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『山岳用語でジャンダルムと言えば、ルート上の障害物の意味でしょうかね。このH連峰にあるジャンダルムは垂直の岩壁で、縦走ルートの難所です』
「ジューソー」
『山の尾根から尾根を渡り歩く登山です。尾根へ上がってしまえばてっぺんをずっと歩き続けますので、爽快感がたまらなく気持ちがいいですよ』
そう言われても樹生は山にそそられない。とことん興味がないのだ。
構わず早は続けた。
『岩壁ですから、当然普通に歩いては越えられません。越えるならば相応の装備が必要になりますし、体力ももちろん、テクニックや、運もいるかもしれません。残念ながらここで命を落とす登山者もいます。近年では、ここに山岳救助のヘリコプターがぶつかって死亡事故が起きたことでも話題になりました』
「……重いですね」
事故は嫌なものだと、つくづく思う。職業柄、安全にはとても気を遣うし、会社の方も口を酸っぱくして注意喚起する。しかしある特定の頻度で事故は起きるし、その度に事故事例を取り上げてミーティングも行う。面倒だし、気鬱になる時間だ。それを思い出した。
『それでも皆、あの門番に憧れるんです』と早は言った。
『ジャンダルムは、登山者側からすれば確かに障害物です。あの難所がなかったら、もっと多くの人が縦走登山の楽しさを気軽に楽しめることでしょう。ですが、あの黒々とした突端に惹かれるのも確かです。H岳の頂上に登って、その尾根沿いの先にあれが聳えているのを見て、なんて格好いいのだと感動する』
「その感動を新年の挨拶に込めた、と?」
『樹生さんに送った場合ですと、意味合いはまた少し違ってきます。ルート上の障害ですが、でも、門番ならば守っているんです』
「? なにを?」
『その先にあるものを、です。もしくは攻撃を留めている』
意味がよく分からない。
『内にあるものを外に出さないように押し戻したり、外のものから守ったりしています。障害物ですが、見方を変えれば、いかがでしょう?』
と言われても樹生にはさっぱりだった。想像を巡らす気もない。「難しいですよ、先生」と言うと、早は『そうですね』と答え、特に気にした風もなくあっさり話題を手放した。
『分からない話はやめましょう。今夜はどうして電話をくださったんですか?』
「淋しかったからです」
『暁登さんは?』
「実家に帰省しました」
『まあ』
ふふ、と早は電話の向こうでおっとりと笑った。その吐息を聞いて、樹生の中で一日の疲労がドッと膨れる。年末までは大量の信書を間違いのないようにひたすら区分していて、年始になった途端に一軒一軒それを配る。紙の束なので、集まれば当然重い。重いものをバイクに載せて家と家の間をはぎ合わせるように走る。疲れない訳がなかった。
早が『私も淋しいです』と言うので、余計に堪えた。
「先生、明日の予定は、」
『お昼頃、主人の古い友人がみえる予定です』
「じゃあ、朝飯食いに行っていいですか?」
『構いませんが、お仕事、朝早いのでは?』
「明日は仕事ですけど、配達自体は休みなんですよね。だからいつもより出勤時間が遅くて。昼からの出勤なんです」
『あら』
「朝が遅いのは久しぶりなんで寝てようかと思ったんですけど、たまには新年に帰省するのも」
『ええ、いいと思います。大歓迎ですよ』
早は嬉しそうにくすくす笑う。それが耳に心地よく、樹生は深く静かに息をついた。
「じゃあ、明日の朝」
『お待ちしています』
おやすみなさい、で電話を切る。湯船の外に長いこと腕を出していたので、そこだけひやりと冷たくなっていた。さぶりと音を立てて思い切り体を浴槽に沈める。熱い湯が浸みた。
→ 33
← 31
「ジューソー」
『山の尾根から尾根を渡り歩く登山です。尾根へ上がってしまえばてっぺんをずっと歩き続けますので、爽快感がたまらなく気持ちがいいですよ』
そう言われても樹生は山にそそられない。とことん興味がないのだ。
構わず早は続けた。
『岩壁ですから、当然普通に歩いては越えられません。越えるならば相応の装備が必要になりますし、体力ももちろん、テクニックや、運もいるかもしれません。残念ながらここで命を落とす登山者もいます。近年では、ここに山岳救助のヘリコプターがぶつかって死亡事故が起きたことでも話題になりました』
「……重いですね」
事故は嫌なものだと、つくづく思う。職業柄、安全にはとても気を遣うし、会社の方も口を酸っぱくして注意喚起する。しかしある特定の頻度で事故は起きるし、その度に事故事例を取り上げてミーティングも行う。面倒だし、気鬱になる時間だ。それを思い出した。
『それでも皆、あの門番に憧れるんです』と早は言った。
