意もあったが、ぼくは「待ってる」と言ったのだからと、きみを待った。
 二年経っても三年経っても、音沙汰はない。五年経ったころから、ようやくあきらめがついた。若者のいうことを真に受ける方が間違いなのだ。変化のめまぐるしい年代、なにがきみの身に起こるかは分からない。突然の恋、心変わり、寝て起きたらどうでもよくなっている事柄だってある。
 それでもぼくは待ち続けた。きみからなんの連絡はなくても、明日は来る、明日こそ、と信じた。


 ◇


 気付いたら十年経ってしまっていた。ぼくは相変わらずひとりでいる。
 きみも変わっていないようだった。状況は変わったかもしれないが、幼子を見る目が、優しい目つきがあのころを思い出させる。手をつないで話すとき、きみはあんな目をした。星や石の話はぼくには分からなかったけれど、くつろいだ表情で、きみは隣にいた。
 ぼくはたまに思う。本心できみのことを信じていたのかな、と。信じ切っていたら、別の道もあったかもしれない。ぼくから連絡を取るとか、会いに行くとか、別れない選択肢も、きっとあった。「きみ」を「待ち続ける」ことを理由にして、盾にして、ぼくはきっと自分を偽ったり、守ったり、していた。きみのせいに出来たから。ぼくは悪くない、と言えるから。
 幼子を抱いたきみの姿が、徐々に近付く。ぼくはあえて前を向き、前だけを向き、隣を通り過ぎる。と、瞬間的にきみが振り向いた。横目にしか確認しなかった。ぼくは前を向いて歩いていた。
 はれる、と聞こえた。
 ぼくは歩く。真っ直ぐ歩き、信号はぼくが渡り切った後に赤に変わった。やがて後ろを車が通り過ぎる。歩道を、ぼくは進む。
 涙が溢れそうになったから、上を向いた。ビルとビルのあいだに春の晴れ空が広がっている。青いな、と思い、きみの名前を呟き、また唇をひと結びにする。そうでないと、嗚咽が漏れそうだった。
 きみは行く、きみの道を。ぼくも進む、ぼくの道を。
 いま長い恋があける。浅く遠い青が、頭上に横たわっている。


End.
 