『ジャンダルムは、登山者側からすれば確かに障害物です。あの難所がなかったら、もっと多くの人が縦走登山の楽しさを気軽に楽しめることでしょう。ですが、あの黒々とした突端に惹かれるのも確かです。H岳の頂上に登って、その尾根沿いの先にあれが聳えているのを見て、なんて格好いいのだと感動する』
「その感動を新年の挨拶に込めた、と?」
『樹生さんに送った場合ですと、意味合いはまた少し違ってきます。ルート上の障害ですが、でも、門番ならば守っているんです』
「? なにを?」
『その先にあるものを、です。もしくは攻撃を留めている』
意味がよく分からない。
『内にあるものを外に出さないように押し戻したり、外のものから守ったりしています。障害物ですが、見方を変えれば、いかがでしょう?』
と言われても樹生にはさっぱりだった。想像を巡らす気もない。「難しいですよ、先生」と言うと、早は『そうですね』と答え、特に気にした風もなくあっさり話題を手放した。
『分からない話はやめましょう。今夜はどうして電話をくださったんですか?』
「淋しかったからです」
『暁登さんは?』
「実家に帰省しました」
『まあ』
ふふ、と早は電話の向こうでおっとりと笑った。その吐息を聞いて、樹生の中で一日の疲労がドッと膨れる。年末までは大量の信書を間違いのないようにひたすら区分していて、年始になった途端に一軒一軒それを配る。紙の束なので、集まれば当然重い。重いものをバイクに載せて家と家の間をはぎ合わせるように走る。疲れない訳がなかった。
早が『私も淋しいです』と言うので、余計に堪えた。
「先生、明日の予定は、」
『お昼頃、主人の古い友人がみえる予定です』
「じゃあ、朝飯食いに行っていいですか?」
『構いませんが、お仕事、朝早いのでは?』
「明日は仕事ですけど、配達自体は休みなんですよね。だからいつもより出勤時間が遅くて。昼からの出勤なんです」
『あら』
「朝が遅いのは久しぶりなんで寝てようかと思ったんですけど、たまには新年に帰省するのも」
『ええ、いいと思います。大歓迎ですよ』
早は嬉しそうにくすくす笑う。それが耳に心地よく、樹生は深く静かに息をついた。
「じゃあ、明日の朝」
『お待ちしています』
おやすみなさい、で電話を切る。湯船の外に長いこと腕を出していたので、そこだけひやりと冷たくなっていた。さぶりと音を立てて思い切り体を浴槽に沈める。熱い湯が浸みた。
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「だってこれ、日本の山なんだろ、」
「山用語って結構いろんな言語入ってるよ」
「そうなの?」
「そもそもが、えーと例えば『日本アルプス』って言うけど、『アルプス』自体は英語だし。これがドイツ語になれば『アルペン』」
「ふうん」日ごろ気にしないのでそれを言われてもどこにある何なのか思い浮かばない。
「カールとか、キレットとか。乗越(のっこし)……は、日本語か」
「わけわからん」
「あんたはそうだろうな」
と暁登は笑った。それから「よし」と言って立ち上がり上着を着始めたので、樹生は首を傾げる。「どこか行くの?」
「実家に顔出してくる」
「これから?」
「今朝方までは温泉旅行に出かけてたんだよ、実家一族みんなで。帰って来るならみんなが温泉から戻ってからにしなさい、って言われて」
「そうなんだ。暁登も行けばよかったのに」
「おれはいいよ。バイトもあったしな」
元旦にも新聞配達の仕事はあるが、元旦の新聞製作を休むため二日の配達は休みになる。「今夜は泊まって来るから」と言って暁登は原付のキーを手にする。
「送ってこうか?」と言ったが、いい、と断られてしまった。
「あんたは疲れてるんだから休んどけ」
「そんなに派手に疲れてるわけでもないけど」
「嘘つけ。昨夜も遅くて今朝も早かっただろ。寝ろ。寝ないと縮むぞ」
あっち行け、みたいな手の振り方をされた。樹生は頭をかりかりと掻く。
「風呂沸かしといたし、めしも鍋にあるから。じゃあ、行ってきます」
そう言って暁登は風のように行ってしまった。部屋の中が急に静かになる。暁登は決して賑やかな性格ではなかったが、それでもいればそれなりに音がしていたんだな、と思う。
鍋の中を覗くと、鍋焼うどんが煮えていた。樹生の帰宅に合わせて作ってくれていたようで、鍋からは湯気が上がる。ありがたくそれを食べ、風呂に浸かった。ひとり暮らしだったら、明かりのついた暖かな家に帰り、風呂が沸いていて、温かな食事もできている、なんてことはない。暁登と暮らしているからこそのささやかな贅沢が嬉しい。
ふと思いつき、樹生はいったん湯船から上がって脱衣所に置いたスマートフォンを取った。こういう時のために防水性のよい機種を使っている。再び湯船に戻り、浸かりながらコールする。もう休んでいる時間かもしれないと思ったが、電話は数回で繋がった。
『――はい、草刈です』
「あけましておめでとうございます、早先生」
『おめでとうございます、樹生さん』
ふふ、と電話の向こうから明るい微笑みが伝わってきた。
「なにか楽しいことしてましたか?」
『久しぶりにお酒をいただいています。なんだか楽しくなってしまって』
「おひとりで?」
『ええ、ひとりですよ。去年と同じお正月です』
届いた年賀状を眺めながらひとりで酒を飲んでいたという。
「早先生のところは年賀状の届け甲斐がありますよね」と、樹生は思い出しながら喋る。早の家から出す年賀状の枚数もすごいが、届く枚数もすごいのだ。
『そうかもしれません。たくさんの方から色んな図柄の年賀状を今年もいただけました』
そこでまた早は「ふふ」と笑いを漏らしたので、相当酔っぱらっているのではないかと樹生は危惧する。早も亡くなった夫も、滅多に酒をたしなむことのなかった家だった。
しかし樹生の心配とは裏腹に、早は「そんなに飲んではいませんよ」と答えた。
『ちょうど暁登さんからの年賀状を眺めていたところに樹生さんから電話があったので、なんだか楽しくなってしまったんです』
「暁登、年賀状なんか出したんですか?」
『ええ。葉書は普通の絵葉書で、切手も普通の切手ですが。あけましておめでとうございます、ってありますよ』
そんなマメなことをしている男だとは思いもしなかったので、これはとても意外だった。
樹生の驚きを早はさして気にせず、「暁登さんの字はいいですね」と言った。
「字?」
『ええ。鋭角でキリッとした字を書かれますね。勇ましいというか、芯の強さを感じます』
「そうですか」
『樹生さんの字もわたしは好きですよ。まんまるで、あなたの本質がよく出ていると思いながら見てました。樹生さんは、優しい人です』
と早ははっきり言った。樹生は曖昧に笑い、「早先生からの年賀状も届きました」と話題を少しずらす。
「山の絵、格好よかったです。けど、あれは暁登の方に出した方がよかったと思いますが」
樹生は山に興味を持ったことがないのだ。多趣味な暁登と違い、自分はつい暇を持て余してしまうつまらない人間だな、と思う。定年を迎えたらどう生きて良いのか迷うのではないかといまから危惧するくらいだ。
早は『そうでしょうか?』と言った。
『あの葉書の中心にある黒っぽい突き上がり』
「ああ、なんだっけ、暁登も言ってました。えーと、ジャングル、みたいな」
『ふふ、外れです』
「シャングリラ?」
『違います』
「シンデレラ」
『ロマンティックな回答ですが、それも外れです』
間違いを承知で適当なことを喋ると、なかなか楽しくて早も笑った。
『ジャンダルム』
「ジャンダルム」
『そう、ジャンダルム。フランス語で、門番という意味です』
「門番?」
『もしくは、武装警察官とも』
と言われてしまえば、厳めしい顔をした男の姿しか思い浮かばない。新年の挨拶状だというのにおめでたい気分にはならないな、と思った。
→ 32
← 30
「山用語って結構いろんな言語入ってるよ」
「そうなの?」
「そもそもが、えーと例えば『日本アルプス』って言うけど、『アルプス』自体は英語だし。これがドイツ語になれば『アルペン』」
「ふうん」日ごろ気にしないのでそれを言われてもどこにある何なのか思い浮かばない。
「カールとか、キレットとか。乗越(のっこし)……は、日本語か」
「わけわからん」
「あんたはそうだろうな」
と暁登は笑った。それから「よし」と言って立ち上がり上着を着始めたので、樹生は首を傾げる。「どこか行くの?」
「実家に顔出してくる」
「これから?」
「今朝方までは温泉旅行に出かけてたんだよ、実家一族みんなで。帰って来るならみんなが温泉から戻ってからにしなさい、って言われて」
「そうなんだ。暁登も行けばよかったのに」
「おれはいいよ。バイトもあったしな」
元旦にも新聞配達の仕事はあるが、元旦の新聞製作を休むため二日の配達は休みになる。「今夜は泊まって来るから」と言って暁登は原付のキーを手にする。
「送ってこうか?」と言ったが、いい、と断られてしまった。
「あんたは疲れてるんだから休んどけ」
「そんなに派手に疲れてるわけでもないけど」
「嘘つけ。昨夜も遅くて今朝も早かっただろ。寝ろ。寝ないと縮むぞ」
あっち行け、みたいな手の振り方をされた。樹生は頭をかりかりと掻く。
「風呂沸かしといたし、めしも鍋にあるから。じゃあ、行ってきます」
そう言って暁登は風のように行ってしまった。部屋の中が急に静かになる。暁登は決して賑やかな性格ではなかったが、それでもいればそれなりに音がしていたんだな、と思う。