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 風呂に浸かったとき背中がぴりっと痛んで、村上は思わず浸かりかけていた湯から身体をあげた。背中の、肩甲骨のあたりだろうか、両側が痛んだがとりわけ左側がひりひりした。手で触れてみると、線状にぷくぷくと傷が出来ているのが確認できた。それも二・三本、平行に。なんだろうな、打撲傷じゃない。たとえば職場で狭い通路を進んで、背中を擦ったとか。そんなのはしょっちゅうだったので充分考えられた。ああ、じゃああの時の傷だ、と今日の仕事を振り返る。今日はとある会社のオフィスの引越しで、賃貸のちいさなビルから広い新社屋へ移ったのだけれど、その賃貸ビルの通路が狭かった。しかもエレベーターがなかったから、階段を何往復もした。机など重たい荷物を仲間と組んで運んだとき、背中を壁に接する機会はあったから、そのときにつくったのだろうと結論づけた。それにしても肌に傷をつくって、制服は無事だったんだろうか。棘でも刺さっているかもしれない。こんな仕事なので、いつどこでどういう傷をつくるかは、予測できても防ぎきれない。
 風呂で困ったことと言えば、石鹸水が沁みてあかすりでこすると痛いことだった。それでも我慢できないほどではない。いつもよりは短めに風呂からあがり、すぐに衣類かごに投げ込んだ制服を確認した。脱衣所では暗かったので寝室へ持って行くと、電気をともしたまま、三崎はベッドに沈み込んで目を閉じていた。すうすうと規則正しい吐息が漏れる。眠っているみたいに見える。
 不眠、不眠とは聞いていたけれど、最近の三崎はそんなことない、と思う。村上の隣に潜り込めば、本を数行も読み進めないうちに眠る。夜間の睡眠の質がどうなのかは知らないが、困っている様には見えなかった。それは三崎にとっていいことだろうけれど、村上にとっては、少し残念なことでもあった。声を、必要とされている感じが好きだった。誰かと無謀なセックスに及ばれるよりは断然いいか。
 寝室の電気を絞り、村上は台所へ向かった。あかるくして、制服の布地を確認する。背中に入った社名のロゴは多少掠れていたが、大きな傷はなく、なにか刺さっているわけでもなかった。着ていたアンダーウェアはどうだっただろうか。また脱衣所へ向かおうと立ちあがると、ふすまがあいて、三崎が顔を覗かせた。
「――寝たんじゃなかったのか」
「んん……起きた、」
 村上が手にしていた制服を見て、どうしたの、と三崎が訊ねる。村上は「は、」と笑ってやった。
「大したことねえ。ただ、背中に擦り傷つくったっぽいから、」
「いつ? 仕事で?」
「多分」
 そう言うと、三崎はあからさまに不安そうな、もしくはいやそうな顔をした。以前、春のはじめころ、怪我をして帰宅したことがある。病院沙汰になった傷で、額に傷跡が残った。あれは三崎にとってなかなかの衝撃だったようで、いまでも時折、額の傷跡は触れられる。こわごわ、でも確認せずにはいられない、というふうに。
「ただの擦り傷だぜ」と言っても、三崎は納得しかねる、といった顔でしばらく黙っていたが、やがて「見せて」と言った。
「背中、見せて」
「大丈夫だって。風呂でちょっと沁みた程度で、大げさな」
「確認。――おれが安心したいだけ」
 三崎という男は、思いのほか声に色が出る。不安そうな、かつ固い意思ある声音で言われると、そんなに拒否する理由もなかった。シャツの襟元を指でひっかけ、首から引き抜くと同時に後ろを向いて見せた。「肩甲骨の下あたり」と具体的に言うと、背中をしげしげと見た後、三崎はちいさく「あっ」と声をあげた。
「――なに、なんかあったか?」さすがに不安になった。
「違う、……違います。ごめん、ごめんなさい、……」
「……なに?」
 背中にぺたりと手のひらが当てられる。三崎の手は、少し汗ばんでいた。「これ、おれだ」と言いにくそうに言うので、村上は思わず後ろを振り返った。
「あんたがつけた傷?」
「そう……」
「いつ、」
「いつって、……」と口をひらきかけて、また閉ざした。それを二回繰り返し、頬まで赤くする。その態度で、村上もさすがに察した。だから昨夜。村上と三崎が没頭していたこと。
「……気が付かないもんだな」
「……ごめん、なさい。……気を遣わなかった、」
「いや、まあ、うん。いいよ。夢中だったし」
 と言うと、額をこつっと肩先に押し付けてきた。ますます顔を赤くして、三崎はうつむく。日ごろはなにを考えているのか分からぬような茫漠とした瞳が、睫毛の下で潤んで光るさまが想像できた。村上はふっと笑い、うつむいてこちらを向いた頭のてっぺんに軽いキスを落とす。
「大して痛くない。おれだって噛んじまうときある。あれの方が痛いだろ」
「……」少し考えて、三崎は首を縦に振った。「うん」
「痛い。けど、村上のは、いやじゃない」
「じゃあそれとおんなじだ」
「……」
「それに、妙に冷めて気を逸らされるよりずっといい」
「そう……」
 三崎は照れて、恥じて、ただ恐縮してみせた。気にすんな、と、その身体を抱きしめる。三崎はう、とちいさく唸って、それでも身を委ねてくれた。
 背中に腕がまわり、村上の傷を撫でた。三崎だけがつけることのできる、村上のささやかな傷。
「寝ようぜ」
「……」
「それともまたあたらしく引っかいてみるか?」
 その申し出は、消えるようにちいさな「ばか」の言葉で却下される。そんな顔で言われても説得力ねえよな、と村上は、悠々とした気分で笑ってみせる。


End.