鍋の中を覗くと、鍋焼うどんが煮えていた。樹生の帰宅に合わせて作ってくれていたようで、鍋からは湯気が上がる。ありがたくそれを食べ、風呂に浸かった。ひとり暮らしだったら、明かりのついた暖かな家に帰り、風呂が沸いていて、温かな食事もできている、なんてことはない。暁登と暮らしているからこそのささやかな贅沢が嬉しい。
ふと思いつき、樹生はいったん湯船から上がって脱衣所に置いたスマートフォンを取った。こういう時のために防水性のよい機種を使っている。再び湯船に戻り、浸かりながらコールする。もう休んでいる時間かもしれないと思ったが、電話は数回で繋がった。
『――はい、草刈です』
「あけましておめでとうございます、早先生」
『おめでとうございます、樹生さん』
ふふ、と電話の向こうから明るい微笑みが伝わってきた。
「なにか楽しいことしてましたか?」
『久しぶりにお酒をいただいています。なんだか楽しくなってしまって』
「おひとりで?」
『ええ、ひとりですよ。去年と同じお正月です』
届いた年賀状を眺めながらひとりで酒を飲んでいたという。
「早先生のところは年賀状の届け甲斐がありますよね」と、樹生は思い出しながら喋る。早の家から出す年賀状の枚数もすごいが、届く枚数もすごいのだ。
『そうかもしれません。たくさんの方から色んな図柄の年賀状を今年もいただけました』
そこでまた早は「ふふ」と笑いを漏らしたので、相当酔っぱらっているのではないかと樹生は危惧する。早も亡くなった夫も、滅多に酒をたしなむことのなかった家だった。
しかし樹生の心配とは裏腹に、早は「そんなに飲んではいませんよ」と答えた。
『ちょうど暁登さんからの年賀状を眺めていたところに樹生さんから電話があったので、なんだか楽しくなってしまったんです』
「暁登、年賀状なんか出したんですか?」
『ええ。葉書は普通の絵葉書で、切手も普通の切手ですが。あけましておめでとうございます、ってありますよ』
そんなマメなことをしている男だとは思いもしなかったので、これはとても意外だった。
樹生の驚きを早はさして気にせず、「暁登さんの字はいいですね」と言った。
「字?」
『ええ。鋭角でキリッとした字を書かれますね。勇ましいというか、芯の強さを感じます』
「そうですか」
『樹生さんの字もわたしは好きですよ。まんまるで、あなたの本質がよく出ていると思いながら見てました。樹生さんは、優しい人です』
と早ははっきり言った。樹生は曖昧に笑い、「早先生からの年賀状も届きました」と話題を少しずらす。
「山の絵、格好よかったです。けど、あれは暁登の方に出した方がよかったと思いますが」
樹生は山に興味を持ったことがないのだ。多趣味な暁登と違い、自分はつい暇を持て余してしまうつまらない人間だな、と思う。定年を迎えたらどう生きて良いのか迷うのではないかといまから危惧するくらいだ。
早は『そうでしょうか?』と言った。
『あの葉書の中心にある黒っぽい突き上がり』
「ああ、なんだっけ、暁登も言ってました。えーと、ジャングル、みたいな」
『ふふ、外れです』
「シャングリラ?」
『違います』
「シンデレラ」
『ロマンティックな回答ですが、それも外れです』
間違いを承知で適当なことを喋ると、なかなか楽しくて早も笑った。
『ジャンダルム』
「ジャンダルム」
『そう、ジャンダルム。フランス語で、門番という意味です』
「門番?」
『もしくは、武装警察官とも』
と言われてしまえば、厳めしい顔をした男の姿しか思い浮かばない。新年の挨拶状だというのにおめでたい気分にはならないな、と思った。
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四.ジャンダルム
郵便配達員ではあるが、年賀状を出す習慣は樹生にはない。これが所帯を持っていたりすれば別の話であったかもしれないがまあ、いま現代を生きる三十代独身男性としてはそこそこ正しい姿ではあると言える。樹生の知人友人同僚の中で同じ境遇の人間は、新年の挨拶状などまず出さない。
それでも、何年か前に正社員に採用されてからは多少意識が変わった。自分の社会的な地位を見て、これからのことも考えて、まるきり出さないわけにもいかないな、と思ったのだ。だからひとまず前の職場の上司や、仲良くしている他局の同僚、年賀状やカタログギフトを購入してくれた顧客でとりわけ親しい人などには出している。あくまでも社会的な付き合いの中の話で、出す枚数は十枚にも満たない。
直属の上司や、同僚たちには出さない。どうせ年末年始は嫌と言うほど顔を合わせる。よいお年を、と言ったその数時間後にはあけましておめでとうなどと言って出勤する。見せたい妻や子の存在があるわけでもないし、年の瀬、新年というものに特にありがたみを感じない。
早たちの年代であると、年賀状は特別な意味を持つものらしい。日ごろ不義理を働いている人や、体の不具合などで遠くなってしまった人たちに、私は元気です、あなたはどうですか、というお伺いを立てるのに最適なのだといつか早が言っていた。
『やっぱり、惣先生が亡くなった年の喪中欠礼はがきを出すのが、嫌でした』
これは二か月ほど前に早の元を一人で訪れた際に、早が言っていた言葉だ。
『とりわけ惣先生にはたくさんの知り合いがいて、たくさんの教え子がいて、年賀状を出す枚数も半端なかったですから。ただでさえ惣先生が亡くなったことでとても疲れていたのに、何百枚と出さなければ、と思ったら、苦痛で』
『近頃はどうですか?』
『楽になりましたよ。年賀状の柄は何にしようか、と考えたり。出す枚数もずいぶんと減りましたからね』
そう言いながらも、早は樹生から二百枚ほど年賀状を買った。確かに以前よりは格段に減ったが、それでも個人宅でこの枚数ははっきり言って大口顧客だ。まだ亡くなった夫絡みの付き合いで出す年賀状があり、また早自身にもかつての同僚や教え子に出す年始の挨拶状がある。早自身は美術科の教員だったのだから、年賀状作りは腕の振るいどころにもなるのだろう。
今年の樹生の年末年始は、クリスマス当日からの十二連勤で始まった。
毎年、十一月ぐらいに早めの冬期休暇を取らされ、徐々に年賀状を売り出しながら配達をこなし、この時期一気に、爆発する勢いで繁忙期を迎える。毎日の残業は当たり前で、皆で半ば殺気立ちながらも年賀状を仕分ける。冬休みを利用した学生のアルバイトもやって来る。それでも昔よりは年賀状の仕分けは楽になったと古株の社員は言うし、樹生でさえそう思う。郵便区分機の精度が上がって正確に住所を分けられるようになったり、年賀状の差出数自体が減ったり。要因は様々だ。
元旦の年賀状配達を終えて帰宅すると、暁登が珍しく自室ではなくリビングで部屋を暖めて待っていた。「お帰り」と右手を挙げてひらひら振る。その手にはこれまで散々見ていて、明日以降もしばらく見ることになる、白地に赤い印刷のされた紙があった。
「年賀状、誰から?」と暁登に訊ねる。暁登も年賀状を出す習慣などないので、この家に年賀状が届くことが珍しい。せいぜい樹生の職場絡みか、その程度だ。
暁登は「早先生から」と答えた。しょっちゅう会いに行くのに、早は毎年こうして丁寧に年賀状を寄越す。暁登と樹生、それぞれに。
「こっちあんたの分」
「見せて」
上着を脱ぎながら暁登からはがきを受け取る。早らしいたおやかな字で樹生の名前が表面には書かれていて、裏を見るとそこには淡彩で山の稜線が描かれていた。
暁登も樹生の手元を覗き込む。暁登の手元にも早からの年賀状が握られていたが、絵柄は違うようだった。
「早先生って、年賀状の絵柄は毎年必ずニ種類用意するんだって」と暁登が言った。
「ご主人関係の人に出す分と、自分で出す分と、絵柄は分けるって言ってた」
「暁登の方は何?」
「おれのは干支」
そう言って暁登が見せてくれたのは、確かに今年の干支が恭しく描かれた年賀状だった。
「あんたのは?」
「どっかの山、かな」
「あ、これH連峰じゃん」
あっさり暁登は山の名を言い当てた。
「なんで分かんの?」
「登ったことがあるからだよ」
「どこにある山?」
「N県とG県のあいだ」
「そんなとこ行ってたの」
「うちの両親は山好きだったからさ、」
山の稜線は、絵で見る限りだが岩場だった。「これ」と暁登は中心に描かれた黒い出っ張りを指差す。「これがあるからこの山だ、って分かる」
「ふうん。岩?」
「うん。ジャンダルム」
「ジャンダルム?」
「そう、ジャンダルム」
「何語?」
「えーと、フランス語だった気がする」
樹生は意味が分からなくて、ぽかんとしてしまった。
→ 31
← 29
それでも、何年か前に正社員に採用されてからは多少意識が変わった。自分の社会的な地位を見て、これからのことも考えて、まるきり出さないわけにもいかないな、と思ったのだ。だからひとまず前の職場の上司や、仲良くしている他局の同僚、年賀状やカタログギフトを購入してくれた顧客でとりわけ親しい人などには出している。あくまでも社会的な付き合いの中の話で、出す枚数は十枚にも満たない。
直属の上司や、同僚たちには出さない。どうせ年末年始は嫌と言うほど顔を合わせる。よいお年を、と言ったその数時間後にはあけましておめでとうなどと言って出勤する。見せたい妻や子の存在があるわけでもないし、年の瀬、新年というものに特にありがたみを感じない。
早たちの年代であると、年賀状は特別な意味を持つものらしい。日ごろ不義理を働いている人や、体の不具合などで遠くなってしまった人たちに、私は元気です、あなたはどうですか、というお伺いを立てるのに最適なのだといつか早が言っていた。