このふたり:
この夜が明けたら
うららかに春の光が降ってくる
春と煙草




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 村上の上着のポケットを探ると、珍しいことに煙草が出てきた。封切られていて、二本しか残っていなかった。ピンク色のパッケージで、蝶の絵柄が描いてある。一目見て女性をターゲットにしていると分かる。まず煙草が出てきたことに驚いて、それからそれが女性向けであることに二重に驚いた。
 村上家の洗濯機を、三崎はよくまわす。三崎自身が洗濯という家事が好きであることと、村上が滅多にまわさないことに起因する。洗濯機はあるにはあるが、コインランドリーの方が手っ取り早くて便利だと言って、村上はあまり家の洗濯機を活用してこなかったから、型が古く、脱水の際にけたたましい音をたてる。でもその古さもひっくるめて、村上の家にぴったりな気がして、三崎には好ましかった。なんとなく村上の家に居ついてしまった三崎は、手持ち無沙汰なときに、よく洗濯ものを干したり仕舞ったりした。
 村上はズボンや上着のポケットになんでも放り込む癖がある。以前、なんにも気にせずに洗濯機をまわして、小銭どころかお札まで洗濯してしまい、アイロンをあてて乾かした。それがあってから、洗濯機をまわす前にポケットを探るのが習慣づいた。小銭はしょっちゅうで、他、免許証や診察カード、ポケットティッシュにごみ、とバラエティに富んでいる。だが煙草の箱が出てきたことはこれまでになかった。
 村上は煙草を吸わない。吸っているところは見たことがないし、吸っていいかと訊かれたこともない。三崎もそれは同じだ。だからこれはふたりのものではない。では誰のものか。
 昨夜、村上の帰宅は遅かった。仕事帰りに人に会ってくるから遅くなる、と言って、三崎の記憶では、帰宅は深夜零時をまわった。可能性としては、会って来た誰かが吸っていたと考える。そういえば確かに煙草くさかった。一体誰に会って来たのか、そこまでは聞いていない。
 火をつけないまま、煙草をたわむれに口に咥えてみた。すうっと吸うと、シトラスの香りがした。細めのボディは、やはり女性が好むものなんだろうな、と察する。いや別に男性が吸っていてもいいのか。パッケージさえ気にしなければ、若い男が吸っていてもおかしくはなさそうだ。だとしたらやはり村上が吸ったとか? いや趣味じゃなさそうだし――……訳が分からなくなってきた。
 聞けば良い、と考え、寝室に向かう。昨夜が遅かった村上は、深い呼吸で気持ち良く眠っていた。ベッドに肘をついて、寝顔をよく観察してみる。短くなった前髪を引っ張り、先日まで絆創膏の貼られていた額の傷跡を、撫でてみる。ぷくりと膨らんだその傷跡は、経過が良かったのか、大した傷としては残らなさそうだった。三崎の手がくすぐったかったらしく、村上の呼吸がすっと止まった。それから薄目を開け、また目を閉じて、寝返りを打って向こうを向いてしまった。
 なんだかつまらない。
 ちいさな庭に通じるガラス戸をあける。ここは物干し場も兼ねていた。部屋の縁に腰かけて縁石に足を下ろすと、外遊びに出ていた飼い猫がすり寄ってきた。それを一通り撫でてから、先ほど台所から持ってきたライターで、煙草に火をつけた。