『やっぱり、惣先生が亡くなった年の喪中欠礼はがきを出すのが、嫌でした』
これは二か月ほど前に早の元を一人で訪れた際に、早が言っていた言葉だ。
『とりわけ惣先生にはたくさんの知り合いがいて、たくさんの教え子がいて、年賀状を出す枚数も半端なかったですから。ただでさえ惣先生が亡くなったことでとても疲れていたのに、何百枚と出さなければ、と思ったら、苦痛で』
『近頃はどうですか?』
『楽になりましたよ。年賀状の柄は何にしようか、と考えたり。出す枚数もずいぶんと減りましたからね』
そう言いながらも、早は樹生から二百枚ほど年賀状を買った。確かに以前よりは格段に減ったが、それでも個人宅でこの枚数ははっきり言って大口顧客だ。まだ亡くなった夫絡みの付き合いで出す年賀状があり、また早自身にもかつての同僚や教え子に出す年始の挨拶状がある。早自身は美術科の教員だったのだから、年賀状作りは腕の振るいどころにもなるのだろう。
今年の樹生の年末年始は、クリスマス当日からの十二連勤で始まった。
毎年、十一月ぐらいに早めの冬期休暇を取らされ、徐々に年賀状を売り出しながら配達をこなし、この時期一気に、爆発する勢いで繁忙期を迎える。毎日の残業は当たり前で、皆で半ば殺気立ちながらも年賀状を仕分ける。冬休みを利用した学生のアルバイトもやって来る。それでも昔よりは年賀状の仕分けは楽になったと古株の社員は言うし、樹生でさえそう思う。郵便区分機の精度が上がって正確に住所を分けられるようになったり、年賀状の差出数自体が減ったり。要因は様々だ。
元旦の年賀状配達を終えて帰宅すると、暁登が珍しく自室ではなくリビングで部屋を暖めて待っていた。「お帰り」と右手を挙げてひらひら振る。その手にはこれまで散々見ていて、明日以降もしばらく見ることになる、白地に赤い印刷のされた紙があった。
「年賀状、誰から?」と暁登に訊ねる。暁登も年賀状を出す習慣などないので、この家に年賀状が届くことが珍しい。せいぜい樹生の職場絡みか、その程度だ。
暁登は「早先生から」と答えた。しょっちゅう会いに行くのに、早は毎年こうして丁寧に年賀状を寄越す。暁登と樹生、それぞれに。
「こっちあんたの分」
「見せて」
上着を脱ぎながら暁登からはがきを受け取る。早らしいたおやかな字で樹生の名前が表面には書かれていて、裏を見るとそこには淡彩で山の稜線が描かれていた。
暁登も樹生の手元を覗き込む。暁登の手元にも早からの年賀状が握られていたが、絵柄は違うようだった。
「早先生って、年賀状の絵柄は毎年必ずニ種類用意するんだって」と暁登が言った。
「ご主人関係の人に出す分と、自分で出す分と、絵柄は分けるって言ってた」
「暁登の方は何?」
「おれのは干支」
そう言って暁登が見せてくれたのは、確かに今年の干支が恭しく描かれた年賀状だった。
「あんたのは?」
「どっかの山、かな」
「あ、これH連峰じゃん」
あっさり暁登は山の名を言い当てた。
「なんで分かんの?」
「登ったことがあるからだよ」
「どこにある山?」
「N県とG県のあいだ」
「そんなとこ行ってたの」
「うちの両親は山好きだったからさ、」
山の稜線は、絵で見る限りだが岩場だった。「これ」と暁登は中心に描かれた黒い出っ張りを指差す。「これがあるからこの山だ、って分かる」
「ふうん。岩?」
「うん。ジャンダルム」
「ジャンダルム?」
「そう、ジャンダルム」
「何語?」
「えーと、フランス語だった気がする」
樹生は意味が分からなくて、ぽかんとしてしまった。
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セックスみたいな腰の動かし方で、暁登の内腿から性器へと猛ったものを擦り付ける。次第に濡れた音が室内に響き始めた。暁登は顔を布団に押し付けて必死で耐えている。だが腰が揺れ始め、ついに自身の性器へと手が伸びた。樹生の動かし方では足りないとばかりに手を動かしている。
その様にそそられた。樹生はしっかりと暁登の腰を掴むと、大きく腰をスライドさせた。もう、また、沸点に届く。そうしているうちに暁登が大きく震えて、三度目の精を吐く。
続いて樹生も射精した。暁登の背中に出し、大きく息をつく。膝立ちで耽っていたせいで膝が痛かった。それでも枕元に手を伸ばし、ティッシュを取ると暁登の背中を拭った。
暁登は布団に突っ伏している。それが心配になり、「塩谷くん」と声をかけた。
「……大丈夫?」
「……」
「塩谷くん」
「眼鏡、」と暁登は答えた。「眼鏡、ください」
「ああ、」
樹生は立ち上がり、窓の桟に置いた眼鏡を暁登に渡す。暁登も起き上がり、それをかけた。かけてからじっと樹生に視線を向けて来るので、樹生はなんだかいたたまれない。
「塩谷くん、」
「ようやく見えます」
そう言って、暁登は樹生の胸に手を当てる。
「岩永さんの体、見たいと思ってた」
「そっか」
「はい」
樹生はその体を抱きしめる。眼鏡は肌に当たって痛かったので、また外した。そのまま布団に倒れ込む。シーツは体液で濡れていたが、替えなどなかったし、構いもしなかった。
そのまま眠った。眠りに落ちる寸前に暁登がなにか言ったように聞こえたが内容までは聞き取れなかった。目覚めれば夜明けで、出勤時刻が迫っていて、暁登はもういなかった。
その様にそそられた。樹生はしっかりと暁登の腰を掴むと、大きく腰をスライドさせた。もう、また、沸点に届く。そうしているうちに暁登が大きく震えて、三度目の精を吐く。
続いて樹生も射精した。暁登の背中に出し、大きく息をつく。膝立ちで耽っていたせいで膝が痛かった。それでも枕元に手を伸ばし、ティッシュを取ると暁登の背中を拭った。
暁登は布団に突っ伏している。それが心配になり、「塩谷くん」と声をかけた。
「……大丈夫?」
「……」
「塩谷くん」
「眼鏡、」と暁登は答えた。「眼鏡、ください」
「ああ、」
樹生は立ち上がり、窓の桟に置いた眼鏡を暁登に渡す。暁登も起き上がり、それをかけた。かけてからじっと樹生に視線を向けて来るので、樹生はなんだかいたたまれない。
「塩谷くん、」
「ようやく見えます」
そう言って、暁登は樹生の胸に手を当てる。
「岩永さんの体、見たいと思ってた」
「そっか」
「はい」
樹生はその体を抱きしめる。眼鏡は肌に当たって痛かったので、また外した。そのまま布団に倒れ込む。シーツは体液で濡れていたが、替えなどなかったし、構いもしなかった。
そのまま眠った。眠りに落ちる寸前に暁登がなにか言ったように聞こえたが内容までは聞き取れなかった。目覚めれば夜明けで、出勤時刻が迫っていて、暁登はもういなかった。
その、樹生が起きる前に逃げた暁登といまこうして共に暮らし、同じ空間を共有しているのだから不思議なものだなと思う。ベッド下で本に夢中になっている後頭部を見つめ、パーカーのフードから覗く脊椎の浮き上がりを見つめ、樹生はフードを指でつまんで引っ張った。「ねえ」
「なに?」暁登が振り向く。
「今夜は一緒に寝よう」
と言うと、暁登は眉根を寄せた。嫌でも駄目でもなく、困っている表情だ。
「風邪うつるから嫌だ」
「ずっとこの部屋にいてくれてたんだろ? うつるならうつってる。もう遅いよ」
「ベッド狭いし。あんたはでかいし」
「いいじゃん」
普段ならこんな甘え方はしないな、と樹生は思う。熱で脳がやられている。
「心細いんだよ、一人寝が」
「……」
「あき、」
すると暁登は立ち上がり、部屋から出て行った。しばらくして枕と毛布を抱えて樹生の元へ戻ってきた。どうやら樹生の懇願を聞いてくれるらしい。
樹生は思わず笑ってしまった。それを見た暁登は、「とりあえずめし食うぞ、めし」と怒ったように言う。その世話焼きも嬉しくて笑っていたら、暁登もつられて少しだけ笑った。「ばか」と言われたが、幸福だと思う。
→ 30
← 28
「なに?」暁登が振り向く。
「今夜は一緒に寝よう」
と言うと、暁登は眉根を寄せた。嫌でも駄目でもなく、困っている表情だ。
「風邪うつるから嫌だ」
「ずっとこの部屋にいてくれてたんだろ? うつるならうつってる。もう遅いよ」
「ベッド狭いし。あんたはでかいし」
「いいじゃん」
普段ならこんな甘え方はしないな、と樹生は思う。熱で脳がやられている。
「心細いんだよ、一人寝が」
「……」
「あき、」
すると暁登は立ち上がり、部屋から出て行った。しばらくして枕と毛布を抱えて樹生の元へ戻ってきた。どうやら樹生の懇願を聞いてくれるらしい。
樹生は思わず笑ってしまった。それを見た暁登は、「とりあえずめし食うぞ、めし」と怒ったように言う。その世話焼きも嬉しくて笑っていたら、暁登もつられて少しだけ笑った。「ばか」と言われたが、幸福だと思う。
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取り去ると痩せた体が全て晒された。太腿から脛など心配なぐらいに骨の浮き上がりが分かったので、樹生は苦笑しながら「塩谷くん、痩せた?」と尋ねる。
「前はもっと肉があったんじゃないかって思うんだけど」
「家に引きこもってばかりなので。局辞めたら、多分筋肉が落ちて」
「まあ、なんだかんだで体力勝負だからね、配達って」
「岩永さんは、鍛えてるんですよね」
「鍛えてるっていうか、」樹生は笑う。
「たまにバレーボールやってるとか、そんぐらい。市民体育館借りてサークルみたいなやつ」
「……おれも岩永さんの体、全部見たいです」
「……いいよ、」