 ひと吸い、深く吸いこむと肺に浸みた。ひと吐き、深く吐くと煙が細く長く吐きだされる。春の日差しの下、空気のいい中で吸う煙草は、悪い子になったようで、ほのぐらい後ろめたさが、少し気分よかった。そのまま煙草をぷかぷかと吸っていると、後ろからパーカーのフードを引っ張られた。見れば村上が立っている。「なにやってんだ、あんた」と寝起きでしか聞けないかすれ声で訊かれたから、縁石で煙草をつぶしてから、煙草の箱をポケットから取り出して振って見せた。
「ああ、」と村上は頷く。
「昨夜、誰と会ってた?」
 そう訊くと、村上は「姉貴」と答えながら三崎の隣に腰かけた。
「お姉さん、いたんだ」
「弟もいるぜ。一個ずつ違うんだ」
「お姉さんの煙草?」
「そう。たまに、猛烈に職場や旦那の愚痴を言いたい時があるみたいで、そういう時、呼び出される。昨夜もファミレスで散々聞かされてきた。その姉貴が忘れていった煙草だよ」
「お姉さん、仕事なにやってるの?」
「おれと似たようなもんさ。トラック運転手」
「え、すごい」三崎は職場でたまに運転する軽乗用車ですら怪しい。
「運転は楽しいって。ただ、女だからってなめられるのが悔しいんだと」
「おれの職場、女性が多いから、女の人には頭あがんないけどな」
「職種によるよな。性差と、向き不向き。おれんところは野郎ばっかりだけどさ、たまに女入って来ると、なんつーか、雰囲気変わる」
「浮ついたり?」
「するやつもいる。おれは姉貴見てるから、こういうところで働く女は怖えな、と思う」
「ふふ」
 村上も吸う? と煙草を渡してみたが、彼はそのパッケージをしげしげと眺めただけで、三崎に戻した。
「あんたが吸うんなら」
「おれは、もうこれでいいや」
「ていうか、あんた、吸う人だったんだな」
「大学のころ。寝るのがしんどいときに、吸ってた。就職してからは全然」
「だよな。吸ってるところ見たことなかったし」
「村上は?」
「おれは、高校の終わりから二十代はじめぐらいまで吸ってた。姉貴に教わって」
「いまはもう、吸わない?」
「吸わねえな。朗読のボランティアはじめて、やめた。いまは、むしろ姉貴なんか見てて、うんざりする」
「……じゃあ、おれにもうんざりした?」
「は、……そうじゃねえな、」
 不意に、村上の手が伸びた。パーカーの襟元を掴み、少しだけ布地を肩からずり下げる。剥き出た三崎の肌に、村上は鼻先をすり寄せた。唇が当てられる。と、そこをかりっと噛まれて、びっくりした。
「――な、なに?」
「いや、陽に当たって、光ってたから」
「……光ってれば、噛むの?」
「うーんとさ、」
 陽光を、目を細めて村上は見遣った。それから三崎に視線を戻し、「多分高校のころから」と言った。
「あんたには齧りつきたかった」
「よく分かんない、それ」
「食っちゃいたいほどかわいい、ってこういうのを言うんだろう」
 そう言って村上は笑った。惚れ落ちそうなほどのびのびと朗らかな笑みで、三崎はすっかり照れてしまう。その三崎の後頭部を手のひらで掴んで、村上は三崎の顔を胸に引き寄せた。火照った頬に村上の体温が近付いて、産毛が逆立つような感覚がした。
 顎を取られ、上を向かされた。村上の細い瞳と、視線が絡まる。そのままゆっくりと唇同士が重なりあった。三崎はそっと目を閉じる。
「あ」
 村上が至近距離で吐息を漏らした。
「なに?」
「煙草くさい」
 それだけ言って、また唇を塞がれた。


End.



このふたり:
この夜が明けたら
うららかに春の光が降ってくる


拍手[46回]

 再び、緩みきった三崎の最奥に、村上が進んでくる。先ほど、ジェルを足したから侵入は実にスムーズで、村上のものが中をずり上がっていく感覚に、三崎は酔った。
「あっ、はあっ、……」
 挿入の際にかたく閉じていた目をあけると、ぽろりと、汗か涙かも分からないものが伝い落ちた。村上はそれに気づいて、上体を倒して三崎の目元を吸ってくれた。長い性行のあいだに陽は動き、真昼の部屋に、日差しが差し込みはじめていた。村上の背にも当たっている。そこだけ眩く光っている。
 そういえば高校時代の村上はよく三崎の背中を見ていたのだと言った。発光する首筋を見ていた、と。こんな風だったのかな、と三崎は村上の肩先を照らす陽光に手を伸ばす。三崎の手は村上へ落ちるはずの光を遮り、陽は、指先の一本一本まで丁寧に照射する。
「どうした?」と村上が訊くので、三崎は「昼間っからセックスしてるから」と答える。
「あかるい。変な感じ」
「ふうん」
 と村上は、窓の外を見遣った。細い目がさらにきつく尖る。それから三崎を見下ろして、「わるくないな」と微笑んだ。
「あんたが、全部見える」
「……おれも見えるよ。汗がすごい、士信」
「ああ」
 ひたりと、傷に障らぬように優しく、村上の右頬に触れる。親指の腹で村上の目尻を撫でた。村上はくすぐったそうに笑い、痛みのあるはずの手で三崎の手を上から握った。
「……捻挫、……おでこも、早く治るといいね」
「そうでもないぜ。あんたと昼間っからこんなこと出来るんだから」
 と、唐突にキスをされた。
「怪我の功名ってやつか?」
「……おれは、いや」
「ん?」
「心配になるし、気ぃ遣わなきゃいけないし。洗いものとか片付けとか、全部おれだし。……士信の右手がつかえなくて、全然触ってくれないのも、いやだ」
「は」
 あんた本当にいやらしいね、と村上がしみじみとこぼす。褒め言葉をいただけて光栄だ。
「早く治して、うんと触って」
「じゃああんた、その時はまた、昼間誘ってくれ」
「気に入った?」昼間のセックス。なにもかも見えて、晒して、ちょっと心許なくて、でもさっぱりと清々しい心地がする。
「高校を思い出す。日なたの席」
 村上もまた、光を掴むかのようにシーツに落ちた日差しに手を伸ばし、空を掴む。そのまま三崎の脚を掴み、しっかりと胴に巻き付けさせると、小刻みに腰をつかいはじめた。
「――あっ、んっ、ふっ、ふあっ」
「確かにおれ今日は全然触ってないな、あんたに」
 は、と息を吐きながら、村上は身体を折り曲げた。三崎の胸の先にくちびるを寄せて、やわく食む。ぴりっとしたちいさな刺激がそこで生まれる。
「全然触ってないのに、こんなになってる」
 左手は、三崎の性器に伸びた。こぼれて幹を伝う腺液を撫で広げるように指を動かし、そのまま親指の腹でぐりぐりと鈴口を押された。
「あ、あっ」
「いやらしくて気持ちいい顔してるのが、よく見える」
「あっ、それ、いく……っ」
「いけよ、三崎」
 言葉と同時に前を猛烈に扱かれ、不規則に中も突かれて、三崎は射精する。村上は残液まで搾り取るかのように下からぐうっと扱いてきた。腹や胸に散った精液まで、指の腹で掬う。
 べたべたの手を拭いもせずに、村上は再び体勢を立て直して、腰をつかってきた。いったばかりの身体は獰猛な動きに耐えられず、腰から下ががくがくと痺れた。もう自分の口でなにを言っているのかも判別つかなかった。やだ、とか、いい、とか、もっと、とか、あられもないことを、唾液をまき散らしながらきっと叫んでいる。
 村上の左手が、三崎の右手を取った。その手を性器に導かれる。
「自分で扱いて、あんたがいくところ、もう一回見たい」
 三崎、と村上が呼んだ。顔にまで陽が当たりはじめ、本当に発光しているみたいだった。三崎は夢中で前をこする。その動きに乗算して、村上の注挿も重たく深くなる。
 いやらしい音をいっぱい立てて、突いて、村上も頂きを迎えた。きゅうっと寄った眉根が愛おしく、続けざまに三崎も精を吐く。二回目だったから薄く、しかし中にいる村上を思い切り締めあげた。痙攣する三崎に村上が覆いかぶさり、裸の胸と胸が重なりあう。その肌の熱さはきっと、日なたにいたせいだ、と三崎は思った。


「あんた、花は好きか」と唐突に村上が訊いた。ひと眠りして、まだ陽が高くて、ふたりくっついたままベッドに転がっているときだった。いい加減に腹が減っていた。でもシャワーを浴びに起きるのが面倒とか、そんなことを考えていた三崎は、村上の台詞にきょとんとした。
 まさか村上の口から「花」なんて単語が出るとは思わなかった。
「見れば、綺麗だと思う程度には」
「おれは、地面に咲く花は興味ねえんだ。ただ、木に咲く花はいいかな、って」
 そう言う村上の視線の先は、今日何度めか、また窓の外だった。寝転んでいるから、空や庭木が見える。ああそうか、と三崎は思いつく。いつも村上が撮るアングルは、こういう、「見あげた」ものだった。
「桜とか、空を向くと勝手に映り込んでくるんだよな。あの空色と白っぽいピンクはさ、毎年、見事なもんだな、と思って写真撮ってた」
「その写真、ある?」
「探せばどこかに」
「見たい」
「だったら、見に行こうぜ」
 村上はそう言って笑った。
「桜が咲いたら」
「……もうじき咲くよね」
「ああ」
 今度こそデートだ、と思い、三崎は嬉しくなる。桜が咲いたら、村上の傷が治ったら、春になったら。
 窓の外を見る。それはそれはうららかな日差しで、よく晴れていて気持ちがいい。


End.