樹生も着ていた衣類を脱いだ。布団の脇にまとめて放り、改めて暁登に向き合うと、暁登の視線が樹生の体に注がれているのが分かった。見ようとしているのか、目をきつく細めている。
「見えないんだろ」と言ってやった。
「さっき岩永さんに眼鏡を取られてしまったので」
「だいぶ言うようになってきたね」
「触っていい?」
「どうぞ」
暁登の腕がまた伸びた。胸や背中、脇腹、腿に脛、足首とあらゆる個所を彼なりの速度で触れてくる。それはくすぐったくて、樹生は笑う代わりにちいさく息を漏らした。
懸命に撫でて来る手を掴みなおし、そのまま暁登の体を後ろへ押し倒した。
樹生の下で、暁登がきついまなざしで樹生を見上げる。その瞳は透き通っていて、樹生の心臓はテンポを乱して跳ねる。
額に張り付いた髪を掻きあげて、その目蓋に口づけた。顔じゅうに唇を押し付けながら掌で暁登の体をまさぐると、暁登は鼻に抜けた声を漏らす。
樹生の唇から逃れるように顔を背け、暁登が息を吐いた。
「……岩永さん、おれが触りたいって」
「触ればいいよ。おれも触ってるだけ、」
そう言いながらも手は愛撫をやめない。暁登の足を開かせ尻の奥へと指を進めると、そこは乾いていて、樹生は思わず「あ」と声を出した。樹生に組み敷かれているけれど、暁登は女ではない。女でないので、当然ながら支障があった。
暁登が不思議そうな顔で樹生を見上げた。
「……なに、」
「いや、……コンドーム買うときにジェルかなんか買っときゃよかった、と思って」
暁登はまだぽかんとしていたが、「ここ」と指で暁登の奥を押してやると、びくっと体を竦めた。
「本来の用途が違うからさ。濡れるわきゃない」
「……湿ってないとまずいんですか、」
「痛いんじゃないかな、」
塩谷くんが、と付け加えると、暁登はまた眉根を寄せた。
「なんもないんだよな、おれんち。ラブホだったら」
話す傍から暁登は樹生の腕から逃れ、「もういいです」と布団にうつぶせてしまった。
「塩谷くん?」
「もう、いいです。やめましょう」
「なに怒ってんの、」
「別に怒ってないです」
「いや怒ってるって」
「ない」
「ある」
暁登はしばらく黙ったが、ややあってくぐもった声が返された。
「腹が立ちました」
やっぱり怒ってんじゃないかと思ったが、それを言えばきっともっと意固地になりそうだと想像がついたので、言うのはやめた。「なにに腹が立った?」
「岩永さんに」
「なんで」
「慣れてるから」
「なにに」
「セックス」
暁登は布団に押し付けた顔を上げない。その後頭部に樹生は手を伸ばして触れる。
「そりゃまあ、そうだよ。おれはきみより八年先に生きてるからね」
「……そうだけど」
「八年ってすごい差だよ。おれが二十歳のころ、きみはまだ小学生とかだろ? もう少し早くこうなってたら、淫行で捕まってるよ、おれは」
「……」
うつぶせた暁登の腰を樹生は掴む。暁登は特に抵抗しなかったが、だからと言って応じる気もないようだった。されるがままになっている体の、臀部の上部のわずかな窪みに樹生は自身の猛った雄を押し付けた。
さすがに暁登はそれに驚いたのか、体に力が入った。
「――塩谷くん」
「……」
「おれは、したい」
樹生は腰を揺らしてそれを暁登の肌の上で擦った。
「やめたくない」
性器を少しずつ下へとずらす。暁登の腿と腿の隙間へそれを滑り込ませると、暁登の性器に当たった。そこもちゃんと硬かった。
暁登の腰を持ちあげ、膝で立たせ尻だけ高くさせる。腿の間に差し込んだ性器をゆっくり前後させると、暁登も吐息を荒くさせた。
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プロフィール
HN:
粟津原栗子
性別:
非公開
自己紹介:
成人女性に向けたBL小説を書いています。苦手な方と年齢に満たない方は回れ右。
問い合わせ先→kurikoawaduhara★hotmail.co.jp(★を@に変えてください)か、コメント欄にお願いいたします。コメント欄は非公開設定になっています。
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2022*08*11-21
暑いですね。番外編短編、ちょこっと更新しています。
2021*12*04-2022*03*17
お久しぶりです。短編長編更新。
短編「さきごろのはる」
短編「月の椅子」
短編「みんな嬉しいお菓子の日」
長編「ファンタスティック・ブロウ」
短編「冬の日、林檎真っ赤に熟れて」
2021*08*16-08*19
甘いお菓子のある短編「最善最愛チョコレート」更新。
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