← 3


タイトルと文中に引用した曲は「卒業式の歌」と言うそうです。そのまんまです。(調べていて知りました。)
長い曲なので、いまはもう歌わないかもしれません。私は歌いました。

おつきあいくださってありがとうございました。





拍手[57回]

 野口の歌は突然、予言のように響いた。目が覚めるなり、「うららかに春の光が降ってくる」と音が鳴った。同時に三崎は思い出す。ああ、確かにこれを小学校の卒業式で歌ったかもしれない。卒業式の時期はいつも風邪を引いて、ろくに出席した覚えがないから、忘れていたのだけれど。
 起きてしばらく、村上の寝顔を眺める。外は良い天気で、野口の言う「うららかな日」にぴったりだった。それから少しだけ考えて、三崎は本日の欠勤を決め込んだ。職場に「熱を出したので」と嘘の電話をかけ終えると不思議と気持ち良く、しばらくの間、窓をあけて春のにおいに浸ってから、シャワーを浴びた。
 浴び終えると、村上が起きていた。ベッドで片膝を抱えて、ぼーっとしている。その顔に、今日、休むことにしたよ、と言ってやった。村上は驚いた顔をした。
「出かけるならどこでも行こう」
「……この展開は意外だった」
「出かけない?」
「いや、……」
 村上は窓の外を見た。「確かにな」と呟くので、三崎は首を傾げる。
「なんだっけ、昨夜野口先輩が言ってたやつ。『うららかに』」
「『春の光が降ってくる』。おれ、思い出したよ。歌ったことある。全校で歌ったあと、低学年、中学年、高学年、あとは保護者とか先生とか卒業生とか、歌いつないでいくんだ。すごく長い歌だった」
「へえ、タイトルは?」
「思い出せない」
「ふうん。まあ、そう、それ。そんな日、そんなにおい。『良い日よ』って言ったな」
「うん」
「春の晴れ間ってだけでなんかもう、良い日、だよな」
 梅の花は何日も前から咲いて散り始めている。そのうちすぐに桜が咲くのだろう。村上につられて移していた視線を戻すと、村上がじっと三崎を見つめていたことに気付いた。細い瞳の中に、三崎への情熱が宿っているのを、確かに見た。ずくん、と心臓や、腹の奥が、疼いた。
「まっぴるまからセックスしたことあるか?」と村上が笑いながら訊ねる。
「ない気がする」
「おれも」
「する?」
 訊ねるまでもなかった。村上は瞳をうすくさせて笑う。
「してえな」
 三崎はそれを聞いて、ベッドに腰掛けた。左手で村上の右手を取り、湿布薬のにおいがする包帯の上に、軽くキスをした。
「でも、手がこんなだね、村上」
「ああ」
「残念だけど、村上はなんにもしなくていいよ」
 そう言って三崎の方から村上のシャツを脱がせた。


 村上の左手に、チューブのジェルを垂らす。三崎は香りが気に入ってつかっているが、うっすらと透明なピンク色をしているので、村上はその女性的な(あるいは卑猥な)色あいをあまり好んでいないのも知っている。ただ、今日は違った。垂らすと、村上はそれを指でぬるぬると粘つかせて、「なにしてくれんの」と楽しそうに言った。
 あぐらをかいて座る村上の腿を跨ぐ。濡らした左手を取って、奥へ導いてやる。村上は「ふ」と息を漏らして、三崎の秘められた場所を数度押した。ぬるみを纏っているおかげで抵抗はささやかなもので、肉をかき分けて中指がぬるりと入り込んできた。異物感に、三崎は息を吐く。
「狭い」と村上は文句を言った。
「あ、……こすって、なか、広げて、……」
「おれ、なにもしないでいいんじゃなかったのか」
「んん……」
 侵入したはいいものの、村上は指を動かそうとしない。三崎はそれをなんとか動かそうと、まるで村上の手指をいやらしい自慰道具のようにつかって、上下に揺すった。
 意図を汲んだ村上は、三崎が好きに道具としてつかえるように、手をあえて固定する。「にほんめ、入れて」と耳元で囁くと、村上は中指にひとさし指を添えて、束ねた。それをつかって、また中を熱心に擦る。圧迫感はさほどでもなく、とろけてすぐに緩む。
 不意に、村上の指が動いた。道具としてつかわれることに飽きた、という風に、三崎の中で、指を鉤の字に折り曲げる。触れられてこすられると性感がみなぎってどうしようもなくなる場所があって、そこを、狙っているようだった。指がかすって、三崎は「あっ、うんっ」と声をあげた。
 びりびりとした快感が身体中をめぐり、それは三崎の腹の中心へと集まってくる。性器がぴんと跳ねた。村上は中を執拗に押しながら、「はじめてのセックス覚えてる?」と訊いた。
「おれとした、はじめての夜」
「んっ、……覚えてっ、る、」
「あん時あんたさ、後ろだけでいったじゃん」
 ずるりと手を引き抜かれ、背後が閉じていく。寒気にも似た性感がぞくぞくと背筋をふるわせた。すぐに三本にまとまった指が、三崎をひらいてゆく。
「あっ、はあっ」
「びっくりして、いやらしいのがかわいいなと思った。……指だけでいけるか?」
「――んんっ!」
 ぐちゃぐちゃと、性行そのものの動きで三崎の中を突いてくる。もはや道具でもなんでもなく、村上の意思を持った村上の手指だった。上下に揺すったかと思えば、中でねじられる。指先を広げて、奔放な動きで三崎の性感を自在に操った。
「あっ、むらっ、かみっ」
「――士信」
「しのぶ、……」
 普段はなんにも言わないくせに、性行の時だけ下の名前を呼ぶように促してくるのが、かわいいと思った。三崎は「もう、やだ」とかぶりを振って懇願する。
「士信のでいきたい……」
「ふうん……ほら、いいぜ」
 また村上の指が抜けてゆく。そのまま村上は、自分の性器を二・三度扱く。それをぴとりと後ろへあてがって、三崎は腰を下ろした。途中、ふるえて足が突っ張ったが、村上が尾てい骨の付近ををくるくるとくすぐるから、背をしならせているうちに、簡単に腰が落ちた。
「――はあっ」
「……っ、」
 いちばん嵩のある部分がぬくりと中へ収まってしまえば、あとは苦しみもなくむしろ悦びとして、迎え入れられるのを知っている。びったりと陰毛が当たるほど奥まで差し込み終えると、三崎は一度ぶるりとふるえた。
「――おれ、」
「ん?」
 村上は、右手に負担をかけぬよう、上体まですっかりベッドに沈み込んでいる。は、は、と浅く呼吸を繰り返し、押し寄せる性感をわざと逃している。その、こらえている時の表情が、三崎は好きだ。
「士信のこと、大きくていいなあって思ってた。……おれは、すごく欲深くて、いやらしい人間だから、」
 自らわざと大きく腰を振る。村上は性感を逃そうと奥歯を噛みしめて、左目が少し、歪む。
「士信の、これ、が、大きいのも、好き」
「……ばあか、」
「ふふ」
 改めて村上の腹部に手を突き、膝をすっかり立てて、腰を上下に揺らす。三崎の好きな速度で出来るのがやっぱり自慰みたいで、もの足りない、と思った。つまらない。せっかく村上とセックスしているのに、村上の漲った性器が三崎を虜にしているのに、もったいない。もどかしくなりながらぐずぐずと腰を揺すっていると、村上は左手を突いて上体を起こし、三崎に視線を合わせてきた。
「――交替。おれの好きにさせろ」
 オーケーの代わりに、三崎は村上の額にキスをした。大きな絆創膏は汗でぬめって浮きかけているから、後で貼り替えてやらねばならない、と思う。きっと右手の包帯も。村上の短い髪がちくりと鼻に当たって、こういう感触ははじめてだな、と、少し感動した。いつもなら長い前髪をオールバックの風に後ろに梳いてやるのが楽しかったが、その必要のないほど、短く刈られた髪。
 いったん離れて、三崎は改めてベッドに背を落とす。その膝に村上の手がかかったのを合図に、三崎から足をひらいた。


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プロフィール
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粟津原栗子
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自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。

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